原発ジプシー

 私は浜岡原発で5年間余り働いていたのだが、原子力発電所で働いていた経歴は浜岡だけではなく、その前にも30歳代の頃、昭和50年代に10年間近く原発の仕事に携わっていたことがあります。その当時はある特定の現場で働いていたわけではなく、定検工事で各地の原発を渡り歩いていた。最近ではそのような人々のことを「原発ジプシー」と、いくらかの侮蔑を込めて呼ぶそうだが、その頃まさに私はそのような生き方をしていたのだった。

 ジプシーのような浮き草のような生活を始めて2年目のこと、佐賀県にある玄海原子力発電所で働いている時に、原子炉の炉心部に入ることになった。炉心部とは、ウラン燃料を燃焼させる場所である。核反応を引き起こし、その膨大なエネルギーでタービンを回転させて電気をつくるのだが、ウラン燃料を燃焼させる場所だから、他とは比較にならないぐらいの高放射線エリアである。そこに入って、原子炉内の傷の有無を調べるロボットを取り付けるのが、私に与えられた仕事だった。

 実は、その日、原子炉内に入ってロボットを取り付ける作業は他の人が受け持っていた。そして取り付けは完了したのだが、ロボットが外部からの操作に反応しないというアクシデントが起こった。炉内の壁面には無数の小さな穴が等間隔に開いていて、その穴にロボットの6本(だったと思う)の足が入り、遠隔操作で移動する仕組みになっている。しかし、どうも足が完全に正規の位置に入っていないようだというのが、取り付け作業を監督する立場にある社員たちの結論だった。

 足が完全に入っていない状態だというのが本当なら、そのまま放置しているといつ落下してもおかしくない。落下すると、数千万円と言われている精密機械が破損することになる。だから、そうなる前に正規の位置にロボットをセットするために私が急遽入ることになったのだ。原子炉近くのエリアで、炉心に入るための装備の装着を始めた。装着するために、2名の作業員が手伝ってくれた。すでに作業着は2枚重ねて着ているのだが、その上から紙製、ビニール製のタイベックスーツを着用し、エアラインマスクをかぶり、首の部分、手首の部分、足首の部分など少しでも隙間の生じる恐れのある個所を、ビニールテープでぐるぐる巻きにされた。

 まるで宇宙服のような装備の装着が完了すると、炉心部に向かった。炉心部周辺に到ると、そこに2名の作業員が待機していた。日本非破壊検査という会社の社員たちだったが、驚いたことに、高放射能エリアだというのに彼らはごく普通の作業着姿だった。マスクさえ付けていないのだ。その中の責任者らしい人物が私を手招いた。彼はマスクの中の私の目を見たあと、大きくうなずきを繰り返した。私の目を見ることによって、炉心内の作業に耐えられるかどうか判断したのだろう。

 その彼と共に原子炉に近づいた。この時に初めて原子炉本体を目にしたのだが、直径3メートルほどの球形もしくは楕円形をしていて(原子炉の大きさには記憶違いがあるかも知れない)、私たちの立っているグレーチングよりも少し高い位置にあった。原子炉の底部は私の肩ぐらいの高さだったから、1・5メートル弱といったところだろうか。その底部にマンホールがあった。マンホールは開いていて、そこから中に飛び込むだろうことはすぐに理解できた。

 日本非破壊検査の作業責任者は私の肩を抱き一緒にマンホールに近づいた。マンホールの入口ぎりぎりまで顔を近づけ、見上げるようにして中を覗いた。内部は薄暗く空気が濃厚によどみ、まるで何か邪悪なものでも住み着いているような印象を受けた。私の表情はこわばった。かすかに恐怖心を抱いたのだ。マンホールに近づくに連れて耳鳴りが始まり、入るのを拒否しているように感じられた。内部を覗き目を凝らしてみると、社員の指差す壁面にロボットが取り付けられていた。その取り付け方が不完全なので私が入ることになったのだ。しかし、内部は何とも不気味な雰囲気が漂い、この場から逃げ出したいのを必死でこらえていた。いくら嫌でも、入るのを拒否できる立場ではなかった。

