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震度7の建築経済学

阪神大震災に耐えるのか、耐えないのか

 国交省のホームページに「構造の安定に関すること」という解説が掲載されている(2007年10月1日に掲載を確認)。

 資料の内容からいうと、品確法、施行令、施行規則、関係告示の下に続く「解説」に相当するものだ。その解説に、こう書いてある。

【説明3】
 「きわめて稀に(数百年に一度程度)発生する地震力とは、例えば東京を想定した場合、震度6強から7程度、中低層の建物に作用する地震動の加速度で 400ガル程度に相当する」

 「これは、関東大震災において東京で発生したと推定される地震の揺れや、阪神淡路大震災において神戸で観測された地震の揺れに相当する」

 「耐震等級2の地震力はその1.25倍なので500ガル程度で震度7、耐震等級3の地震力はその1.5倍なので600ガル程度で震度7に相当する」

 「阪神淡路大震災では、800ガル程度の大きな地表の加速度が観測されたが、構造物にゆとりがあったので大きな被害を受けなかったものと報告されている」

 この解説文を整理すると次のようになる。

 耐震等級1──400ガル程度、震度6強から7程度、阪神淡路大震災に相当。
 耐震等級2──500ガル程度、震度7。
 耐震等級3──600ガル程度、震度7。
 阪神淡路大震災──800ガル程度。

 耐震等級1は400ガル程度で阪神淡路大震災に相当すると説明し、同時に阪神淡路大震災は800ガル程度と説明している。「はて?」

 建築基準法レベルの建物あるいは、耐震等級1の建物は阪神淡路大震災に耐えるべきなのだろうか、耐えなくてもいいのだろうか。わたしにはまったく見当がつかない。設計者や施工者の罪を問えるかどうかも、当然のことながら不明である。

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