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証拠改ざん:前田被告、起訴内容認める 大阪地裁初公判

前田元検事の初公判で、大阪地裁に入る最高検検事たち=大阪市北区で2011年3月14日午前8時56分、三村政司撮影
前田元検事の初公判で、大阪地裁に入る最高検検事たち=大阪市北区で2011年3月14日午前8時56分、三村政司撮影

 郵便不正事件の証拠品だったフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたとして、証拠隠滅罪に問われた元大阪地検特捜部主任検事、前田恒彦被告(43)の初公判が14日、大阪地裁(中川博之裁判長)であった。前田元検事は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 起訴状によると、前田元検事は09年7月13日、地検庁舎内で、厚生労働省元係長、上村(かみむら)勉被告(41)の自宅から押収したFDのデータを改ざんしたとされる。上村元係長が稟議(りんぎ)を経ずに作成した厚労省の証明書について、厚労省元局長、村木厚子さん(55)が関与したとする検察の構図に合うよう証明書作成の日付を変えたとされる。

 冒頭陳述で検察側は「前田元検事は、FDデータは検察の構図と整合しない嫌らしい証拠で、村木さんの弁護人に開示されれば裁判が紛糾すると考えた」と述べた。検察がFDを保管していると弁護側の請求があれば裁判に提出しなくてはならず、「手持ち証拠から排除しようと上村元係長に還付を考えた。上村元係長から村木さんの弁護人にデータ内容が伝われば裁判が紛糾し、上司から叱責されるため、データ改ざんを決意した」と動機を説明した。

 弁護側は「特捜部には失敗が許されない重圧があった。上司に(無実の可能性を示す)消極証拠を報告できず抱え込んだ」とし、「データ改変を上司に伝え辞職を表明したが、上司から過失とすり替えて説明するよう言われ従った」と述べた。

 証拠改ざんを隠蔽(いんぺい)したとして、犯人隠避罪で起訴された前特捜部長、大坪弘道被告(57)と元特捜部副部長、佐賀元明被告(50)は、全面否認している。【苅田伸宏、北川仁士】

毎日新聞 2011年3月14日 11時03分(最終更新 3月14日 12時02分)

 

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