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[26410] 【駄作・習作・オリジナル】ばーす(仮)【異世界トリップ】
Name: 高原たかは◆d64180c9 ID:738bec6d
Date: 2011/03/13 15:15
 初めまして。色々なネット小説を読んでいるうちに、自分もなんか書いてみたいと思って書き始めた作品です。

 小説とかって書いたことは全くないので、内容、文章共にどうしようもない感が漂っておりますが、大目に見てください。

 更新についてはこれまた申し訳ありませんが、3ヶ月以内を目標にしております。

 遅筆で誠に申し訳ありません。

 内容と致しましては、異世界トリップ、サバイバル、若干最強もの、内政ものを目指したいと思っております(まだ内政まで辿り着いていないし、いつ辿り着くか分からないですが)。

 内政ものというと人気がないというか、大嫌いな方も多いというか、シビアな視点で見てしまう為に、生半可なものでは満足できないという方も多いのかもしれません。ただ、当作品は完全に駄作ですので、生温かい目で見守って頂けるという方以外にはお勧め致しません。

 また、当作品。残酷な表現等々出てくる可能性がございますので、お嫌な方はご覧にならないようお願い申し上げます。

追記
文体が統一されていませんが、一応わざとです。
見苦しかったらごめんなさい。

更新履歴

2011/03/08 第一回投稿
2011/03/13 第一回投稿分を、二つに分割
2011/03/13 第三回投稿
2011/03/13 第二回投稿分で一部語句訂正
2011/03/13 P.N.変更



[26410] 1回目投稿
Name: 高原たかは◆d64180c9 ID:738bec6d
Date: 2011/03/13 15:11
●一日目
 <<俺は、拉致事件の被害者であるところのこの俺は、加害者に対して一切の協力をするつもりがない!そう決意を固めます、加害者の犯行動機の如何の関わらず、けっして同情したり、あまつさえしかたなくならともかく、積極的に協力することのないことを、ここに誓います!!>>

 自分の身の安全の為に、ある程度は従順にする必要はあるだろう。いやだけど、それは仕方がない。

 だがしかし、だがしかしだ。ストックホルムシンドロームとかいったかどうかよく覚えてないんだけれど、相手の境遇に同情して、そいつらの為に頑張って何かしてやろうなどということは一切思わない。とりあえずそう決める。決めた。決定。

 なぜ、こんなことをわざわざ決意するのかと言えば、

 ①そういうふうに行動指針を明確にしなければ、万が一にも同情してしまって相手に都合のいい行動を起こしかねない。特に、この場合、加害者の中に俺好みの美女がいたのでなおさらだ。

 もっとも、な~んか、上から目線の蔑みの目でなんか見られていた気がするわけで、その手の嗜好のない俺としては業腹ものだったので、そんな相手に惹かれるなんてことは考慮しなくてもいいのかもしれないが、こちとら花も恥じらう14歳。そういうことに興味があり過ぎる厨二なお年頃。なので、あまり自分が信じられないところもあり、まぁ、あれだ。

 簡潔に言うと、拉致という絶対悪に対してまだ周囲の影響を受けていないこの現状で絶対の行動指針を固めておかなければ、周囲の状況に流されていつの間にかに悪事に加担しかねないと俺は考えるのですよ。

 ②ここは所謂isekai。そう、胃の中の世界ではなく、我々の世界の常識の通じない異なった世界。異世界というやつらしい。

 なんと言っても鉄格子の向こうに見える月?の大きさと数と形が違うのよ。

 まぁ、俺に対する扱いは、この世界での常識に従ったことなのだろうが、だからと言って、俺がそんなこと考慮する必要がないわけで、つまるところ、呼び出したやつらの行動があまりにもムカついた。

 自宅の玄関開けて外に出たらそのまま落下で、ふと気がつくとなんかの儀式を行っている神殿??ってな感じで何これよと見回すや否や、いきなり拘束されて、床に押し付けられ、訳のわからん言語で、何か言ってるなぁと思うや、背中に焼印?なんかメッチャ熱いもの押し付けられてってなんじゃこの拷問は!!ってなことで気絶して目が覚めたら牢獄の中ってなんてことよこれ。

 百歩譲って、勇者として云々ならばまぁ、まだいいだろうけれど、何?この扱い?俺はこの理不尽な扱いに断固として抗議したい。

 拉致していきなり奴隷、或いは罪人のような扱いってどういうことよ。こちとら現代日本人。あり得ない。あり得ないったらありえない。それがこっちの世界の常識だから、郷に入り手は郷に従え?ふーざっつけるなー!!!俺、不法侵入とかじゃなくて、明らかにアレ、召喚の儀式だよね。俺取り押さえるのとか、焼印の準備とかめっさ、手際良かったよね!なにこれ、ありえない、俺元の世界に返せよってか、返す気さらさらないよね?

 むぅ。いかんいかん。冷静になろう。Be coolだ。俺。って、Be coolって、冷静になれって意味であってるの?俺おバカだからわかんない・・。

 あ~。どうでもいいか。

 とにかく落ち着こう。

 ③人さまの事なので、あまり考慮に入れなくてもかまわないのかもしれないが、自分がここで奴らの役に立ってしまった場合、奴らは調子に乗ってまた同じことをしかねない。

 どうせなら、二度とこんな拉致はしないほうが俺らの為って連中に思わせられたら・・・いいなぁ。。。というか、まぁ、うん。人の事なんて、どうでもいいかも。いいや。これは。

 ④俺自身のぽりしー?もとい、ポリシーとして、行動の理由を他人に置くな!ってのがある。連中の言いなりになると、これに違反するから。

 まぁ、この言葉の意味っていうのは俺自身よくわかっていないところもあるんだけれど、アレです。はい。

 ってか、この言葉って兄ちゃんの受け売りで、ちと恥ずかしい気もするんだけどね。

 ってな理由でだ。つか、焼印押された背中がまだ痛いよ・・・。

●二日目
 色々考えつつうとうと、としていると、寝床からいきなり蹴落とされ、顔を踏まれた。

 ―やっとお目覚めか、新入り、きて早々でかい態度で云々・・。

 つか、日本語しゃべれるやつが、いた!って喜びたいのに、何こいつのこの態度。MU・KA・TSU・KU!!!!

 あまりにもムカついたので名前を聞かれたときに偽名を名乗ってみた。

 俺の名前は阿保田土留色之介だ!

 おや、固まっている。日本語通じないのかな?

 My name is Dodomenoironosuke Ahoda.

