ウランちゃんのなるほどアトム教室

原子炉格納容器漏えい率検査とは、どういう検査なのですか?


アンサー
原子炉格納容器は、原子炉などをおおっている鋼鉄製の容器のことであり、万一、運転中に配管が破れ原子炉の中から水が漏れ出すような事故によって格納容器内に蒸気やガスなどが充満し、圧力が高まった場合でも、十分耐える強度と、放射性物質などが外部に漏れ出ないような気密性が必要とされています。

では、検査は具体的に、どのようにして行われるのでしょうか?

検査を実施する前には、原子炉格納容器の出入り口や格納容器の内と外をつなぐ配管の弁などを全て閉じなければならず、約2000か所の弁のチェックが必要になります。

次に、原子炉格納容器に窒素ガスを入れ、約4気圧程度までに加圧します。その後、一定時間後に気体が漏れ出し、どれだけ圧力が下がるかを測定しています。

※実際には、格納容器内に漏えいしない基準容器を置いて、格納容器と同じ圧力にし、その後、原子炉格納容器と基準容器の圧力差から漏えい量を測定します。

通常は、6時間の圧力の変化を測定し、漏えい率が基準値を満足しているかを測定していますが、10年に1度は24時間測定を行っています。


ひとくちメモ   その1
平成3年から4年にかけて、福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器漏えい率検査で空気を注入して、検査に合格させるという不正が行われました。このため、東京電力は、国から1号機の1年間の運転停止処分を受けるとともに、東京電力の全原子力発電所で、平成14年12月から平成16年6月まで格納容器に気体などを注入できる弁を封印するなど、検査過程で不正操作が行われないようにして検査が行われました。
ひとくちメモ   その2
平成16年5月に行われた福島第二原子力発電所2号機の原子炉格納容器漏えい率検査では、漏えい率がマイナスとなり、再検査を行っています。格納容器からの漏えい量が極めて小さい場合、室温(格納容器外の建物内の温度)の低下の影響が主な要因となり、漏えい率がマイナス値となることがあり得ると確認されています。県では、格納容器漏えい率検査結果に、室温が影響を及ぼすことから、国や東京電力鰍ノ対して、室温データについても管理することなどを求めています。

原子炉建屋概略断面図
「原子炉格納容器漏えい率測定の信頼性評価にかかる検討会」資料より