(cache) 経済コラムマガジン 平成9年2月10日より
経済コラムマガジン




11/3/14(ー号)



  • 東日本巨大地震につき今週は休刊。まだ災害の全容はまだはっきりしないが、かなりの被害が出ていることは分る。ただテレビが伝えていなかったところで大きな災害が起っているようである。来週号はこの大震災を取り上げる。

    東電が計画停電という奇妙なことに踏切ろうとしている。これによって無用の混乱を招いている。他の電力会社に電力の融通を頼んだが、他の電力会社も余裕がないと断られたらしい。しかしどれだけ真剣に頼んだのか不明である(本当に頭を下げて頼んだのか)。また電力の供給力が不足するのなら、まず大口の電力需要家に停電を承知してもらうのが順番である。大口需要家がメーカなら、夜間の操業や自家発電の使用を依頼してみることも必要である。特に夜間電力についてはどの電力会社も余っていると思われる。公共交通機関も一律に停電という話もばかげている。

    政府・官邸も存在感が全く、まるで東電の言いなりである。このような状況なのだから、政府が先頭にたって節電を訴えるのは当り前である。しかし節電が必要なのは東電と東北電力の管轄内だけでなく、全国的に節電を求めるべきである。これによって融通できる電力を確保できるはずである。東電は不足する電力はたった100万kw/hと言っている。実際、大手メーカの地方の工場は、部品が来ないので臨時休業しているところが多い。

    東電は建前は民間企業であが、明らかに公的存在である。東電ではらちがあかないのなら、政府が他の電力会社に直接折衝すべきである。場合によっては、財政出動も止むを得ない。他の電力会社から国が高く電力を買うことも考えるべきである。全国の大口のユーザに対しても、夜間電力をもっと安くするとか、他の地域に生産を移した場合の費用を財政負担することが考えられる。

    13日の東電の記者発表では、不足する電力は、1,000万kw/hと言っているが、14日の東電の記者会見では若い担当者が不足する電力は100万kw/hと言っていた。思わず口をすべらしたのであろう。もし1,000万kw/hも不足するのなら、計画停電を次々と撤回するはずがない。この季節、午後5〜7時がピークと言うのは本当であろう。しかしこれまで電力を供給して来たのであるから、この時間に急に1,000万kw/h以上の電力が不足するとは信じられない。午後5〜7時において一部の地域で計画停電を強行している(引っ込みがつかないから無理やり停電していることも考えられる)。本当にどれだけ不足したのか精査すべきである。おそらく他の電力会社から融通が効く範囲と思われる。

    このような事態になると必ず、深夜のライトアップやコンビニの営業を止めろという声が起る。しかし深夜は電力が余剰になる(全国的に見ればの原子力発電所は稼動を止められないから)。経済の活性化を考えれば、非常識に基づくこのような声は無視すべきである。

    福島第一発電所の発電装置に海水が注入されている。これで発電装置の冷却化に成功すれば結構なことである。しかし冷却化に失敗するケースも考えられる。このまま海水を注入し続けることに筆者はなんとなく危惧を感じる。炉内の海水濃度が上がっいくことが、別の障害を発生させる可能性を心配するのである。これまで「想定外」のことが起っているというセリフは聞きあきた。海水が注入できるのなら、真水も注入できるはずである。福島発電所に「水」をピストン輸送すべきである。真水を載せたタンカーの派遣も考えられる。大きなタンカーは無理かもしれないが、ある程度の大きさのタンカーの派遣は可能と考える。結果的に、このような「水」の準備は無駄になるかもしれないが、それはそれで結構なことである。



油槽所、全国



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11/2/28(第652号)「日本は本当に貿易立国?」
11/2/21(第651号)「関税以外の貿易障壁」
11/2/14(第650号)「TPPに関する推理」
11/2/7(第649号)「菅首相の消費税増税」
11/1/31(第648号)「モラルハザードの話」
11/1/24(第647号)「問題は分配ではない」
11/1/17(第646号)「永久債の日銀引受け」
11/1/10(第645号)「日本の経済成長シナリオ」
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10/12/13(第643号)「日本における新経済成長論」
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09/9/28(第586号)「モラトリアムの話」
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09/9/7(第583号)「一番の自民党敗因」
09/9/1(第582号)「09年総選挙の結果」
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