 気絶するまで殴られた。

 こんなやつらの言葉になんか絶対耳を傾けるものか!!と、思いつつも、取りあえず話を聞いてみた。何をどうするにも情報収集は重要だ。殴りかかりたい気持ちを抑えつつ話を聞く努力をしてみた。もう、本当に忍耐のいる作業だったけれど。
 あれやこれや色々いらんこと言ってたのは聞き流し、態度がでかいだのと殴る蹴るされつつも情報を整理する。

 ①ここは完璧に異世界であり、俺を召喚したのはこの大陸でも西方第一の勢力を誇る大国である。ガイエスタ王国だとのこと。

 ②俺らは戦争奴隷として召喚されたとのこと。なんで自国民つかやぁいいのにそんなことするのかというと、召喚された人間は、この世界でしばらく過ごすと厨二な能力が発現して人ならざる力を持つどうのこうの。

 んで、そんなふうに拉致されてきた人間。主に俺と同じく日本人はこの国だけでも20人以上入るとのこと。

 この20人って、どうしてこの数なんだろう。あんまりいっぱい呼べないのか、それとも死亡率があり得ないくらいに高いのか。費用対効果?とにかく理由とかありそうだけれど、情報得られず。

 ③昨日背中に押された焼印は魔法によるもので、主の命令に絶対服従を強いる隷属の刻印というもの。

 俺の主はこの国の第2王女に設定されたらしい。第2王女が結婚して他国に嫁いだらどうするつもりなんだろうこいつらとは思わなくもないけれど、そこはとりあえず放置。

 第2王女は美人で慈悲深くて・・・ぁぁあ?(y゚ロ゚)yしったことかYO!俺がこんな扱い受けているのも関わらず、手助けの一つもしてこねぇやつが慈悲深いなんてことがあるものかと声を大にして民衆に訴えかけたいよ。

 ④目の前のぱっとみ俺より年下?的な男は、俺の教育係とのことで、この国に来てもう2年になるってどんだけ子供を拉致してるのよ??。厨二な能力は不明だけれど、なんか持ってるんだろうなこいつ。

 もう洗脳済みっぽくこいつはこの国に忠誠誓って心酔しちゃってますって感じで内心哀れに思わなくもないけれど、まぁ、手遅れだなこいつは。

 今日から、この国の言語やら軍事訓練やらをこいつから受けるっぽい。

 取りあえず、今日はこの国の言葉を単語を中心に教わった。とにかく暗記しろってやつね。

 あまりに素直にこいつの教育を受けると、それはそれで内心何か企んでるのかもしれないと思われかねないので、抵抗→気絶するまで殴られる→水掛けられるの拷問受けつつ、もう逆らう気力がないですぅぅぅぅ。ってな感じのところでお勉強。

 あまりにも逆らい過ぎると、処理されかねないし、全く逆らわないとそれはそれでってことに(まぁ、その刻印??あるからアレなんだろうけれど)なりかねないので、ここの反抗のさじ加減は微妙なところ何だろうと思う。

 上手くいっているかは自分には判断できないけれど、取りあえず、こういう状況では自分で考えて行動するってことを心がけるのが大切だと思う。

 されるがままにさせといて、いつの間にかに洗脳されてましたじゃ、なんかね。

 と、ここまで考えてふと思った。その刻印だ。それがあるのに、俺は何も命令されていないし、反抗心旺盛。

 ひょっとして、俺が向こうの言葉を覚えていないから、命令が下せないってこと?

 それなら、向こうが日本語覚えて命令を下せばいい。

 むぅ。どういうことだろう。

 わざわざ自分たちが召喚の為だけに日本語を覚えなくても、こっちにこちらの言葉を覚えさせるシステムが出来上がっているからそれで済ませようってことだろうか。

 でも、この国に忠誠を誓えって一言いやぁいい話だよな。それならその日本語だけを丸暗記して取りあえず、それを口にすればいいだけだよなぁ。

 この世界の、その魔法?ってのの仕組みが分からないけれど、ひょっとしたら日本語では意味がないのか?

 むぅ。断定できないけれど、なんとなくそんな気がする。

 逃げ出すなら、言葉を覚える前に逃げ出す必要がありそうだ。

 逃げ出した後の生活も考えなきゃいけないだろうけれども、そこを考え出すと情報を入手してその手段を入手したときにはこの国に忠誠を誓えとか命令されて、その一言で洗脳完了しちゃった後とかになったら笑えない。

 とにかく隙を見て逃げないと。

 一回目の脱走で殺されるってこともないような気もしなくもない気もするけれどもどうなんだろうって気もするが、取りあえず、なんか考えなきゃ、一生奴隷で人殺し人生だよな・・・・。


●三日目
 三日目にして脱走。しかも成功。大成功っぽい?

 というのも、厨二な能力ってのに、この世界滞在三日目にして早速目覚めたからだ。これはこの国の連中や、俺担当の教育係にとっても想定外の事だろう。

 俺にとってもそうなのだから。

 つか、追って来れてないし~ぃ。

 んで、どういう能力かというと、身体能力超強化?飛行?なんか無敵臭くない?というかそういう気がするご都合能力っぽい(要検証)。
 
 今日は昨日とうって変って軍事訓練するぞとか言われて強制的に起こされて、朝も早々外に連れてかれた。

 もう、嫌々感満載でしたけれども、暴力怖いから従ってやんよ的な感じで行動。

 で、なんか軍用装備色々背負った上でとりあえず、走れということで走ってみると・・・。

 ん?何これ???的な展開で超高速ダッシュ。

 そのままジャンプしてみると、うをぉ。すげ、つか、そのまま空飛んでね??つか、飛んだまま加速出来てるよね??なにこれ、すげ、俺SUGEEEEEEEEEEEEEE!!!!!もっと、加速加速!!!って、あれwwwwソニックブームwwwwwwお・ん・そ・く越してるぅぅぅぅぅうぇwwwwww。

 うは。うはははははははははは(以下数時間)

 あれ?こんな能力使って体、何ともないよw

 いあ、若干俺ハイ??

 あ、冷静になってみると、この高度怖くね?

 てか、冷静になるにつれて高度もスピードも・・・。

 いあ、考えるな、今はとにかくGO!EAST!!

 あ~。真東じゃ、逃走経路ばれるとあれだから、ちょっと今日は進路変更で南にGO!

