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全炉心溶融の恐れ 抑制室爆発、原因は不明 2号機

(03/16 02:31、03/16 09:49 更新)

 東日本大震災で損傷し、危機的状況が続く東京電力福島第1原発。とりわけ、炉心の大半が溶けるメルトダウン(全炉心溶融)の可能性も指摘されている2号機について、危機に至った原因を探った。

 沸騰水型軽水炉(BWR)の福島第1原発は1〜6号機があり、それぞれ燃料棒は圧力容器と格納容器に守られている。圧力容器は厚さ約10センチの鋼鉄製。外部から送り込んだ水を核分裂の熱で沸騰させ、蒸気でタービンを回して発電する。フラスコ状の格納容器は厚さ約4センチの鋼鉄製。圧力容器全体を覆い、放射能が外部に漏れないようにするシェルターの役割を果たす。

 建屋が水素爆発した1、3号機以上に2号機が深刻なのは、爆発が格納容器につながるリング状の圧力抑制室(サプレッションプール)で起きたことだ。圧力抑制室には冷却用の水があり、格納容器にたまった蒸気を水に変え、格納容器内を減圧する機能がある。

 圧力抑制室の爆発も水素爆発とみられるが、なぜ起きたかは分かっていない。爆発は水素が酸素と触れない限り起きないが、圧力抑制室内に酸素はないからだ。京大原子炉実験所の小出裕章助教は「理論的には配管内で核分裂が進むと酸素が発生する可能性もあるが、考えにくい。爆発以前から圧力抑制室内に何らかの破損があり、酸素が入り込んだのだろう」とみる。

 爆発後、福島第1原発正門付近では毎時8217マイクロシーベルトの放射線量が検出された。ただ、胸部コンピューター断層撮影(CT)で浴びる線量が6900マイクロシーベルトなので、広島大原爆放射線医科学研究所の星正治教授は「身体に影響が出るレベルではない」と話す。

 今後懸念されるのはメルトダウンだが、北大大学院の奈良林直教授(原子炉工学)は「(燃料棒が一部溶け始める)炉心溶融に至ったと思う」と語る。

 発電所は全体が停電しているうえ、非常用設備も機能していない。現場では消防車を利用して海水注入作業が進むが、圧力容器内の圧力に負けて注水はうまく進んでいない。枝野幸男官房長官は15日の会見で「給水はされているが、安定的という見方をしていいのか。もう少し経過を見るべきだ」と話した。

 大阪大大学院の北田孝典准教授(環境エネルギー工学)は「水を送り込む以外に手だてがない。炉心の熱は時間とともに下がる。同じやり方を続ければ、徐々に水位が増える」と、期待をつなぐ。

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