IS、インフィニット・ストラトスというものがこの世界にはある。
女限定で乗れるマルチスーツであり、現行のどの兵器よりも強力な存在で、たった数機で国1つを殲滅可能というとんでもスーツだ。
そのせいで女尊男卑な世界になってしまった。
まあ、その前くらいから男女平等といいつつ女性優先なものはあったりしたけど今はちょい関係ないか。
だけど、ついこの前……まあ俺が高校受験で必死こいてたぐらいにだが、世界を仰天させるようなことがあった。
なんと男がISを動かしたというのだ。
晩飯食ってて聞いたときは米を口から吹いて母親に怒られたくらい驚いた。
しかもその名前が
『織斑一夏』
……思いっきり聞いたことのある名前だった。
箒が昔住んでたとこでの友達だったはずだ。
俺と同じ歳の親戚の篠之乃箒の幼なじみで、正月やらなんやらで親戚一同が集まるときによく聞かされた名前だ。
聞かされすぎて覚えてしまったのだ。
顔も知らん奴の名前知ってどーすんねんという話でもあるけど。
そーいや、IS学園の入学決まったとか聞いたしきっと再会してギャルゲーな感じになるのかな?
っと……話がズレた。
とにかく男がIS動かせたってことで仰天したわけだ。
あれから月日が過ぎてもう6月。
俺も地元の高校の入学式を済ませて普通の高校生となったある日のことだ。
「やっほー! お久しぶりだね! ところで慶斗君もIS乗りたくない~?」
突然箒の姉ちゃんの束え(たばねえ)が通学路に落ちてきたと思ったらこんなこと言ってきた。
色々突っ込むとこはあっただろうが、こう答えた。
「むしろガンダムに乗りたい!」
「オッケー! わかったよ! じゃあとりあえず政府に連絡しとくね!」
なんかそのまま突然現れたミサイルに乗ってどこかに飛んでいってしまった。
……え? 何? え? え? 結局なんだったんだ!?
IS ~とりあえずもう1人男キャラを突っ込んでみた~
束えの突然の襲来から1週間が過ぎた。
そして今、俺はIS学園にIS学園の男子制服を着て職員室にいた。
あれこれ色々経緯はるんだが、簡単に言おう。
束え「もう1人適正ある子いたよー!」 政府「え!? マジ!?」 束え「名前と住所はねー」 政府「おk! とりあえずIS学園入学の手続きしておく」
こんな感じである。
しかし1週間でそれが済むとは……恐るべし天才束え。
「えっと……君が転校生の篠乃之慶斗君ですね。私が副担当の山田真耶です。よろしくお願いします」
「あ、お願いします」
メガネをつけたなんとも普通な感じの先生だった。
名前も山田ですげえ平凡な日本人って感じだ。
「私が担任の織斑千冬だ。しかし束の従姉弟が編入とはな」
「え? 知り合いなんですか? てか織斑ってことはあの?」
「余計な話はしないでさっさと行くぞ。時間に遅れる」
織斑とかいうこの先生すげえ怖え!
つうか質問すらさせてくれないとかちょっとひどくねえ!?
……ものすげえ美人だけにちょっといいと思った俺にM属性が見えたのがショックだ。
廊下を先生2人と一緒に無言で歩いてついた先は1年1組。
中に入ると見渡す限り女子、女子、女子。
しかも国籍まったく関係なしで外人もいっぱいいた。
共通して言えることはすべての女子の容姿レベルが半端じゃないということだ。
たしかここの倍率って数千、数万だったよな……入試の内用に容姿も入っていたのか?
「はい、それではまたまた転校生を紹介します。世界で確認された3人目のISを動かせる男の子です」
「篠之乃慶斗です! IS動かせるってことでここに入学できました! 特別扱いで気に食わないことあるかもしれませんがよろしくお願いします!」
そのまま45度に体を折って深く礼。
いろいろ一発ネタとか考えたけど無理だった。
俺にそんなことできる度胸はない! 滑ったら女子ばっかの学園でやっていくには辛過ぎる!
「そういうわけで織斑君、デュノア君は篠之乃君のお世話をお願いしますね。同じ男の子同士仲良くしてください」
ん? 織斑はわかるがもう1人? 俺が2人目って聞いてたけどもう1人いたってことか。
「それでは1限目に入る。篠之乃サッサと席につけ。貴様は一番後ろの窓側の席だ」
え? こういうのって1時間目は質問時間とかで使われるんじゃないの? マンガとギャルゲのし過ぎだったか。
自重しよう。
やすみ時間になった。
さあ質問タイムいつでも来い! と思ったが意外にもこないな……なんか観察されてる?