 ってか、多分南方面。南半球だったらどうしよう的なアレだけど、太陽の位置で判断だ。

 行け、俺、行け、あは、GO!!GO!!!!俺様。うは、うはははははh。ぐふ。ぐふふふふふふふふふうははははは。

 うは。ドラゴン?西洋竜?w

 追い抜いたぜ、ぶっちぎってやったぜ、なんか追いかけてきたけどついてこれねえでヤンのwうぇ。うwwww。
 
 って、え”。あれ。いあ、ちょっと、え、あれ?少し冷静に。あれ??怖いって。俺。なんか。あ・・・。あぁん。

 ふと冷静になったときにはここどこよ?状態。何この大森林?ちょっと途方に暮れたけれども、まだ日が高くてよかったというべきか。

 とりあえず厨二能力使って一本角の鹿っぽい動物ぬっころして、血抜いて捌いて、ご飯の準備開始。

 って、動物処理するの慣れないとなぁ。

 理科の先生が解剖だ!とか言って数人に一匹の割合で朝絞めたばかりのブロイラー持ってきたって授業経験したからこんなことも覚悟して出来るけど、腹かっ捌いた時の衝撃と言ったら・・・おぇっぷ。

 現代人が異世界に飛ばされて、何の躊躇もなく動物捌いてる描写のある小説とかってネット上にあるけれど、あれは絶対嘘か異世界補正がかかっていると断言できるよ俺は。

 何の覚悟もなく腹かっ捌いたら、その瞬間に絶対ノックアウトされるって。まじで。

 ああ、そういえば、あのブロイラー解剖。結局めっさ仲の悪かったクラスの女子一人と俺の二人のみがギブアップして、解剖されて解体されてきた肉で唐揚げ作ってたんだよなぁ。ものすご~く暗い雰囲気の中、無言で。

 そういや、あの先生。授業で密造酒造りとかもやってたよなぁ。違法なので黙ってて下さいとか言いつつ、イースト使ってパンの味のするワイン作ったのが懐かしいけど、それは今回関係ない。

 だ、ダメだ。現実から逃げちゃ。思わず現実逃避始めちゃったぜ。

 だって、今回もすんげ~臭いんだもの。

 そう、ノックアウトされる原因は、グロテスクさ以上に腹かっ捌いたときに発せられる強力なアレな匂いなのですよ。

 だがしかし、今回は自分で殺した命を無駄にはできん。何より俺の命がかかってる。

 とりあえず、レバとかも食ったほうがいいだろうけど、今回は無視して内臓は全部捨て。ああ、でも、絞めたばかりの動物のレバってめっさうまいって聞いたことがある。ちょっと惹かれるかも・・・。いや、捨てよ。今回は捨てよ。俺の精神がもたん。鼻がもたん。とっとと捨てて肉のみ確保。もう、持ってたショートソード使ってちょっと遠距離から必死で内臓かっぽじいたよ。んで、臭いがひどいので、風上に移動してっと。

 さっそく内臓無駄にしてる気もしなくもないけど、そこは気にしない。

 ダガーで皮はいでって、おい。

 もう内臓に虫がたかり始めてるし。なにこれ?ヒルですか?蛭。うう~。あっ。いったん場所移そう。血の匂いで肉食獣がよってきたら嫌じゃぁ!!

 はぁ、空飛んで場所移動。お、ちっこい湖と滝発見。湖ってかここは滝壺かな?

 手が洗えるぜ!ってか、そのこと考えないで肉捌き始めたの後悔しだしてたんだよな。

 まぁ、とにかく肉はロープでそこらへんの木の枝から吊るし下げて、食える分だけ切り取って串焼き用に加工と。

 んで、たき火開始してひと休憩。

 厨二能力フル活用で火を起こして枯れた下草とその辺の枯れ枝でたき火完成しましたよっと。

 たき火もライターなんかがあれば楽だったけど、そんな文明の利器のないこの秘境。枯れ枝を枯れ木とこすり合わせてって方法でやりましたよ。やり遂げましたよ。

 厨二能力がなかったら、火も起こせず死んでたんだろうなと思うと、ちょっと微妙な気分だよ?

 まぁ、とにかく休憩休憩っと。

 とりあえず、持ち物確認。

 腰につけていたショートソード1本と変な形に纏めて腰にくくりつけてあった10m位のロープ二本。で、着ているのは軽鎧?ハードレザーアーマーとブレストプレートの組み合わせ?

 後は水筒と、ナイフが一本と日本から持ってきた日記代わりの厚手のメモ帳にシャーペンとそれを入れてた子袋一つ。

 てか、空飛んでるときによく落ちなかったなって思ったけど、色々落ちてるよな。まず、背中に背負っていた装備が何処かへ行っているし。

 まぁ、これだけでも残ったので良しとすべきなのかもしれない。

 さて、明日からどうしたものだろ。

 まぁ、もう何日か空飛んで、完全にえーっとなんだっけ。名前が。。。銀○伝の要塞みたいな名前の国のテリトリーを抜けるまで飛んで、どこかの森の中入って今日みたいに自給自足かな?

 言葉も覚えてないしなぁ。

 寂しいけど、当分ひとり寝の夜を過ごすと。って、まぁ、うん。いいや。

 後は成り行き任せで生きて行こう。

 でだ。そろそろ焼いたお肉を頂くとしましょうか。

 味付けはないけれど、そのままでもこれいけるな。今まで食べたことのない不思議な味。

 ふむ、美味い美味い。

 あれ?なんかからだがあったまるというか不思議な感じ。力がみなぎるというか。

 異世界の不思議生物の肉だしな。

 そんな効果があったとしても不思議じゃない。

 気にしたら負けだな。

 マイナス効果じゃないから別にいや。

 さて、今晩はとりあえず、そこそこ大きくて丈夫そうな木の枝に自分の体をロープでくくりつけて寝るとしますか。

 落ちたら怖い気もするけれど、まぁ、森の中で獣に襲われるよりもいいだろう。縛っとけばそうそう簡単に落ちないだろうし。



●八日目
 えーっとどこまで続くのこの大森林?

 いや、まだ森の中なのよね。まぁ、初めて飛んだ日ほどハイに、もとい、スピード出して飛んでたわけじゃないのだけれど(一応高度は取った。あるのかないのか知らないけれど、追手を恐れてね。んで、片手につかんだ鹿肉半冷凍w。よく息出来るね俺?とか、凍えないのはなぜ?俺??と突っ込みたくもなったけれど置いておく。自分がハイになって冷静さを失うのが怖いのでスピードは出さず。)。

 んで、上空からはるか東を見ると、何かごっつい山脈にぶち当たりそうなんだけれどもどうしたもんだろ。

 ガイ何とか国の支配領土ってもう越えてるのかな。このだだっ広そうな森林の中なら、俺一人くらい狩猟採集で生きていけそうな気もする。

 慎重を規するなら、あの山脈を越えてった方がよさそうだけど、まぁ、あれだ。越えていきなり人里が広がってたら戻ってこの森の中で暮らすってことにすればいいのかな。

 てか、今日の野営ポイント、近くにちっこい湖あるし、湧水あるし、川はあるしでなんか住みやすそう。なのに人っけないという不思議ポイント。

 むうぅ~。まぁ、遠くに逃げたほうが安全なんだけど、一回腰を据えて自分の能力の事とか検証したいし、どうしよっかな~。

 などと考えつつたき火であったまりながら串焼きにした鹿肉?を食べてると、襤褸切れまとったおななの子が近づいてくるではありませんか。

 んん~二次成長まだの10歳未満ってところかね?

 なんで、こんな人里離れたところにいるんだろう。

 むぅ。お腹すいた?その肉クレ??

 話しかけてくる言葉は分かんないけれど、なぜか伝わってくる彼女の言葉。どういうことよ?

