2011年3月17日13時29分
大阪地検特捜部のフロッピーディスク(FD)のデータ改ざん事件で、証拠隠滅罪に問われた元特捜部主任検事の前田恒彦被告(43)の第2回公判が17日、大阪地裁であった。前田元検事は被告人質問で「特捜部が起訴した以上、確実に有罪が求められる」と改ざんの動機を語った。郵便不正事件で特捜部が逮捕・起訴し、無罪判決が確定した村木厚子・厚生労働省元局長には「申し訳ない気持ちでいっぱいです」と謝罪した。
最高検は同日午後に論告求刑し、4月中に判決が言い渡される見通し。
まず、弁護人が改ざん事件の影響について質問し、前田元検事は「検察の伝統を私の行為で破壊してしまった」と述べた。特捜部の事件については「失敗が許されない」とし、元局長の捜査を任されたことには「別の検事がだめとされ、私が主任になった。強いプレッシャーを感じた」と振り返った。
一方で、改ざんしたFDのデータに関しては「村木さんの関与を否定する決定的な証拠ではなかった」と述べ、村木元局長の元部下らの供述に基づく元局長の逮捕・起訴に問題はなかったとの立場を示した。改ざん行為については、当時の特捜部長大坪弘道(ひろみち)被告(57)=犯人隠避罪で起訴=らにすべて報告した、とした。大坪前部長らは隠蔽(いんぺい)行為を否定している。
前田元検事は勾留中に亡くなった父親の葬儀に出席するために保釈申請しなかった理由を問われると、「顔向けできない」と声を震わせながら語った。最高検は午後に質問する。(平賀拓哉)