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きょうのコラム「時鐘」 2011年3月15日
足元の地殻の断層だけでなく、電力にも「断層」がある。東日本は50ヘルツ、西は60ヘルツと周波数がずれる。東日本に出向いてそれで困った記憶はないが、今度ばかりは具合が悪い
深刻な電力不足である。困ったときはお互いさま、と胸をたたいて節電し、電力を融通したく思う。が、周波数のズレのせいで、スズメの涙ほどしか役立たない。阪神大震災の時は、逆に東から西への融通が滞った。のど元を過ぎて、電力の「断層」問題は放っておかれたか 計画停電という新たな事態を、北陸からは見守るしかない。前日に突然発表があり、「やる」「やらない」「やるかもしれない」と迷走した初日だった。首都圏の知人たちは、さぞ困惑しているだろう。様子を知りたいが、不要不急の通話は控えねばならぬ 当分は「節電列島」となる。あらためて見回せば、電力の飽食のような暮らしである。いろんな機器が備わり、電子音を合図に、立ち居振る舞いを繰り返す。裸電球の質素とは比べようもない豊かさに満ちている 災いを転じて福となす。その流儀に従えば、暮らしのぜい肉を見直し、そぎ取る機会の到来だろう。 |