 てれぱしぃ?

 うは、なんて能力。ビバ俺の厨二能力。これなんてチート。

 え”?違うの??

 ふむ。このテレパシーはお嬢さんの能力。

 ふむふむ。

 なになに。人とか魔物の心を読む能力と自分の思念を飛ばす能力と。

 思念の受送信が可能なのね。なるほどなるほど。便利な人もいたもんだ。これは俺にはありがたい。

 てか、お嬢さんが人間ではない?

 え?どう見ても人間の女の子じゃん。

 ん?この能力のおかげで魔物と言われて村から追い出された?

 あらあら。

 てか、ひでぇな。それメッチャ便利機能なのに。しかもこんなかわいい女の子を。

 怖くないかって?

 いやぁ。そんなことないよ。俺の言いたいこと何も言わずにわかってくれるなんてメッチャありがたいやん。

 ドガッ!!って、ええ?突撃!!!?

 ありゃ、そうか。寂しかったのね。

 俺の胸に突撃してきてそのまま泣きだした女の子をとりあえず優しく抱きしめてあげる。声にならない嬉しいというか悲しいというか。微妙に寂しい思念を受けつつね。

 こりゃやるせないわぁ。

 てか、こんな思念を受けつつ、よくこの子を捨てれたもんだ。村人たちってか特に両親鬼だろ鬼。

 って、ありゃ、寝ちゃったよ。

 ん~。こりゃ今日は見張りをしながら朝まで起きてるしかないかね。今日はこの子を寝かせてあげようか。


●九日目

 朝、鹿肉食べながら女の子とじっくり会話をしてみた。

 俺が気が付いていないだけで、この辺りに村があるのかと思いきや、このあたりに村はないらしい。

 なんでも、村を追い出された後、たまたまドラゴンさんにあって、お話したら、同情してもらってドラゴンさんのテリトリーで暮らしていくことになったらしい。

 食事なんかはそのドラゴンさんにとって来てもらったりしていたけれど、その彼がここ十数日帰ってこないので食糧ストックもOUT。んで、お腹がすいていたということだそうな。

 たまに数日帰ってこないこともあるけれど、ここまで長く留守にしていることは珍しく、かなり心配だとのこと。 

 ふむふむ。って、をぃ。俺。ドラゴンのテリトリーに無断侵入・・・

 だ・大丈夫かな。

 え?なになに?

 ふむふむ。

 問答無用で襲われるかもしれないけれど、口きいてくれると。

 え”?

 瞬殺されたらごめんなさいって。をい。

 あと、聞いたら湖のほとりにある洞窟で暮らしているとのことなので、取りあえずそこへ向かってみる。って、昨日いた場所のすぐそばじゃん。まぁ、おうかみさんにたべられないようにおくっていきましょう、ってなところ?あれ?何故、俺棒読みしてるの?

 ふむ。

 まじで単なる横穴だ。

 ドラゴンさんの住処とは別とのこと。

 まぁ、ドラゴンの隠し財宝などは特にないらしく、ちょっとがっくりと考えたら女の子に怒られた。

 そんなこと考えちゃだめって。まぁ、当然だ。

 で、あまりにも単なる横穴じゃかわいそうだよなぁ。

 てか、肉食動物いるだろ?

 柵とかなくて平気なの?と聞いてみたところ、今まではここら辺りで肉食動物は見たことないとのこと。

 ドラゴンのテリトリーだからかな?

 まぁ、念のため柵を作ってみた。あと、道具があれば、木を切って板作って洞窟の入り口をもう少し何とかしてあげたいところだけど・・・。

 あ~細めの木を何本もぶった切って来て、倒れないように斜めに立てかけて石とか使って固定して、葉っぱなんかをぶら下げれば多少風は防げるようになるかな。

 ということで、今日はその作業。

 あと、鹿肉?がもうダメそうなので捨て。あ、でも角はなんかに仕えそうだからとっておこう。綺麗だしね。

 本日は朝のみ鹿肉。後は湖の魚(素潜り手掴み)×2食。

 明日からはもう少し色どりがほしいところ。

 木の実とかないのかなぁ。というか、今の季節っていつだろう。森は広葉樹林なので、葉っぱがなかったり、紅葉してないところを見ると冬や晩秋ではないっぽい?

 花が咲いているところを見るに晩春ってところなのだろうか。

 まぁ、四季のある気候とは限らないけどね。

 って。

 俺、ここにいていいのだろうか。つっても、女の子今更一人にするのもなぁ。

 なになに?ここにいろ?一人はさみしい。ふむ。

 ドラゴンさん帰ってくるまでってわけじゃないけど、ここしばらく色々あって疲れたから、休みがてら1週間くらいいてみるか。

 こんな森の奥じゃ、例の国にもそうやすやす見つからないだろうし。ドラゴンのテリトリー内だしね。なにより・・・。

 ん?いかんいかん。

 ここにいるのを、女の子がかわいそうだからなどと考えている俺がいる。

 何がいかんって、俺のポリシーに反している。

 この場合、女の子がかわいそうじゃなくて、女の子を一人にするのを自分の中で嫌に感じている。だから俺自身のの自己満足の為にここにいたいというのが正解だ。

 アーンド、俺自身が人恋しい、あと、少し疲れてる。だからってところだな。うん。と自分で納得してみる。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 ガイエスタ王国王都、ガイエスタ。

 ガイエスタ王国は、大陸西方有数の軍事力を誇る国家であり、大陸西部4大国のひとつと数えられ、この地域の覇権をにらむ一大国家である。その王都であるガイエスタには大陸西方の富が集積され、その繁栄を吟遊詩人は西方の大華と唄う極めて華やかな都市。

 その王都のさらに中心たる王城の一室できらびやかなドレスを身にまとう少女が大勢の家臣を前に声を荒げていた。

「異世界人が逃亡したですって?呼び出したばかりの?しかも3日前の事ですって?異能の発現だってまだでしょう?半年はかかるはずよね?」

「はっ。同じく異世界人のアンドーに監視監督させていたのですが、初期訓練開始と同時に異能を発揮。追跡する暇もなく逃亡した模様です。」

 3日目で異能の発現?何を馬鹿なことを。

 そんな事例聞いたことないわ。

 少女は思う。これは自分の事を政治的に陥れる為の罠なのではないかと。

 逃亡してすぐの報告ならこの内容で構わない。3日過ぎて初めて聞かされた上にこの内容のみとはどういうことなのか。

 異世界人の異能はこの世界の戦力の中では圧倒的なものだ。だからと言って、おいそれとは呼び出せるものではない。

 異世界人一人を呼び出す為に、莫大な資金と労力を消費する。異世界人とはそういう犠牲の上に呼び出された存在なのだ。

 そういう存在の失踪にもかかわらず、3日過ぎてようやく責任者である自分に報告が上がってくるというこの事態。

 そして何よりの問題は、その失踪した異世界人がこの少女。ガイエスタ王国第2王女、シーデエル・ティガリア・ディル・ガイエスタのものであり、契約の刻印も彼女自ら授けたのだということ。