 探傷ロボットの形状は一辺が40センチほどの正方形で、厚みが20センチぐらいだろうか。「蜘蛛型ロボット」と呼ばれていた。日本非破壊検査の社員はマンホールの入口間際まで顔を近づけるというか、どうかすると内部に顔の3分の1ぐらい差し入れて覗き込んだりして、熱心に私に説明している。この頃はまだ、労働者の放射線の危険に対する認識がかなり好い加減な時代だったが、一緒に内部を覗きながら私は、この社員さんの大胆な行動を危惧したものだった。

 彼は平然と覗き込んでいるが、恐怖心は湧いてこないのだろうかと思ったものだった。私の装備はほぼ完全な状態だったが、彼は半面マスクさえも装着していなかったのだ。最近の話になるが、ほんの数年前のこと、浜岡原発で非破壊検査の仕事を長くしていた労働者が顎のガンにかかった。彼の同僚たちは、放射線を浴び続けることによってガンに侵されたのだろうと噂しあったが、中部電力は浜岡原発での作業とガン発症の因果関係を認めようとしなかった。それに同僚たちも、後難を恐れて彼の病が原発での作業ゆえという発言を控えた。中電に睨まれるのを嫌ったのだ。

 この人は裁判に持ち込んで闘ったが、結局、裁判にも破れ、顎から絶え間なく血を流しながら無念の思いを抱いたまま死んでいったと聞いている。この事例を取り扱った静岡市の鷹匠法律事務所の大橋昭夫先生は、あの件はいま考えても浜岡原発内での作業が原因だったと確信を持っていると、悔しそうな表情で語っていました。30年も昔のこと、初めて炉心に入る私のために、マンホールに顔を近づけて説明してくれていた日本非破壊検査の社員さんの顔面には、目に見えない放射線がいっぱい突き刺さっていたに違いなかった。私よりもいくらか年上の人でしたが、もう生きていないのではないだろうかと、この文章を書きながら思ったものでした。

 炉心内部での作業の説明を詳しく受けたあと、いよいよ入ることになった。マンホールの真下に踏み台が置かれ、マンホールの斜め下にしゃがんで待機している私に対して、非破壊検査の社員が大きくうなずいて合図を送った。私は立ち上がると、頭を低くして踏み台に上がり、体を伸ばして上半身をマンホールの内部に突っ込んだ。その瞬間、グワーンという感じで何かが襲いかかり、頭が激しく締めつけられた。すぐに耳鳴りが始まった。恐怖と闘いながらマンホールの縁に両手を置き、勢いをつけて内部に全身を入れた。耳鳴りがいっきに激しくなった。

 ある作業員は、炉心に飛び込んだ直後に蟹の這う音を聞いたらしい。「サワサワサワ・・・・」という、まるで蟹が這っているような不気味な音は作業を終えたあとも耳元から離れなかったそうです。それどころか定検工事が終わり、地元に帰ったのちもこの音から解放されず、完全にノイローゼ状態になったとのことでした。この話を伝え聞いたあるライターが彼を取材し、体験話をヒントにして推理小説を書いたそうです。その本のタイトルは、「原子炉の蟹」。1981年出版のこの本は、その当時我々の間でかなり話題になりました。

 私の場合は蟹の這うような音は聞こえなかったが、頭を激しく締めつけられる感覚と、かなり早いテンポの読経のような響きがガンガン耳奥で響いていました。原子炉内部に飛び込むと急いで立ち上がった。勢い良く立ち上がると、ヘルメットが天井に当たった。やむなく首を傾ける姿勢をとり、薄暗い中でロボットを両手でしっかりとつかみ、「オッケー!」と大声で叫んだ。するとロックが解除され、ロボットの足が穴から飛び出た。ロボット本体は、思っていたよりも重くはない。足の位置を正確に穴に合わせ、再びオッケーと合図を送った。カチャリと足が穴に差し込まれた。うす闇の中で慎重にすべての足が穴に入っているのを確認すると、再度オッケーと叫び、あわててマンホールから外に飛び出た。

 その間、費やした時間は約15秒。私が逃げるようにマンホールから外に出ると、責任感の強い日本非破壊検査の社員は、またもやマンホールに顔を近づけてというよりも、顔の上半分を内部に差し入れてロボットの位置の確認をしていた。眼球ガンという病があれば、彼は容易くその患者となる資格を有しているように思えた。急いで炉心部から離れ、防護服を着脱するエリアに入った。防護服はいちじるしく汚染されているので、脱ぐのは慎重であった。ゴム手袋を何枚もつけた作業員がぐるぐる巻きにしたガムテープをハサミで切ってくれ、タイベックスーツと呼ばれている防護服は2名の作業員によって慎重に脱がされた。そのあとタイベックスーツは、裏返しに折りたたまれたまま素早くビニール袋の中に入れられた。タイベックスーツ内は、エアラインで空気が送れ込まれていたので比較的に涼しく、ほとんど汗をかくことはなかった。

