研究者らでつくるNPO法人「日本雪崩ネットワーク」(横浜市)が、北安曇郡白馬村の北アルプス小日向山(1907メートル)で11日に発生したとみられる雪崩の調査を17日までに行い、東日本大震災で雪崩が発生した可能性があるとの見解をまとめた。この雪崩では、山スキーやスノーボードに入っていた男性3人が死亡。地震と雪崩との関係が指摘されていた。
同ネットはスタッフ4人が14日に現場に入り、同山北東側の斜面を調査。遺体が見つかった地点から約500メートル高い標高1780メートル地点に深さ約70センチ、幅150メートル以上の規模で積もった雪が破断し、崩落している場所を見つけた。破断場所の雪面の斜度は約40度で、雨などで固まった雪の層の上に積もった雪が滑り落ちる「表層雪崩」だったという。
スキーや歩行などの衝撃で発生する人為的な雪崩は多くの場合、斜度30〜45度の雪面で発生。破断面の規模は一般的に深さ40〜60センチ、幅約50メートル程度という。これに対し、今回の雪崩は崩落が広がりにくい軟らかい雪質だったのに、大規模だった。
長野地方気象台によると、東日本大震災時、白馬村と隣接する大町市では震度3を観測。同ネットの出川あずさ理事長(50)は「人為的な原因の可能性もあるが、規模の大きさ、現場付近で複数の斜面で雪崩があったことから、地震の揺れで発生した可能性がある」と説明。「雪崩が起きそうな場所には注意が必要」と呼び掛けている。
県内でも各地で地震が相次いでおり、同気象台も地震による雪崩発生の危険性は高いとしている。