 契約の刻印を受けた存在は主に忠実となり、逃げようとするなど考えられない。

 古の術式に則って、彼女自らが刻印を施すことにより、魂の格の違いをあの異世界人には知らしめたはずだ。

 それなのに逃亡したというのであれば、彼女の魂の格が低いということになってしまう。

 それは即ち、王族にとっては致命的な出来事だ。

 あり得ない。

 そして、彼女をはじめとする王族にとってもあってはいけないことだ。

「当時の状況を説明して頂戴。逃げるなんてありえないのよ。確かに、呼び出したばかりの異世界人は反抗的なこともしばしばあるわ。でも、それは時を置けば落ち着いてくるものだし、逃げ出すなんてありえないわ。」

「はっ、取り急ぎ現場付近に居合わせました騎士数名と、異世界人アンドーをお呼び致しますので、その者らよりご報告申し上げさせます。」

 私は誰かに陥れられようとしている。間違いない。ひょっとしたら王族全員を陥れようとする姦計が張り巡らされているのかもしれない。

 彼女の疑念は急速に拡大する。

 配下の者たちが無能過ぎるのも、あり得ない今回の逃亡にしてもその可能性が高いのだろうか。

-父上に早急にご相談申し上げる必要がある。

 父王の大権を用いて、今回の事件に関与した者どもの粛清を急がなければ国家を揺るがす大事件になるやもしれない。

 その焦りと、すでに疑われ始めているのかもしれない彼女の魂の格。王族の魂の格の低下という事柄について臣下の者どもが疑いを持ち始めているのではないかという恐れが彼女の顔を青くそめる。

 とにかく、手遅れかもしれないが私の魂の格が低いなどという噂は否定しないといけない。

 その思いで彼女は口を開く。

「異能の暴走で飛び出してしまったのではなくて?発現したばかりの時に異能を制御できなくて暴走するのはよくあることだわ。それとも、反逆者、他国の関与があったということかしら?とにかく!彼は逃げたのではないわ!ええそうね。そう考えるほうが自然ですわよね。」

 そして彼女は何かに取りつかれたかのようにヒステリックに捲し立てる。

「とにかく彼を探して、助け出してあげて頂戴。出来るわよね。あなたたちなら。彼は言葉もまだ覚えてないのよね。そんな世界に一人ぼっちなのよ。かわいそうよね。そう思うわよね。何より分かっているでしょうけれど、異世界人の戦闘力は一軍に匹敵する場合だってあるのよ。それが他国にわたって、新たな制約を、新たな刻印を処理されてしまったら。ああ、考えたくないわ。とにかく早く探してちょうだい。」

 数日後、ガイエスタ王国では叛心を抱き、国家転覆の計画を立てたという疑いで、多数の貴族が処断されることとなる。

 但し、新たに呼び出された異世界人の話は一切外部に伝わらなかった。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


●十日目
 簡単な竈と燻製箱作成。

 これで少しは保存食が作れるかな。

 あと、塩か何かあればいいのだけれど・・・。

 を!?岩塩じゃん。

 女の子がこぶし大の石を持ってきた。

 なんでも、ドラゴンさんが沢山くれたのだそうな。で、洞窟の近くに巨大な岩塩があると。

 ふむふむ。そういうものは早く出そうね。昨日のお魚ももう少し美味しく食べられたよ。

 というわけで、塩漬け肉なんかも作れそうだな。

 山の向こうへ行く前に保存食を色々作っておこう。俺も持っていけるし、女の子も食べられるだろう。

 さて、お肉を調達しに行くべ!

 と、飛んで行こうとしたら女の子に呼びとめられた。

 って、をい!日本語しゃべってるよこの子@@

 何でも、あまり人の頭の中をのぞくのは失礼だから、頭の中のぞいて日本語を学習したと。

 おお、そこらへん自制したほうがいいっていう判断能力は偉いと思うよお兄さんは。まぁ、俺はいくらのぞかれても問題ないけどね。今のところ。

 ってか、言わないでもわかってもらえるっていうのはある意味便利だしってちょっと待て。

 え、え、え、え!

 SUGEEEEEEE!!!

 ちょっとすごすぎ。なんて便利な学習機能。

 それ、すごいねぇとセリナちゃんの頭をなでなで。

 って待てよ。

 逆に、この大陸の言葉。俺の頭の中に流し込んで・・・・。

 を。出来るかもって!

 あ、でも、待ち。ちっと待って。言葉覚えると、あの国に忠誠誓わされたりしそうでちょっと怖いなぁ。一晩考えるからそれは保留だ。

 というわけで、狩り言って燻製と塩漬け作成に入ろう!

 あぁ、あと、女の子の名前はシェリナちゃんというそうな。

 俺が発音すると、どうもセリナちゃんになってしまうのはご愛敬。だって、セとシェの中間というか微妙な発音なんだよ・・・。

●十一日目
 はいなはいな。

 昨日に引き続き、保存食作成っと。

 その前に・・・・。収納容器作っとくべきだったかも・・・。

 というわけで!

 ハイ!縄文式土器もどき縄文なし作成!

 んで、厨二能力フル活用の体力勝負で洞窟の近くに登り窯っぽいものを作ってみる。

 なにゆえもどきかというと、登り窯の構造なんて、俺覚えてるわけがない!!

 なので、あくまでもモドキなのさ!

 まぁ、併せて縄文式土器もどき縄目無しも作成。

 それなりにもの入れるにはどうにかなりそう。

 女の子もこういうの作るの好きみたいで色々作っている。

 まぁ、あれだ。図工の時間?

 見ててほほえましいなぁ。


●十二日目
 
あとは、薪だ。あれって、薪小屋作って2年間くらい放置しなきゃ使えないんだよなぁ。煙がすごいことになるんだっけ?

 当分は下草と枯れ枝でいいんだろうけどね。まぁ、でも、やらないよりはいいかということで、簡単な屋根つきの薪小屋をまずは作成。

 細めの木をへし折って来て骨組み作って、屋根には屋根の骨組みの上に葉っぱと。

 おけおけ。上出来。

 んで、薪だ。

 へし折ってきた適当な大きさの木をショートソードで木をぶった切る。

 切る。切る。折れた。

 ショートソードが。

 あ・・・・・。

 うん。

 どーしよ。

 てか、このショートソード、刃がないじゃないか!

 く、くそ、訓練用か・・・?

