資源高 末曽有の試練 3
音のない津波
自国の利益優先が世界の需給安定を揺るがす構図は途上国で高まる食料不安に通じる。コメ輸入国のフィリピンでは政府が提供する低価格米を求め行列ができる光景が日常化。震源はインドやベトナムの輸出規制だった。コメ不足が招いた治安悪化は資源が戦争の火種にもなってきた歴史を思い起こさせる。
世界食糧計画(WFP)のジョゼット・シーラン事務局長が「サイレント・ツナミ(音のない津波)」と呼ぶ食糧難問題は七月の洞爺湖サミットの緊急課題に浮上。未曽有の資源高は世界の新たな協調のあり方を問おうとしている。
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日本経済新聞 2008 年 4 月 29 日より抜粋
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