2011年3月16日22時47分
東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、福島市では16日午後7時、通常時の300倍以上に相当する1時間あたり14.7マイクロシーベルトが観測された。原発周辺の自治体では、風などの条件にもよるが、依然として大気中の放射線量が高い状態が続いている。
朝日新聞の16日夕方までの取材では、栃木県那須町で1.39マイクロシーベルト、前橋市で0.11マイクロシーベルトなどが観測された。岩手県では、盛岡市内で16日午後5時現在、0.037マイクロシーベルトを記録したものの、同県環境保全課は「昨年3月の月平均の0.021マイクロシーベルトよりは高いが、過去3年間でみると最大値は0.084マイクロシーベルトあった。通常の範囲内の数値で、健康には問題ない」としている。
一方、事故で福島第一原発から放出された可能性のある放射性物質の検出も各地で続いている。
中部電力は16日、浜岡原発がある静岡県御前崎市で、空中のちりやほこりからヨウ素131やセシウム134など5種の放射性物質を検出したと発表した。浜岡原発は安定して運転中で、周囲に異常な放射線量の変動がないことから、同原発によるものではない、としている。福島第一原発と浜岡原発は直線距離で約400キロ離れている。
新潟県も16日、同県南魚沼市でヨウ素131やセシウム137などを検出したと発表。東京都世田谷区でもヨウ素131などが検出されている。
今後、放射能汚染が激しい場所を調査する必要も生じるため、文部科学省は、人が近づけない危険な場所のガンマ線などの放射線量を測定できる無線操縦で動く防災モニタリングロボットを東京電力に貸し出した。
財団法人原子力安全技術センター(東京都)が所有するロボットで、同センターは「防災訓練などに参加したことはあるが、現場で実際に利用するのは初めてと思う」と話している。