 なんか先端部分だけやけに鋭いけどこれっていったいどういうことよ?って、それはいい。どうでもいい。そ、それよりも・・・。あ、ま、まだナイフがある!が、意味ねぇ。まぁ、ナイフは包丁替わりとして有用だから、ここで壊したくない。これは放置だな。

 放置。

 うん。放置。それがいい!そうしよう。というか、そうするしかない。

 まぁ、しゃーないわ。

 あ~。そういえば、俺の厨二能力って、結局どんなのがあるんだろう。ちと現実放棄。もとい、整理してみよう。

 ①飛行…空飛べる。スピード出すにつれてワケワカメになる。

 ②身体能力強化

  A…体自体が超頑丈に?

 空、猛スピードで飛んでも平気だし。でも、殴られたりけられたりしたらどうなるのかな。試したくないなぁ。でも、能力把握してたほうがよさ下だよなぁ。

 う~ん。

  B…脚力強化。

 すっげースピードで爆走できる。ジャンプ力もすっげー。

  C…怪力。

 何気にすごいっぽい。出来るかなぁとおもって木をへし折りに掛ったら出来たのには笑えた。重いものでも平気に持てるしね。便利便利。

 ん・・・他にもあるかもしれないけれど、これで十分十二分?まぁ、要塞みたいな名前の国と戦うってことなら、まぁ、これじゃ足りないのかもしれないけれど、人としてはこれでも異常だよなぁ。

 たぶん。

 この世界の事は何にも分かってないから、断言できないのは悲しいところだけど。

 ん?怪力?

 あ、そだそだ。

 お。握力で木が割れるじゃん。裂けるじゃん。

 あ、手刀でも行ける

 ぱきぱきいこう!



●十三日目
 何とも言えない獣?の咆哮で目が覚めた。

 つか、なにこれ?なんかすごそうだよ。ってか音量半端ないけど近くにいるの?

 こ、こえ~。

 と、思っていると、洞窟の外にセリナちゃんが駆け出していく。

 お、おい。危ないって。てか、なんか異様な気配するよ。外。

 外、絶対なんかいるよ。お兄さんパニックだよ?

 って、しゃーない。覚悟決めるべ。

 目の前でセリナちゃんがぁ・・ってことになったらおれが嫌だ。

 というわけで、俺GO!

 え・・・

 はい?

 竜です。

 西洋竜です。

 ドラゴンです。目の前にいてやがります。

 でっかいです。

 びびります。ビビりまくりです俺。はい。

 セリナちゃん。竜に突進して首にしがみついてます。

 びっくりです。いやはや。

 あ~、これがここをテリトリーにして、セリナちゃんを助けてくれたドラゴンさんなのですね。はい。理解できました。

 セリナちゃんに通訳してもらってご挨拶せねば。

 敵意はないですよ~。直ぐに出て行きますのでご安心を~って。

 セリナちゃーん。ご挨拶したいので通訳plzって、お願いしたら、ドラゴンさんが日本語で話しかけてきました。

 うは、びっくり。

 え~。なになに。てめ、こら。勝負に勝って、何も受け取らずに逃げるたぁどういうことだ?これが勝ち逃げったやつなのか?おい、こら?こちとら義理果たすためにてめぇの事探しまくったんだぞおい?

 はて、どういうことだろう?

 ふむ。

 はいはい。なるほど~。

 そいつは失礼致しました。

 なんでも、空を駆ける竜族にとって、天空を舞うスピード競争というのは神聖なもの云々。んで、作法に則り、俺は知らなかったこととはいえ、後ろっから追い越して行ったと。ふむふむ。

 んで、相手が見えなくなるまでぶっちぎったら、俺が待っていなくちゃならなかったのに居なくなっていたと。んで、負けたドラゴンさんは俺に対して自分の持つ財宝の内、一番高価なものを差し出さなければならないと。

 で、あげないというのは竜族の掟に反することなので、昨日まで探しまくったけど、見つからないのでとりあえず自宅に戻ってきたら俺がいたと。

 なるほどなるほど。

 因みに、今しゃべっている日本語は、セリナちゃんがその能力でドラゴンさんに教えたものなそうなって、すっげぇな。セリナちゃん。なんていうトンデモ能力よ。

 いや~。まぁ、なにはともかく。そいつは失礼致しましたということだけど、そんな財宝よりも、まずはテリトリー勝手に入ってごめんなさいっと。んで、出来たらかくまってもらえないかなぁとお願いしてみる。

 交渉はなんやかんやとあったけど、取りあえずOKとのこと。条件は、セリナちゃんの世話はまかしたって、まぁ、うん。いいか。

 まぁ、なにはともあれ一安心。

 んで、今日はこのあたりの散策で一日終了。


●十四日目
 ドラゴンさんの財宝に、鋸とか鉋、斧とかって無いのと聞いてみる。

 いや、まぁ、自分でもあるわけねぇと思ったけど。

 ほら、ここ、異世界だし。自分の常識が無意味なものかもしれないし。まぁ、つまるところ、藁にもすがる気持ちってな感じで。

 何をしたかったかというと、日曜大工。

 俺、技術、家庭科って結構得意だったのよね。

 で、意を決して聞いてみたところやっぱないそうな。

 まぁ、しゃ~ないね。

 但し、山に行けばドワーフが住んでいるので、そいつらなら作れんだろうし、持ってるかも知れないとこと。

 おぉ~いぇ~。

 ドワーフ。なんとファンタジーな響き。にも関わらず、文明の息吹を感じる俺がいるのが摩訶不思議。

 直ぐにでも行きたくなる気持ちもあるけれど、木材って、確か一年くらい乾燥させないといけないんだっけ?

 そんなにいらない?

 まぁ、取りあえず、木をへし折って、木材の原料作って集積所作ってと。

 あ、後ドングリもどきが森の中にいっぱい落ちているのに気がついた。あく抜きして乾燥させて粉にすれば食えるよな。これ。


●十五日目
 う~ん。セリナちゃんの服が気になる今日この頃。

 襤褸切れじゃあんまりだよなぁ。

 綿花っぽいなにかを見つけたけれど、道具がないとなぁ。

 まずは糸車ってか。

 これもドワーフさん達もってないかなぁ。

 ってか、それ以前に、ドワーフさん達、服持ってるよね。服。

 後はお金代わりに、宝石か何かがいるかな。

 何か価値のあるものをGETしないとなぁ。

 ドラゴンさんにおこずかいとかもらうのもなんか気が引けるし。とはいっても、何が価値があるか俺じゃわかんないし、セリナちゃんもまだ子供だしなぁ。そんなの知らないだろうなぁ。

 ということで、ドラゴンさんに相談。

 湖の中に水晶っぽいのががいっぱい転がってるからそれ持って行ってみたら?綺麗だし?いっぱいあって俺いらんからってふむふむ。てか、ぽいってなによぽいって。

 まぁ、OK!

 とりあえず、湖に潜ってみようって。ここの湖結構深いな。
 
 どこにあるんだろう。

 どれどれって、ぶをぉおい!

 どでかい竜の骨格標本ってかこれ?で、その骨も水晶っぽいけど、周りに散らばってるのって鱗じゃねえの?これ??