「よお。お前もとまっどってる感じか」
「おお、人類初の男のIS操縦者か」
「ああ、織斑一夏だ。よろしくな。こっちがシャルル・デュノアだ」
「よろしくね」
おお、外人さんだ。
織斑の彼女だろうか……めっちゃかわいいじゃん。
「俺たち3人が数少ないこの学園の男だし仲良くしようぜ」
「は?」
「おいおい。そんな連れないこというなよ」
いやいや、そこじゃねえよ。
今なんつった。
「え? 何? 男?」
デュノアの方を指差してしまう。
そんな馬鹿な!? こんなにかわいいのに男だと!?
「うん、そうだよ。シャルル・デュノア。フランスから来たんだ」
「嘘っ!?」
「あはは。俺も女っぽく見えるから最初はびっくりしたけどな」
「え? でもそんな素振りしなかったよね?」
「いや、だって男だっていうんだからそうなんじゃないのか?」
「あ……う、うん。そうだね」
なんでどもる。
しかしこの顔で男って……まあある意味女子からの支持は高そうだな。
美少年にランクインって感じか。織斑はかっこいい系のイケメンだな。
くっ……話が両親よ……何故俺をもっとイケメンに産んでくれなかった。劣等感を感じずにはいられません。
「まあとにかくこれからよろしくな」
「あっ、おう。こっちもよろしく。ところでホーキ……篠之乃いる?」
「いい加減その呼び方をやめろ慶斗」
「っていつの間に……」
視線を動かして探してみようとしたらホーキが腕組みしていつのまにか織斑の横にいた。
おお、久々に合ったがこれまたえらいべっぴんになってるな。
しかも黒髪ロングでポニテのままだと……ポイント高いじゃないか。
「え? 2人は知り合い?」
「そういえば名字が同じだよね」
「ああ、従姉だ。久々だな」
「まあそうなる。というか何故ここに来た。私は何も聞いてないぞ」
だって言ってないし。
いきなりの展開過ぎて連絡する暇なかったし、おれ自身がホーキのケータイの番号とか知らないしな。
「まあそれは置いといて……」
「置くな!」
「なんだ。いつの間にくっついたんだ?」
「なっ!?」
織斑とホーキを交互に見ながらニヤニヤしてしまう。
「いやあ~そうか。そうか。うんうん。小さいときに耳がタコになるくらい織斑のことを聞かされたからな。よかったじゃないか」
「うん? 俺がなんだって?」
「わーー! 馬鹿! 喋るなーーー!」
「むー!むおーーー!」
慌てたホーキに口を押さえられる。
てか手が手刀みたくあたったから痛い!
「お、お前はもう黙れ! 一夏! いいか! 何も聞くな! いいな!」
「え? でも」
「いいな!」
「お、おう……」
……もしかしてそうでもなかったのか?
「篠之乃君はもう少しデリカシーもった方がいいと思うよ……」
デュノアに注意されてしまった。
たしかに……
「ちょっと失礼いたしますわ」
今度は金髪ロングな女子が来た。
なんというか日本語堪能なのばっかだな。
「まったく。私を誰と思いまして。イギリスの代表候補セシリア・オルコットでしてよ。その私に挨拶もないとは一体どういうことですの!」
高飛車なお嬢様のような仕草でそう言って来た。
ちょいカチンと来る言い回しだが……イギリスの代表候補だと!?
つまり超エリートってことか!?
「あら、どうやら驚いたようですわね。まあたしかに私とブルーティアーズの前ではそうなってもおかしくないことですが」
「すげー。てことはあれだろ? 超エリートなんだろ? マジすげえ」
「ああ……そうですわ。これですわ。この反応が当然であり私の求めたもの……」
なんか感動を噛み締めてるんだがどうすればいいのだろうか。
「もしかして他にも代表候補とかいるのか?」
「あたしがそうよ! 中国代表候補生にして一夏の幼なじみ! 凰鈴音よ!」
今度はツインテールの小柄なのが現れた!
今度は中国か! しかもこっちも日本語うまい!
「やっほー一夏。なんかまた男のIS操縦者が来たってきいて来ちゃった」
「わざわざ隣のクラスから来るとは暇なやつだな」
「なんですってー! わざわざ来てやったんだから感謝しなさいよね!」
……なんだこの空気。ギャルゲか?
