粕屋町で男子高校生2人が飲酒運転の車にはねられ死亡した事故を受け、亡くなった東区土井、私立博多高校1年、山本寛大(かんた)さん(16)の両親と同級生が11日、福岡市の高島宗一郎市長を訪れ「飲酒運転撲滅を実現できるよう協力してほしい」と要望した。【近松仁太郎】
訪れたのは山本さんの父浩之さん(44)と母美也子さん(42)、山本さんの中学時代の同級生4人。事故後、同級生たちが飲酒運転撲滅を呼び掛けるメールを送信し、その輪が企業などにも広がっていることを知った高島市長が「市も連携したい」と呼び掛けた。
美也子さんは三つのハートが重なった特製ステッカーを紹介しながら「自分の周りでは飲酒運転をさせないという思いやりの気持ちを1人でも多くの人に広げられれば、絶対にゼロにできる」と話した。同級生たちも「自分たちはまだ高校生で力も無いが、寛大の死を無駄にしたくない」と訴えた。高島市長は「飲酒運転撲滅に市としても真正面からと取り組んでいく」と約束した。
県内の飲酒運転による事故被害者遺族が11日、県庁を訪れ、飲酒運転撲滅の対策を早急に実施するよう求める要望書を提出した。「行政や遺族を含む県民一体となった力強い啓もう活動の推進と警察による強力かつ継続的な取り締まりが不可欠」と訴えている。
要望書を提出したのは、飲酒運転で子供を亡くした大庭茂彌さん(63)=糸島市=と松原道明さん(64)=福岡市=の2人。
要望書では、県内で相次ぐ飲酒運転事故について「県や県警による啓もう活動や取り締まりが緩んできているのではないか」と指摘。飲酒運転常習者の家族に対する啓もう▽飲酒状態で運転できなくなる装置の早期開発に向けた自動車メーカーへの働きかけ▽運転免許試験場での飲酒運転の疑似体験や遺族講話の実施--などを麻生渡知事に求めた。
県内では2月に粕屋町での飲酒運転事故で男子高校生2人が命を失ったが、その後も飲酒運転が相次いで摘発されている。大庭さんは「私たちのような遺族を一人でも増やしたくない」と話した。【松本光央】
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2011年3月12日 地方版