 とりあえず、鱗一個もおっきいのでそれをとって来てみる。2枚ほどっと。

 まぁ、綺麗っちゃ綺麗だよね。

 てか、俺が持つと発光しているような気がするのは気のせいなんだろうか多分気のせいということにしておこう。

 これ、盾とかに加工できそうだしな。いい値段で買い取ってもらえればいいのだけれど。

 一応、これ、死んだドラゴンの鱗じゃないの?ということをドラゴンさんに伝えておいたら、ご存じだった様子。

 まぁ、いいのか。


●十六日目
 雨です。外の出たくないとです。

 そんな訳で、今更だけど、セリナちゃんと色々お話し。

 まぁ、言葉足りなくてなのか、精神攻撃もとい、怖かったの~寂しかったの~+ごにょごにょな感情付きのテレパシー混じりなんだけどね。

 なんでも、両親はすごくいい人たちだったっぽい。

 でも、お二人とも病でぽっくりと。

 んで、その時にちょうど今の能力に目覚めたっぽい。

 両親の死のショックでとかいうやつなんだろうか。

 んで、遺産漁りに来た親族の考えてることが分かったので、それをずばりと言い当ててしまったのだそうな。

 そしたらしばらくして司祭とか呼ばれてこいつは悪魔の子だ~だの、魔物の子だ~だの罵られて、しかもその司祭、親戚に金掴まされてたから何が何でもセリナちゃんを魔物扱いしたがってたそうな。そのことも口だけじゃなくて思念でも周りの人たちに訴えたけど、まわりの村人からも信じてもらえなくて、村を石もて追い出されたと。

 ひどいやつらだなぁ。セリナちゃんの思念も聞こえたのに、それでも信じないなんて人としてダメ過ぎるだろうよと僕は思いたいね。

 セリナちゃん、辛いこと思い出させちゃってごめんよ。

 俺に出来ることは今君を抱きしめてあげることぐらいだけど、う~ん。俺情けないね。まぁ、俺自身・・・って、言いわけ考えてどうするよ。

 今の俺は情けない。情けなくないようになるように努力していく。そうするしかあるめぇなってことで。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 私が生まれたのは辺境の開拓村。私の父が領主で、みんなを引っ張ってこの村を作り始めたらしい。

 元々は都で働いていた貴族だったけど、自分の領地がほしいって願いでて、先祖代々の蓄えをはたいて開拓団を率い、この村を作ったそうだ。

 村の経営が順調にいくようになってから、遠縁の親せきの紹介で母と結婚。そして私が生まれて、父は村をもっと大きくしていこうっていつも頑張っていた。

 父も母もとても優しくて、村のみんなも私に優しくてそしてみんな一生懸命。

 私はみんなが好きだった。村が好きだった。そしてこんな人たちがいる国が好きだった。

 そう、あの日までは。

 父と母がそろって急に病に倒れた。

 具合が悪いとそろって寝込んで翌日には神の身許に召された。

 そして、なぜかその当日に都に住んでいるはずの親戚の一人がうちに来て、私を引き取ってこの村の領主になると言い出した。

 私はその時、両親がもう私に笑いかけてくれない。話しかけてくれない。あの優しい両親が、もう私と一緒にいてくれない。そう思うと悲しくて悲しくて、胸が張れ裂けそうで、ただ、ただ泣いているだけだった。

 そして、私を引き取るといった親戚が、私の頭をなでた瞬間。どす黒い感情とともに、この村を乗っ取ろうとしている親戚の企みが一部私の頭の中に流れ込んできた。

 それは私にとってはあまりにもどす黒く、その頃の私にはとても耐えられるようなものではなかった。私はあわててその手を振り払い、そのそばから離れた。あとで思い返せば、これはとっても短慮な行為だったのだろう。

 もっと、もっと、この人の頭の中を覗いて、この人がどんなことをしてきて、どんなことをしようとして、その為にいったい何をしたのかきちんと把握して、しっかりと証拠を抑えて、その上で信用できる人にことを託せばよかったのだ。

 でも、その時まだ私はあまりにも幼くて、この人が領主になったら村のみんなが苦しい思いをしてもっと、もっと悲しいことになってしまう。何とかして止めないと、という思いだけでいっぱいになってしまった。

 だからその場で、大声で叫んだ。

 心の底から叫び声をあげた。

 この人は村を乗っ取ろうとしている。この人が村に来たら皆がつらい思いをする。だからこの人に村を任せたらだめだ。と。

 私の声は村中に響いたらしい。

 いや、声ではなく、思念が。

 そして、あくる日には私は悪魔の子、魔物の子として村を追い出されることになった。

 いつも優しい笑みを浮かべていた神官様は私を指さしてこういった。

「御領主さまのお嬢様になり替わり、この村を乗っ取ろうとした魔物の子よ、出て行くがいい。お前の正体は分かっているのだ。殺されないだけありがたいと思え。さぁ疾くいね。疾く。疾く。」

 そして、その裏でこう考えているのが私にはわかった。

『お嬢ちゃんには悪いが、新領主さまにたんまり金もらったしな。まぁ、運が良ければ生きてくことも出来るだろう。』

と。

 私は、そのことも大声で訴えた。心の声と共に。

 そして、、村人が私に石を投げつけてきた。

 みんな、あんなにやさしくしてくれたのに、何故?何故?なんで私に石を投げつけるの?このままじゃみんな不幸になってしまうのよ。なぜ?

 それでも、私は訴えた。父母の愛した皆が不幸になるのは我慢できないから。

 でも、でも・・・。

 私は感じてしまった。

 村人たちの感情を。

 それは・・・・

 私に対する恐怖と憎悪だった。

 暗く、冷たい感情が、村人一人一人から解き放たれる矢となって私を貫く。

 もう、私に耐えることはできなかった。

 私は魔物が多く住むといわれる東に向って歩き出す。もし、私が本当に魔物の子なら、魔物は私を迎え入れてくれるのかもしれない。

 こんなふうに冷たく理不尽に追い出されないで済む場所を与えてくれるのかもしれない。

 私は、そんな思いに駆られて東を目指した。

 それは、一日ほど過ぎた時のことだった。たった一日では私の心にあいたこの悲しみと絶望という空虚な傷がいやされるわけもなく、泣きながら夜通し東を目指して歩いた。今思うと辺境の地で肉食の獣や魔物に襲われなかったのは奇跡かもしれない。

 そして、そんなときに突如それは現れた。

 いや、いつ目の前に現れたのか私にはわからなかった。それほどまでに周囲に注意が向いていなかったのだろうか。空より降りて来たのであろうか。もとからその場にいたのであろうか。分からない。でも、その大きな体躯で私の行く手をふさいでいる存在は、確かに目の前に存在している。