てかこいつも幼なじみってことは
「ホーキも幼なじみ?」
「いや、私が引っ越した後のだそうだ。というかいい加減その呼び方をやめろ」
「じゃあどうしろって言うんだよ。箒って呼び捨てしたらと怒ったじゃねえか。箒ちゃんとでも呼ぶか?」
小さい頃に自分を呼び捨てにしていい男は自分の夫になる男だけだとかいうことを言ってたじゃねえか。
「それもやめろ。こ、この歳でそれは恥ずかしい」
「俺もちゃん付けは恥ずかしいわ」
「う、うむ……と、とにかく他を考えろ!」
無茶言うわーこいつ。
「なんつーか。仲いいなお前ら」
「そんなことはない!」
「えーどうだか。てっきり夫婦漫才かと思ったわよ。にっしっし」
「ええ、お似合いでしてよ」
「鈴、セシリア貴様ら……」
ふむ……
声を小さくしてデュノアの耳元で聞いてみた。
「なあ……もしかしてあの3人って織斑争奪中?」
「うん。もしかして篠之乃さんのことは元々知ってた?」
「そりゃあな……さっき言っただろ? 小さい頃って」
「ああ、納得」
そう話をして再び目の前の4人に視線を戻す。
4人でなんか言い合いをしている。
「……織斑は?」
「気づいてないみたいだよ」
「……マジかよ」
とりあえずデュノアと2人でため息を吐くのだった。
時間は過ぎて放課後。
今日は全授業が教室で済ませられる内容だったのでとくに移動はなかったのでイベントも特になしだった。
さて、寮の方にもどるか。
「ねーねー! 篠之乃君!」
「篠之乃さんとイトコって本当!?」
「もしかして織斑君と一緒で専用機持ってるの!?」
「うおっ!?」
時間差で別の女子から質問タイムだと!?
女子に囲まれるなんて初めてだからちょっと嬉しいじゃねえか。
『篠之乃慶斗君。1年1組篠之乃慶斗君。第一アリーナまで来てください』
と思ったら放送で呼び出し。
そのまま女子に謝って第一アリーナへと向かうことになった。
「……ここはどこ?」
第一アリーナへ来いという放送だった。
だが迷子になってしまった。この学園広過ぎ。
どうしよう。このままだと辿り着けない。
どこかその辺の生徒に聞くしかないよな。
そう思ってあたりを見回すと1人だけ見つけることができた。
あの人に聞こう。
「すいません」
「何だ」
声をかけて振り返る女子生徒。
銀の髪に左目に眼帯をしており、やや小柄な女子生徒だ。
ほっ……日本語通じてよかった。どうもIS学園の生徒は国籍関係なく日本語を話せるようだ。
「第一アリーナってどこかわからないんですけど」
「だからどうした」
「え? あ、どこにあるか教えて欲しいんですけど」
「自分でどうにかしろ」
そのまま立ち去る銀髪さん。
……なんつか冷たいとしか言えなかった。
「どーっすかな。このままだと織斑先生に怒られるな。アリーナってことは多分ISのことでなんだろうけど」
銀髪さんの後ろ姿を見送りながらこれからのことを考えようとしたらピタっと止まってこっちに戻ってきた。
「貴様教官に召集をかけられているのか」
「え? あ、うん。そう」
「何をしている! サッサといかんか! 教官の命令に逆らう気か!」
「いや、命令ってそんな大層なもんじゃ」
「いいから走らんか! さっさとついて来い!」
そのままいきなり走り出す銀髪さん。
え? 案内してくれるってことでいいのか? とにかく追いかけるしかないか。
「って速っ!」
「何をグズグズしているこのノロマが! その辺のカメでもそこまで鈍足ではないぞ!」
ちょ、これでも部活とかで鍛えてたのにマジでこいつ速すぎる。
文句言いたいけど向こうの方が速いのはマジだし文句言えない。
「サッサと走らんか!」
「っ、あーもう! わかったって!」
だからダッシュしてるじゃねえか!
軍隊じゃねえんだぞこの野朗!