 半ば放心状態でアラームメーターを取り出してみると、最高値を記録できる200のアラームメーターで、180余りの数値を記録していた。たった15秒の作業で、180ミリレムという信じられないような高放射能を浴びたのである。この当時は、いまと違って放射線の数値はミリレムという単位が採用されていた。いまはシーベルトという単位を使用している。この時の定検工事では1ヵ月余り作業に携わり、このあと私はもう一度原子炉内に飛び込んだ。2度目に入った時も恐怖心を克服することはできず、同じように不気味な耳鳴りも体験したのでした。

川上武志記者のプロフィール

30代の頃には10年間近く各地での原発労働に従事し、2003年8月10日から2008年9月6日までの5年間余り、浜岡原発で一労働者として働いていました。
現在は御前崎市に居住し、私の住居の1キロ南に浜岡原発があります。

メールアドレス、rbhrt048@ybb.ne.jp 

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【ご意見板】33 件の書き込みがあります

  1. 鈴木浩    2010年 12月 27日 02:39

    川上さまは非破壊検査の方の行動が危険行為であることを認識していながらなぜ告知しなかったのか?そちらの方が問題に思えますが。

    昨年、記事で紹介している玄海原発で作業員1名が1日の計画線量(1mSv)を超える1.35mSv(135ミリレム)被爆したとニュースに出ていました。
    現在の基準に当てはめると当然川上さまの被爆量1.8mSvはニュースに出ていたことでしょう。
    川上さまの時代と今では放射線に対する取組みは向上していると思います。
     

    15秒あまりの作業で1.8mSvとはシビアな作業であったと思いますが「信じられないような高放射能を浴びた」というのは誇張のしすぎです。 
    年間の許容法定被爆線量は50mSv以下です。

  2. 田口 敬三    2010年 12月 28日 13:04

    鈴木

  3. 田口 敬三    2010年 12月 28日 13:27

    鈴木浩様の書き込みに対して
     「告知」という言葉の使いかたがおかしい。非破壊検査の人に「危ないですよ」と教えてあげるという意味でしょう。一介の労働者が現場でそんなこと言えるはずがない。
     200のうち180まで行ったのを「信じられないような」と表現するのは普通です。車の速度計で考えれば分かる。時速200キロメートルまで表示してあってもせいぜい140までしか速度は出さない。180で走行したと言う人がいたら信じられない。鈴木様の日本語の感覚は平均から大きくズレていると私には思われます。
     川上様。言葉の形容は、しないほうがよいですよ。推進側の溺れかかっている人間が藁と間違えて因縁をつけてきますから。それに形容のないほうが説得力が増します。
     第2号の投稿ではボタンを押し間違えました。すみません。

  4. びんおじ    2010年 12月 28日 19:53

     川上様へ。

     教えていただけるとありがたいのですが、15秒で1.8mSv(180レム)という数値は、どうやってはかったのですか?

     たとえば、学校で、放射線教育の目的などで、貸し出されている「はかるくん」の場合、表示される被曝線量は、60秒間の計測の結果、そこにずっとおれば、1時間で、どのくらい被曝するのか?――の、予測被曝線量だったと思いますが、川上様がこの作業の際に、携帯されていた測定機とは、どのようなものだったのでしょうか?

