ぼくは脚本を書く時『宛書き(あてがき)』というやりかたが いちばん手応えを感じるぜいたくな書き方だとおもっています。
宛書きは、
最初に物語があるのではなく、演じてくれる俳優さんの容貌や、 声、立居振る舞いなどなど(はい。などなどです)から色んな イメージをいただいて、それを動力源に物語を紡いでいきます。 かなりしも「これならハマり役だろう」ではなくて「この役を 演じてる姿を観てみたい!」という自分勝手的なわがままから できていたりするのですが、稽古場で演出をしながらあたまに 描いた世界がぶわっと立ち上がり、増幅し、実現していく瞬間、 ぞくぞくする歓びにうちふるえます。
この書き方の場合、物語のゆくえも当初イメージしていたもの ではなくなってしまうことがあり、まるで自分で書いたみたい じゃないシーンに出逢えたりします。その快感はなにものにも 代え難く、こんなことがあるから芝居はやめられないとおもう 瞬間です。
2011年3月17日。今日(日付が変わったからもう昨日だけれど) 初日を迎えるはずだった舞台『1974』
紀伊國屋ホールにはオデッセーの頼れるナイスガイA吉さんが 期間中常勤で、もしも延期を知らずに訪れてくださるお客さま がいらした場合への対応をこころがけてくれています。
ぼくは劇場にも赴かず、電気を消した部屋で、静かに、静かに 今なにをしたらいいのかと考えたり考えなかったりしています。
公演が中止でなく延期になったこと、ものすごく有り難いです。 そして、ものすごく有り難いこととわかってるにもかかわらず、 「オッケー!よっしゃー、次だ!さぁ、切り替えて行くぜぃっ」 とはすぐにはどうしてもなれない自分がいます。
『1974』の炎が 『1974組』のみんなにもらったエネルギーが からだのうちがわで燃えつづけてやみません
『1974』を今、お客さまにご覧いただきたいと願ったきもちが からだのうちがわで燃えつづけてやみません
それで、
もちろん舞台の内容や役柄については来る12月の延期公演を 楽しみにしていただきたいので、ネタバレしたくないのですが、 それぞれの俳優さんたちから『宛書き(あてがき)』する時に いただいたものについて、この「幻の公演期間中」に少しづつ 書きつづってみようとおもいます
パンフレット予告編みたいなニュアンスでゆるゆるお付き合い いただければさいわいです
書いてみて「あ、やっぱ、これ、ネタバレに通じちゃうかなー」 とか思ったら途中でやめるかもです。スミマセン
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Date: 2011/03/18(FRI)
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