……って、あれ? IS学園生だと軍属の生徒もいるとか聞いた気が。
「遅いぞ」
「もうしわけありません教官」
「……何故ボーデヴィッヒまでいる」
「はっ! 召集に対し遅れた不届き者がいたため連れてまいりました」
「ぜーはーぜーはー」
アリーナについて早々織斑先生よりお叱りを受けた。
そして息が切れてる俺と比べて息を切らせてないで、しかも気をつけまでしてる銀髪。
どんだけ鍛えこんでるんだここの生徒は……
「貴様姿勢を正さんか」
「ちょっと待って……はあ……はあ……遅くなって、す、すいません」
「まあいい。ボーデヴィッヒご苦労だった。戻っていいぞ」
「はっ!」
敬礼してアリーナから出て行くボーデヴィッヒ。
どうも仕草からして完全に軍属のようだ。
あの歳でもう軍人とはすげえな。
やっぱりIS操縦者っていうのは色々特殊な部分があるみたいだな。
「さて、お前を呼んだのはISの起動テストのためだ」
「ああ、やっぱりですか」
「束から聞いたがまだ実際には動かしていないというのは本当か?」
「はい」
動かしてもいないのにここに来てよかったのかと不安になる。
あれから束えからきた連絡は「起動確認は学園の方でしてね」ということだけ。
用意はしておいてくれてたみたいだけど。
「まったくあいつは……」
「織斑先生は束えの親友だって聞いてますけど」
「そんなところだ。話を戻すがお前のISは届いている。束が国から徴収して少し手を加えてはいるが基本は何も変わらん」
織斑先生の視線の先に置かれている無骨な鎧のようなフォームに黒をメインカラーとした純国産第二世代IS『打鉄』が置かれていた。
「束からの伝言だ」
手紙を渡されそれを開く。
『馬鹿なこと言った馬鹿な子にはジャジャーン♪ 純国産品をプレゼント~♪ 期待した? 期待した? でも束さんはその期待を裏切ってみたりするんだなこれが♪』
……ひでえ!
そういえばこんな人だった!
基本親族でも人間に興味ない人なんだが年下の俺を苛めるのが大好きで、俺には興味示してたんだった!
ガンダムに乗りたいと言ったから、それっぽくなってるISかなと思ったらまんま国産品とは!
「基本資料は読んでいないだろうから用意はしておいた。これを1週間で頭に叩き込め」
百科事典並みに分厚いマニュアル本を渡される。
んな無茶な……いくらなんでもこんな量……夏休みの宿題でもこんなに出ないぞ!?
「む スパーン!
無理ですと言う前に出席簿で頭をはたかれた。
痛え。
「1週間で覚えろ」
「はい」
この人に逆らえる気がしない。
「この打鉄だが先ほども言ったが束が手を加えている。本人は織斑のデータを元に微調整のみしたそうだ。一応調べたが機体自体は一般のものと変わらん」
「マジっすか……」
「国からも量産機における男子操縦者のデータが欲しいから打鉄のデータを行えと言われている」
「量産機のデータ?」
「……織斑には別の専用機が用意されていてそっちのデータは別途採取ということだ」
やべ、なんか羨ましいと思ってしまった。
同時にずるいとも思う。
……まあ向こうが一番最初の男子操縦者だし仕方ないといえば仕方ないし理解はできる。
けどまあ思うことは別というわけで。
「だがこの打鉄はお前のデータ保存を目的にしているため使用するのはお前だけだ。量産機ではあるが、一応専用機ということになる」
「はあ……」
「不服か?」
「少し」
「図に乗るなよ。織斑もそうだが特殊ケースというために優遇されているだけで、お前たちより優れたIS操縦者はいくらでもいる。専用機を持たないものも含めてだ」
「……はい」
「わかればいい。では動作テストを行う。アンダースーツに着替えて来い」
「はい」
「声が小さい!」
「はい!」
ISの動作テストも無事終わり寮に向かう。
結果で言えばISは無事に動かすことができた。
数値的にも平均レベルの適正値が出ていて不具合らしいものはなかったそうだ。
初めて乗った感想としてはおもしろかったというのが一番強い。
宙に浮いて空を飛ぶ。
想像しかしたことなかったけど自分の思うように空を飛ぶというのはものすごく気持ちが良かった。
最初は量産がどうだとか思ったけどそんなの関係ないってすぐに思えた。
「えーっと、俺の部屋は……1025っと。ここか」
終了時に渡された部屋の番号の鍵。
相室らしいので多分中にいるのは織斑かデュノアだろ。
そのまま扉を開けて中に入る。
「うーっす。今日からよろしく」
「おっ、来たか」
「今日からよろしくね」
2人はテーブルに座ってお茶を飲んでたようだ。
軽くこれからの挨拶を済ませて部屋の内装を見てみる。
入ってすぐの所にまずキッチン、風呂があるのにビックリした。
さらに部屋の奥に入ってみるとベッドが左側に2つと、窓側に急遽設置されたのが1つ。
PCの設置された長テーブルが右側に設置されていて、イスが3つある。
……え? これ寮だよな? ホテルじゃねえよな?