     というのも、表示された数値の単位が、たとえばmSv/hか、mSv/sとでは、全く意味が違ってくるので…。

     ちなみに以前、川上様が書かれたような話を、聞いたことがあり、あまり書くと、問題が発生するとまずいので、どうすべきか?っと迷いましたが、もし関係者の方がこの記事を読み、気分を害されたら、お許しくださいと、お断りをしつつ書くと、実は、単刀直入に、当原発関係の方で、会社に入社以来、原子燃料の仕事をずっとしてこられ、原発内にも何回も入られている方に、お尋ねをしたことがありました。

     話では、昔のことはわからないけれども、少なくとも自分の知っている限りでは、現在は、放射能管理区域に入る際には、自分のIDと線量計をコンピューターに登録し、出る際には、必ず、どのくらい被曝したかをチェックするとのこと。

     また被曝量については、コンピューターに保存され、管理されているそうで、数値の不正はないはず――といっておられました。また、原発作業員は、みんな電力会社の社員という話でした。

  5. びんおじ    2010年 12月 28日 20:13

     あと、御意見板が、設置されていないので、ここに書かせていただきますが、浜岡5号機が、自動停止しなかった!っということは、原子炉の下部で、設定された加速度を、センサーが、検知しなかった!っということでしょうか?

     ちなみに、緊急停止とは、原発運転員が、スクラムボタンAとBをおしたということですね?

  6. 下山久美子    2010年 12月 28日 21:18

    一般の人の許容被曝線量は確か1ミリシーベルトと記憶していますが、原発労働者のかたは
    50ミリシーベルトというのは高すぎるのではないでしょうか?そうしないと原発で働くこと
    ができないからなのでしょうか?また被曝線量の高い仕事は、電力会社の社員というより、下請けのかたが作業されているそうです。

  7. 堅山安夫    2010年 12月 28日 21:41

    昭和50年代に30歳代ということは、今は60歳代ということでしょうか。
    原発ジプシーの時期が長く、時にかなりの被爆もありながら、
    今現在健康に暮らしておられるなら大変結構なことだと思います。

  8. 堅山安夫    2010年 12月 28日 21:52

    被ばくのバクの字が間違ってますね。ご容赦を。
     
    というか「曝」は常用外漢字ですね。

  9. びんおじ    2010年 12月 28日 21:53

    下山様

     自然界からの年間放射線被曝量の世界平均値は、2.4mSvです。ブラジルのガラパリでしたか?ここは年間で10mSvだそうですが、これによる白血病等の患者の増加は、報告されていないとか?中国やインドもけっこう高いそうで、日本は、低いという話です。

     放射線医学総合研究所で聞いた話によれば、低レベルの放射線を恒常的に受けていると、放射線に対する抵抗性というか、できるらしいとか。

     ちなみに、私たちが日々食事で体内にとりこむカリウム40から出るアルファ線(X線・ガンマ線よりも透過力は小さいそうですが、20倍の電離作用があるとか?)による体内被曝の危険性?を指摘する人もいますが、どうなんでしょうかね?

     放射線被ばくによる人体への影響は、急激に大量にあびた場合と、少しずつ被曝した場合と、またあび方によって、影響の出方が、どうも違うという話です。

     ちなみに、前立腺がんの治療では、一日2Svずつの39日間で、総量で78Svの放射線を患部にあてるそうです。また最近は、改良によって被曝量が小さくなってきているようですが、CT検査では一回で6mSvくらいだそうです。

     単純に、数字だけをみれば、前立腺がんの放射線治療による被曝量は、致死量を完全に超えています。

     おそらく、50mSvという数字は、広島、長崎の被爆者からのデータからではないかと思いますが、間違っているかもしれません。

     それから、私が、上の4の書き込みで書いた事柄について、聞いた話では、下請けではないような話でしたが…。

  10. びんおじ    2010年 12月 28日 22:01

     上の9の書き込みの中、前立腺がんの治療のところで、書いた2Svと78Svとは、2グレイ、78グレイの量のX線を当てた時の、人体に対する影響を表す単位のシーベルトに、それぞれ数値を置き換えたものです。変換係数は1です。

  11. 下山久美子    2010年 12月 29日 00:02

    低線量被曝の危険性につきましては、呼吸や飲食などにより体内に摂取した放射能による慢性
    低線量被曝によって、ホルモン及び免疫系がフリーラジカルによる障害を受け、生体の能力に
    障害を与えるという「ペトカウ理論」が有力のようで、2008年5月に大阪高等裁判所で引用され、2009年3月には東京高等裁判所でも「放射線量はごく低くても障害があることを直視すべき」という指摘がされました。同年5月には、放射線の影響を研究するヨーロッパを
    中心とした約30人の専門家による国際会議がギリシャのレスボス島で開催され、今の国際放射線防護委員会(ICRP)の方法では、放射能が体内に取り込まれた場合の内部被曝の影響について、最も感受性の強い人では少なくとも1ケタ過少評価することになるという「レスボス宣言」が発表されました。この会議ではチェルノブイリ原発事故による影響についての調査
    結果などが持ち寄られ、ICRPの方法では実際に起きている被害が説明できないということ
    であったようです。

