東日本大震災で仏教各派救援へ動く 施設開放も検討
東日本大震災を受け、京都市内に本山を置く伝統仏教教団が被災者支援に動き出した。宗祖の遠忌法要の中止や延期で殺到する問い合わせに応じながら、職員や救援物資を東北地方へ送ったり、教団施設の開放も検討している。宗派を超えて被災地で読経する活動も始まった。
真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)は遠忌法要第1期(19~28日)を取りやめる一方、本山境内の「研修道場」や東京都内の施設を被災者に開放する方向で検討中。安原晃宗務総長は「いま宗派に課せられているのは救援に全力を尽くすこと」と話す。
参拝を予定していた全国の710団体、約4万9千人への連絡を急ぐが、岩手、宮城、福島三県では末寺や信者の被害も膨らんでいる。法要の代わりに行う「被災者支援のつどい」への参加を呼び掛ける電話を深夜まで続けている。
浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、下京区)は、東北や関東、長野、新潟から約70団体、4千人が4月9~16日の遠忌法要に参拝予定だがキャンセルも出始めているという。
両派ともに被災地へ職員を交代で派遣し、いずれも仙台市を拠点に食料などの救援物資を届けている。
一方、臨済宗妙心寺派(大本山・妙心寺、右京区)は、被災地で僧侶ならではの支援に乗り出した。宮城県塩釜市の寺院の情報をもとに、被害の少なかった僧侶に「読経奉仕」を呼び掛けている。
塩釜市の僧侶(44)は、15日から曹洞宗や浄土宗の僧侶と交代で火葬場に詰めている。住職と連絡の取れない遺族が多く、同意があれば読経している。「本人確認が出来ないご遺体も多くなる。僧侶というより人間として役に立てればいい」と自らを奮い立たせる。
妙心寺派の松井宗益宗務総長は「葬儀も供養もままならない方がたくさんいる。宗教者としてできることをしていきたい」と話す。
永観堂(左京区)を総本山とする浄土宗西山禅林寺派の僧侶ら10人は17日午後、東山区の四条大橋で募金活動を行った。良恩寺(東山区)の小島観修住職(67)は「外は寒いが被災地を思えば寺の中にこもっている場合ではない」と寒風の中で支援を呼び掛けた。
【 2011年03月18日 09時39分 】
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