労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」としています。
会社都合で従業員を休ませた場合は、一定の額の手当を支払う必要があるという規定です。
今回の東日本大震災により、事業所の操業が不可能となった場合などで従業員を休ませた場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当せず、休業手当を支払う必要はないものと考えます。
一方、ややこしいのは派遣労働の場合です。
派遣労働者が従事する派遣先が操業不能となった場合はどうなるのでしょうか?
この場合、派遣先が操業不能となったとしても、派遣元(派遣会社)がその派遣労働者を別の派遣先を探すなどの義務が生じ、代替の派遣先が見つからない場合でその派遣労働者を休業させなければならない場合は原則的には休業手当の支払い義務が生じます。
派遣労働者にとっての労働基準法上の使用者は派遣元事業者であり、労働させる義務はその派遣元事業者にあるためです。
ただ、今回の大震災のような非常事態のさなか派遣先が壊滅状態にあり、代替の派遣先が見つからないということもあると思います。
このような場合は、実態に応じて判断されることになります。
しかし、派遣先の多くがこの震災が影響で派遣契約を解除したような場合であったとしても原則的には休業手当の支払い義務が発生すると判断されるのは間違いないでしょう。
労働基準法が労働者保護の法律であるとはいえ、使用者にとっては経営上大きな負担を強いられることに憤りを感じます。
藤武雅之
2011年03月15日
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