  12. 鈴木 浩    2010年 12月 29日 01:52

    田口さま
    告知とは告げて知らせること・・・そのままの意味にとっていただけないのでしょうか?
    >一介の労働者が現場でそんなこと言えるはずがない。
    厳密に言えば現場監督の責任になるのですが、危険区域に頭を突っ込むという行為は
    現場監督が把握していなかったと思います。
    危険行為に気づいたら誰であろうが指摘する。どこの現場でも鉄則です。
    しかも2人は作業員同士です。上下関係は何もありません。
    会話の中で指摘してあげればすむだけの話でしょう。
      
     
    >時速200キロメートルまで表示してあってもせいぜい140までしか速度は出さない。180で走行したと言う人がいたら信じられない。
     

    あなたの比喩に合わせると、計画線量は道路の速度制限です。

  13. 鈴木 浩    2010年 12月 29日 02:33

    下山さま
    50mSvというのは何も原発従事者に限ったことではなく、医療従事者等その他全産業に適用されます。
     
    原発従事者であれば1日1mSvを超える被爆をしただけで公表されてニュースになる。
    一方医療関係であれば実効線量限度50mSvを超える被爆をしてもほとんどニュースになることはありません。
    2008年に50mSv以上被爆した医療従事者は14名にも上ることを知る人は少ないでしょう。
    一方原発を含む一般工業は2名です。
    被爆の問題は原発よりも医療分野の方が深刻です。
     
     
    同じ被爆でも原発と医療とでマスコミや世間の扱いが全く異なります。この違いは反原発プロパガンダの影響を示すよい例と思います。

  14. 堅山安夫    2010年 12月 29日 14:52

    >核爆発を引き起こし、その膨大なエネルギーでタービンを回転させて電気をつくる
     
    この言い方に倣うならば、
    台所の湯沸かし器は、ガス爆発を引き起こさせ、そのエネルギーでお湯を沸かす
    ということになるんでしょうか。
     
    真摯に原子力発電にかかわる人間だったら、わざとでない限りしないであろう、言葉の間違った使い方をするから、かえって真実味が失われてしまうんですよ。

  15. 下山久美子    2010年 12月 29日 17:42

    医療関係者のかたの被曝というとレントゲン技師のかたの外部被曝とかでしょうか?医療関係者なら一般労働者とは違って放射能の害についてもお詳しいと思いますので、自分で気をつけられることも可能ではと思うのですが・・・。内部被曝もあるのですか?もし内部被曝をされるとしたら、どのような経過で体内に入るのでしょう?

  16. 原発で働く第一線の現場経験者の経験談や意見は貴重です。
    ありがとうございました。

    チェルノブイリ事故だけでなく、フランスでもイギリスでも放射能汚染によるものと思われる
    小児ガンや小児白血病の増加が原発立地周辺で報告されている中、このように生態系への害が顕著なエネルギーにこだわる続ける日本政府や電力会社には国民の命や国土を守る愛国心が微塵も感じられません。太陽光や風力など他の発電技術が日進月歩であるにも拘らず、核エネルギーの破損した技術にしがみつくコンセプトも意味不明で、前世紀の遺物が起こす原子炉の放射能漏れ事故の多さも解決できないまま、日常的に全国で放射能を垂れ流しながら運転を続ける危険でお粗末な発電所にしがみつく必要を何も感じません。どうして、こんな電力会社に電気代を払わなければいけないのか・・・。国策と称して莫大な税金を投入するのもやめてほしいものです。

