大統領専用機に異常、報道は13時間後

 韓国の大統領専用機が12日午前8時10分、アラブ首長国連邦(UAE)に向け、ソウル空港(京畿道城南市)を離陸後、機体異常で仁川空港に引き返し、機体整備を行った上で午前11時15分に再び離陸していたことが明らかになった。その事実がマスコミで最初に報じられたのは、同日午後9時10分のことだった。国民は大統領専用機の異常事態を13時間も知らなかったことになる。

 韓国大統領府(青瓦台)の洪相杓(ホン・サンピョ)広報首席秘書官は、大統領専用機に乗った随行記者団に対し「大統領の日程が公開されるのは、警備上問題があるため、状況が整理された後で報道してほしい」と要請した。大統領の青瓦台以外での日程は、生放送が行われるケース以外、行事終了まで報じないというのが大統領府警備処による長年の方針だ。

 洪秘書官は「他国の上空を長時間飛行しなければならないため、UAE到着まで報道しないでほしい」と述べた。随行記者団は、記事をあらかじめ送稿した上で、専用機の再出発が不可能になるか、現地空港に到着した時点に報道を行うことを申し合わせた。本紙もそれを受け入れた。

 しかし、韓国マスコミの間では、それが果たして正しい決定だったのかどうかをめぐる論争が起きている。大統領専用機が安全に仁川空港に着陸後、再び離陸した以上、機体異常と引き返しの事実を国民に知らせるべきではなかったかとの指摘だ。本紙も批判の的となった。

 大統領府はこれまで、一定時間まで報道を制限する「解禁時刻」の設定をしばしば要求してきた。本紙は今月9日、UAEでの油田開発権確保を事前に取材し、報道しようとしたが「最終調印まで報道しないでもらいたい」という要請を受け、報道を自粛した。本紙は今後、大統領府の報道制限要請が本当に国益にかなうものであれば協力するが、報道制限に政府関係者や記者の便宜を図る要素が少しでも含まれていないどうかを細かく検証し、受け入れの可否を厳格に判断する方針だ。

チョ・ベッコン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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