青森放送製作のラジオ番組「高橋竹山生誕100年記念番組 ラジオドキュメンタリー 故郷(ふるさと)の空に」が、第65回文化庁芸術祭のラジオ部門で大賞を受賞した。文化庁が21日発表したもので、審査では初代高橋竹山のさまざまな音源をもとに実像に迫った高い構成・演出力が評価された。同社の大賞受賞は11年ぶり3度目。
芸術祭は優れた芸術を鑑賞する機会の提供と、芸術の創造や発展を図るために1946年から毎年秋に開催。演劇やテレビなど8部門があり、今回のラジオ部門にはNHKと民放合わせて24作品が出品された。
番組は今年生誕100年を迎えた初代高橋竹山(1910~98年)の、公私にわたって残したさまざまな音源をもとに、彼の姿を再び探っていく―というもの。孫の高橋哲子さんのほか二代目高橋竹山、高橋竹童さん、西川洋子さんら弟子も出演し、9月19日と11月28日の2回放送された。
目が不自由だった初代竹山が自分のスケジュールや独り言を吹き込んだカセットテープ、哲子さんに民謡を教えている様子を収めたものなど、未発表の貴重な音源を含んだ過去から現代までの「音」を“コラージュ”。
また、それらの音源や映像を大切に保管していた哲子さんの思い出話、平内町で今年開かれた記念式典での弟子たちのインタビューを織り交ぜながら、今も人々の心に残っている初代竹山の人物像を掘り起こしていった。
同放送ラジオ編成制作部長で、同番組のディレクターを務めた渡辺英彦さんは「非常に高い評価を得られてうれしい。新たに見つけた竹山の音声を世に出せた。またこれまで青森放送が培ってきた竹山の取材資料も使うなど、会社の“財産”も生かした番組を作ることができた」と受賞の喜びを語った。
番組は1月16日午後4時から再放送される。