    川上さん、重ねて、ありがとうございました。

  17. 野田みどり    2010年 12月 30日 10:50

    14で堅山安夫さんも指摘しておりましたが、炉心で核爆発は起きません。炉心でおこるのは「核反応」です。
    私個人は原子力発電に現状反対の立場を取る者ですが、このような恣意的な嘘はいけません。政治的、経済的には、立場の違いによって物事の評価が異なる場合があり、自分の考えと違う意見があっても当然です。また、理解するためには高度な技術的背景が必要で、一般の方に説明をするときに、曖昧な表現を含む説明が必要になる場合もあります。ですが、核反応と核爆発の違いは、基礎的な技術的な問題で上の2つの例外に当てはまるものではありません。
    核爆発とは、核反応を短時間に起こすことによって発生させる、急激な(気体の)膨張現象のことです。そのような現象が炉心で起ったら原子炉は当然壊れてしまいます。
    また、現状の原子力発電は、核反応のエネルギーを熱として取り出して、水を水蒸気に換えその運動エネルギーでタービンを回し発電を行っています(これは前述の2の説明のはしょりと考えても良いかと思いますが)。
    5年以上原子力発電所で働きになった方が、こんな基礎的な用語を間違えるとは思えないので、印象操作を狙ったものと言われても仕方ないと思います。ミスというならば、ご訂正いただきたいと思います。
    これまで私は原子力発電反対の方と何度もお話ししたことがありますが、その多くの方が、無意識下なのかもしれませんが、このような恣意的な印象操作を行おうという嘘を平気でつくので辟易した覚えがあります。また「私は(理系ではないので)原子力発電には詳しくない」という免罪符を振りかざす方も多くいらっしゃいますが、原子力発電は物理および工学の純粋な技術的な問題です。技術的な問題を論じるのに、技術的問題を抜きに語るのであれば、原子力発電所の経済面や政治利権などの理由によって、原子力発電を肯定する賛成派の人たちと何ら変わりはないと思います。
    原子力発電に関して、その感想を書くことには、まったく問題はないと思います。ですが技術的な問題を含めて語るのであれば、「分かっていないものは口を出すな」と言わざるおえません。逆に言えば「ちゃんと勉強してから口を出せ」ということですね。

  18. 下山久美子    2010年 12月 30日 12:00

    一般人のイメージとしまして、「核反応」というより、「核爆発」の小さいものを想像する方がわかりやすいです。「反応」といわれると、いろいろな化学反応があり、具体的な形が思い浮かびませんが、実際には原子核に中性子がぶつかって原子核が割れ、放射能が飛び出てくるということではないのですか?

  19. 堅山安夫さま、野田みどりさま、厳しいご指摘ありがとうございました。
    それから、下山久美子さまもありがとうございました。
    「核爆発」と「核反応」・・・投稿文の核の部分ではないので、訂正することにしましょう。

  20. 鈴木 浩    2010年 12月 30日 13:48

    下山さま

    知識をもっていながらなぜ多くの人が被爆しているのでしょうか?鉛入りエプロンを使用しなければならない状況でめんどうだから使わなかったりしているのが実情でしょう。
     
     
    原発の作業員は正社員、下請け関係なく放射能、放射線の危険性を安全教育で学んでから作業しています。
     

    結局作業が手順どおり行われているかが重要であり、医療分野では作業管理が徹底してないので多くの人が被爆しているのです。

    医療機器はすべて放射線源は密閉されており、医療従事者が放射能を吸い込んだりして内部被爆することは通常ありません。
    しかし原発ではその可能性があります。なので記事中に見られる厳重な防護措置を行います。

  21. 田中康雄    2010年 12月 30日 16:38

    なかなか鋭い御指摘を読ませていただきました。
    検査対象物を破壊しないで行う検査というのを、非破壊検査と言う、これくらいのことは知っていました。
      
    しかし、非破壊検査と言いながら、人体を最も破壊する、放射能被曝の、作業または検査というものがあるとは知りませんでした。検査に、放射線被ばくが避けれれないのだから、対物非破壊&対人破壊検査と言うべきでしょう。非破壊検査が、最も破壊的検査とは、まさに ironyですね。
      
    オール電化、IHとか、co2削減と言いながら、耳鳴りがする作業をやらされる作業員がいることを、
    電力会社は必死に隠す。  
    日本を改革すると言いながら、日本を破壊して恥じない政治家がいる。
    日本は、irony国家なのか。

  22. びんおじ    2010年 12月 30日 19:09

     まあ~、みんな放射線のことについて、いろいろいますが、私たちの周りに存在する同位体元素から出てくる放射線による被曝やら、話かわって、自動車のタイヤやトイレットペーパーの製造、医療用器具の滅菌、トンネルを掘る際の穴を掘る位置の確認など、あげたらきりがない?感じですが、私たちが、知らないところで、放射線は、利用されているそうです。