「実家の自分の部屋より全然いい部屋すぎるんだが」
「あはは。俺も思った」
「女の子ばっかりの学園だし、各国から資金が出てるからね。このくらい普通だと思うけど」
「デュノアすげえな……」
「え? そうかな?」
この設備は普通じゃねえって。
まあ国際的に支援されてるんだし、これくらいの設備がないと箔がつかないだろうけど。
「戻ってきたらベッドが増えててビビったぜ」
「多分、篠之乃君が来るんだと思ったけどやっぱりそうだったね」
「あ、やっぱそうだったんだ」
急遽設置したってのは間違ってなかったみたいだ。
どうも基本は2人部屋らしいのだが男は3人。
女子と相部屋は不味いので無理やりだが一緒にされたんだろう。
ちなみに一夏だけだった時期があるらしく、そのときはこの部屋にホーキがいたとか。
なんで寝食ともにしてて何も起きてないんだよ!? 頑張れよホーキ! 千載一遇のチャンスだったじゃねえか!
「そういや、飯は食ったか? 多分まだだろうから一緒に行こうと思って待ってたんだけど」
「あ、まだだわ。場所も知らねえし」
「じゃあこれから行こうよ」
「ちょいその前にシャワー浴びさせてくれ。更衣室にタオル持ってかなかったから浴びてねえんだ」
ベッドの上に着替え等を入れたスポーツバッグを開き下着と着替えを出して適当にその辺に置く。
「ちょっ!? し、下着をその辺に置かないでよ」
「へっ?」
デュノアが顔を赤くして慌てた様子で注意してくる。
「別に普通じゃね? てかなんで顔赤いんだ?」
「そ、そんなことないよ! と、とにかくほら、あんまり服を散らかす癖がつくと共同部屋がどんどん散らかるし!」
「あー、なるほど。デュノアは潔癖症か」
もしくはフランスと日本の違いかもな。
向こうはそういうのを気にするのかもしれん。
「け、潔癖症ってわけじゃないけど……」
「とりあえずこれからは注意するわ。散らかすにしても自分のベッドの上程度にしとく」
「そ、そういう問題じゃないんだけど……」
「シャルルは気にしすぎじゃないか? 着替えのときもなんかよそよそしいし」
「え? そ、そうかな」
……なんか慌てて妖しいけど。
男の着替え関連で慌てる、よそよそしい……
マンガとかだとこういうのは……
でもまあ、男装した女子だったーってオチはないだろ。
完全に女顔だけどさすがにこの学園でそんなことできないだろう。
「んじゃすぐ上がってくるからちょい待っててくれ。2、3分で出てくるから」
「おう」
待たすのも悪いので頭だけ洗って済ますか。
「お待たせー」
「速っ!? っていうか上!」
「うん? 下は履いてるだろ?」
トランクスだけど。
「ちゃんと上も着てから出てきて! デリカシーが足りないと思うよ!」
また顔を赤くして注意される。
「え、えっと……織斑。俺が変なのか?」
「いや、男ばっかだし変とも思わないけど、シャルルの言う通りにした方がいいとも思うぞ」
「一々気にしすぎじゃないか?」
「そ、そういうのを気にしておかないと女の子にモテないよ!」
「すぐ着ます」
それは流石に回避したい。
ベッドの上に置いておいたシャツとズボンを着てタオルで濡れた髪をもう一度拭きなおす。
「ところでさ。織斑とかデュノアって呼び方じゃ不便だったりするだろ。下の名前で呼んでいいぞ。俺も下の名前で呼ぶし」
「僕も篠之乃さんと被っちゃうから下で呼ぶほうが楽かな」
「んじゃ一夏とシャルルでいいか?」
「おう」
「うん」
「んじゃ俺は慶斗で」
この後3人で食堂へ向かい、夕食を食べてIS学園の1日目が終わった。
はてさて、これからどうなるんだろうか。
ちなみに寝る前にISのマニュアル本を軽く読んで10分で挫折した。
……明日頑張ろう。
あとがき
どうも初めまして。
最近ISをアニメで見てシャルに萌えてSSを書いて投稿させていただきました。
基本シャルをメインヒロインとしてその次にラウラのつもりで書き始めたのに、設定上箒の出番が多くなってしまいそうですw ファースト幼なじみは伊達じゃなかったw
多分ISを男が乗れる理由に束との関係が大きく関わっていそうなので親戚という設定にさせていただきました。
更新はかなり不定期になると思いますがこれからもよろしくお願いします。