     放射線について学び、それとどうつき合っていくか?―ということを考えていく必要は、ありそうです。(以上、私見)

  23. 川上武志様
    両記事ともこういう仕事に従事された方の誠実なお気持ちが書かれていてとても感銘を受けました。いろいろ御意見はあるようですが、働かれていらした方の心配不安が現場を改善していくのだと思います。またこういういい記事を読ませて頂くのを楽しみにしています。頑張ってください。

  24. 原発ジプシーの11にも低線量被曝が健康に及ぼす悪影響が明らかになってきたことを書きましたが、すでに1980年代に米国コロンビア大学の研究でも「弱い放射線でも、これを繰り返して照射するとガン細胞ができる。しかも、強い放射線を一度に浴びたときより、ガンの危険性が高い」ことが明らかにされていたそうです。(1980年3月28日・日本経済新聞)

  25. びんおじ    2011年 1月 3日 18:42

     下山様、24番の書き込みについて、どのような実験を行った結果なのか――?

     たとえば、どのような実験動物を使い、どのくらいの量の放射線を、どのくらいの間をおいて、どのような形で照射したか――など、具体的に、教えていただけるとありがたいです。

     その話が、本当だとすれば、世界で年間被曝量が最も高い、ブラジルのガラパリ(10mSv/年)では、「がん患者があふれている!」っという話にもなりかねないので。(今のところ、そんな報告はないという話ですが…)

     ちなみに、しきい値なしの、LNTモデルの出発点は、DNAの全く修復能力のないハエを使った実験から始まっているという話もあり、人には、DNAを修復する能力があるといいますし、また、免疫能力など、防御能力もありますから、この実験結果を、単純に、人にあてはめて、普遍化するには、ちょっと無理があると思いますしね。

     以上、間違っていたら、お許しを。

  26. 微量の放射線が生体に良い影響を及ぼすというホルミシス効果につきましても、人間レベルで
    どうかということは証明されていないのではありませんか?DNAの修復能力にしましても、
    早さ等に関連して限界があるそうで、完璧ではないようです。また11でご紹介しましたペトカウ理論によれば、大切な免疫力を破壊するのが低線量放射線です。
    なるほど個人差や民族で生体の能力差はあるでしょう。でも自分の体がはたしてどっちなのか・・・?社会全体の安全を考えるなら、安易な安全論は避けて欲しいです。
    以上、間違いがありましたら、お許しを。

  27. びんおじ    2011年 1月 4日 20:11

     どうも、お尋ねした米国コロンビア大学の研究の詳細についてのお答が無いような感じ?ですね。
     
     ところで、話は変わりますが、「日本放射線技術学会」のホームページを見ていたら、2010年11月19日の「お知らせ」の記事の中で、最近、下山様のようなことを言われる方が多い?ということもあり、この件での、当学会の見解が出ていました。
     
     内容を要約すれば、CT検査レベルでの放射線被曝の量ならば、人の放射線による影響度合いと、遺伝子の修復を含む、正常な状態を回復して保とうとする防御能力を考慮すれば、100%安全とはいえないまでも、ほとんど、問題ないということになるかと思います。
     
     ちなみに、実験から得られた数字や記事を書く上で、一応信頼ができるであろう研究者の文献も出ています。
     
     それから、日本放射線技術学会の該当記事へのリンクについては、かってにリンクをはると、まずいかもしれないので、もし、この記事を確認される場合は、すいませんが、検索サイトで、当学会を検索し、お知らせをクリックして、該当記事が、アップされた年月日のところをクリックしてください。

  28. 鈴木 浩    2011年 1月 5日 01:48

    下山さま

    ホルミシス効果についてはいくつか有益なデータがあり、一般より宇宙放射線を多く浴びているパイロットOBの発ガン率は一般の6割に留まっています。
    さらに台湾の放射能鉄筋ビルにより長期間被爆した住民の追跡調査でも一般よりも発ガン率が低いとの調査結果が出ています。

    びんおじさまご紹介のLNTモデルとは、放射線を浴びれば浴びるほど発ガン率は増え、いくら全という明確な基準値は存在しないだろうということだったと思います。

    LNTモデルにホルミシス効果を考慮すると、放射線によるDNAの損傷と自己修復のバランスが取れるしきい値があるだろうということで現在検証が進められているところではないでしょうか?

  29. 米国コロンビア大学の研究の詳細につきましては、1980年3月28日の日本経済新聞が保管されているかどうか、近くの図書館に問い合わせましたが、惜しいことに1981年からしかないということでした。びんおじさまにも探していただければと思います。「放射線被曝の
    人体への影響は、あび方によって違う」ということを9でおじさまから教えていただき、その通りと思いますが、であればCT検査レベルの放射線被曝の量が問題ないのは、「量」だけの問題ではなく、「あび方」にも関係があるのだろうと思います。どの程度の間隔をおいて、どのように照射するのか等といったところでしょうか?そうすると「安全量」と言えるものはなく、「安全条件」とでもいうべきものがあるということかと思います。だから微量でも危険がありうるという結論になります。またパイロットOBの発ガン率、台湾の放射能鉄筋ビルにより長期間被曝した住民の追跡調査につきましては、きちんとした疫学調査であれば、調査の対象群、非対象群を厳密に同条件に置き、有意差を証明できる数をそろえなければならないはず
    と思いますが、そのような正確な調査ではなかったのではありませんか?

  30. びんおじ    2011年 1月 5日 19:56

    下山様
     
    1.なぜ、米国コロンビア大学のその研究にこだわるのかわかりません。本当に信頼性のある研究ならば、多くの研究者が、その論文を引用しているはず。だとすれば、ネットで検索すれば、それらしき研究やら論文がヒットしそうなものですが、全く?出てこないところから考えて、どうなんでしょうかね?また、研究が1980年代と、古いですし…。
     
    2.鈴木様が、28番で言及された台湾の話ですが、本当の話のようです。記憶間違いかもしれませんが、確か放射線医学総合研究所で、放射線の人体に対する影響についての話を聞いたときに、聞いたような?
     
    3.一般的に放射線は、同じ量を被曝した場合、いっきに被曝した場合と、分割して被曝した場合とでは、いっきに被曝した方が、影響は、大きくでるという話だったような?
     
    4.縦軸に発がんリスク、横軸に線量をとった場合、LNTモデルだと、原点を通る比例の直線グラフになると思いますが、実際のデータに基づくグラフでは、低線量域になると、直線のグラフが途切れ(消え)て、高線量域では明らかに比例の直線のグラフとしてあらわされていた直線が、原点と結びつかなくなる(空白部分ができる)ようです。
     
     ここから、低線量被曝については、一応大丈夫だろう。また、何らかの(たとえば、DNA修復能力のような)要因によって、放射線に対する抵抗性が、あるのではないか?っと考えられているわけです。
     
    5.致死量の放射線をあびた場合、事前にある程度の強さの放射線をあてて、放射線に対する抵抗性がつくってあると、死亡するネズミの数は、抵抗性のないネズミと比較して、生き残る数が、多いという話です。
     
    ※【お断り】なお、私は、放射線の専門家でも研究者でもなく、全くの素人です。

  31. ukaghtoi    2011年 1月 5日 22:23

    下山さん

    私もコロンビア大学の原論文を読んでみたいのですが、タイトルだけでもお教え願いませんか。

  32. 私は何もこだわってはおりませんし、この研究だけが正しかろうなどと思っているわけでもありません。それに低線量放射線による慢性的な内部被曝が有害だとするペトカウ理論も、びん
    おじ様の言われていることと矛盾はしていません。瞬間的で強い放射線は大量のフリーラジカルを生成するといっています。そして低線量放射線による慢性的な被曝は、同時にほんのわずかのフリーラジカルがつくられるだけだといっています。ここまではよくご納得がいかれると
    思います。ただ、このほんのわずかのフリーラジカルは、血液細胞の細胞膜に非常に効率よく
    到達し透過するけれども、瞬間的で強い放射線被曝が大量に生成したフリーラジカルは、大量であることによって互いにぶつかり合い、無害な普通の酸素分子になってしまうため、かえって細胞膜への障害は少ないとのことです。このことは、チェルノブイリ原発事故の事故後のミルク中のヨウ素131被曝による死亡率が、ヨウ素131のレベルが100pCi以下で急激に上昇しているのに、高線量レベルになると増加率が平坦になってしまうことから裏付けられたそうです。

  33. まだ続きそうですが、きりがないのでこのあたりでご意見板を閉じることにします。



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