 そして、その大きな体躯の持ち主は、その体以上に大きな意思を持って私に問いかけてきた。

『人の子よ。特異なる御魂を持った人の子よ。何をそんなに嘆き悲しむ。汝の思念はあまりに強く、汝の悲しき悲鳴は空を舞う我の元まで届いたぞ。その悲痛なる心の叫びを受けながら、空を舞うことは我には出来ぬ。さぁ、まずは語るがよい。』

 私は、歓喜に打ち震えた。ああ、これで救われるのかもしれないと。

 何がどう救われるなど、何をどうしてほしいなどとは一切考えず、その大きな意思の持ち主に、私は縋った。

そして、私の身に起こったことを打ち明けた。

 ただ、ただ、この存在ならば私を救ってくれるというとても身勝手な思いと共に。

 話を聞き終わった後、その存在は私に語った。

『我、人ならざる身ゆえに、汝の村に赴き村人を説き伏せることも、そして村人を救うことも出来ぬ。だが、汝の悲しみをいやす一助になることはできるかもしれぬ。我が背に乗るがよい。汝、このまま朽ち逝くにはおしい存在故。汝の身の上は、あまりにも悲しい故。我はその傷を癒す時間を用意しよう。汝の傷がいえるその時まで。我は悠久の時を過ごす身。気にすることはない。共に来るがよい。』

 そして私は風竜様の庇護を受ける身となった。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 あれから何年たっただろうか。風竜様の元、私は健やかに、その時を刻んだ。

 ただただ健やかに。風竜様のお心を煩わせぬようにと。いつしか、物事を考えることすらしなくなっていたように思う。

 私の心の傷は癒えたわけではない。ただ、封印しただけだ。心の奥底において、触れぬようにしているにすぎない。

 だから、私はその放置している傷が何れ私を再び苛むことをまた恐れていた。

 その傷は、いずれ表に現れて私をいつか壊してしまうのではないか。

 風竜様はときどきねぐらを離れることがある。そういうときにはそんなことを考えてしまう。

 そうなりたくない。このまま。ゆったりと時が過ぎればいい。

 そう、私は思い始めていた。

 そう思い始めたいたある日のこと。私は運命の出会い、そうとしか思えない出会いをした。

 その日のことは今でもよく思い出す。晩春の温かな日差しの心地よさが風と大地を洗い清め、森の木々にその慈悲を与えているかの様な、とても穏やかな日のことだった。

 そんな日にもかかわらず、私はお腹をすかせていた。

 はっきりいって飢えていたといったほうがいい。

 この地に来てから、食の全てを風竜様に頼っていたのだが、ここ数日、風竜様がお戻りになられない。

 風竜様が居を離れることは度々あったが、ここまでお戻りになられないことは今までなかった。

 私は、捨てられたのであろうか。見放されたのであろうか。そう考えると、涙があふれてくる。

 心健やかにと言えば聞こえはいいが、ただ何もしなかっただけなのではないか?

 その問いかけは私の心を苛んでゆく。

 そんなことを考えていると、突如この近くに何か大きな存在が降り立った。

 風竜様ではない何か。

 悪意は感じない。得体のしれない。でも、とても大きくて温かさを感じる何か。

 私は恐れよりもそれが何かを確かめたくなった。

 お腹がすいていることも忘れて、その存在のほうに走りだした。

 そして、そこにいたのは一人の少年だった。

 歳の頃は私と同じくらいだろうか。背は高いけれど顔立ちはまだとても幼い。ひょっとしたら年下かもしれない。

 大きな存在なのに、それに見合わぬ小さな体。風竜様とは全く違う、それでも同じとても大きい存在。とても不思議な少年。

 その少年は、食事をとっているようだった。

 私はその少年をじっと見据える。

 少年と眼があった。

 そこでその当時の私はとんでもないことをしでかした。

 もし、過去へ行くことが出来るのならば、私は薄情にも両親が死ぬ前の村ではなく、この瞬間に飛んで行って当時の私をぶんなぐってやりたい。 

 そんなありえないことを私は少年に向かって言ってのけた。

『ご飯・・・ちょうだい・・・・・・』



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[26410] 2回目投稿
Name: 高原たかは◆d64180c9 ID:738bec6d
Date: 2011/03/13 15:10
●十七日目
 ドングリもどきの乾燥作業に入りました。水につけてあく抜きしてたのよね。

 湖からの鱗引き揚げ作業も何度か。ついでにお魚もGET。

 登り窯もどきは~。まだ怖くて使えない。

 炭焼き窯の代わりにでも使おうかな。

 まぁ、縄文式土器もどき縄目無しで今のところこと足りてるからこれでいいのかな。

 身体能力駆使して手ごろな大きさの石を加工。石臼完成。

 これで乾燥させ終えたドングリを粉に出来るっと。

 う~ん。後何かするにしても、工具が必要だよなぁ。

 言葉覚えてドワーフのところに行ってみるか。

 うう~んドワーフが友好的な種族かどうかわからないから、初めはセリナちゃん通訳とかいうわけにもいかないよなぁ。

 言葉覚えるのには何となく抵抗があるけれど、仕方ないか。言葉の壁って大きいよね。本当に。

 で、そのセリナちゃん。何処へ行くにも後ろからひょこひょこ付いてくるのがかわいらしく。やべ、俺ロリ属性?いや、でも、年齢差はそんなないはずだけれども、って、2次性徴前は流石にアレっすよね・・・。


●十九日目
 セリナちゃん連れて遠出のお散歩。

 いや、なにかないかな~ってね。セリナちゃん背負って調子に乗ってスピードを・・・

 びゅんびゅんって飛ばしてたら・・・。

 飛ばし過ぎました。セリナちゃんごめんよ。

 ああ、セリナちゃんが地面に蹲っている。。

 まぁ、休憩てなことでちょい木蔭へ。

 したら、新キャラ登場。

 見るからに。

 ゴブリン!

 ん~、、でも、ショートソードにぼろっちい服とか想像してたけど、実際にはまっぱに近い格好に、布ではなくて葉っぱの腰みの。武器は石器か。

 いや~。まぁ、でも、ファンタジーだね。

 って、こいつらヤバいんじゃないの。

 ゲームなんかだと、雑魚だけど、問答無用に襲いかかってくる所謂悪役やられキャラってやつだよね?

 う~ん。厨二能力で、問題なく勝てると思うけど・・・。

 セリナちゃ・・・

 O.K.

 何も言わずに即実行。素晴らしいよセリナちゃん。

 セリナちゃんがゴブリンに日本語を教えた様子。

 お、ゴブリン混乱してる。

 周囲をきょろきょろ。

 ゴブリンはさらに混乱した。

 もんどりうってゴロゴロしだしてるけど、大丈夫かこいつ。

 ハロー、そこのお兄さん。大丈夫かい?主に頭。

 ゴブリンはピタッと止まってこっちを見て驚愕に内震えた。って、変な顔ってかムンクの叫び?

 あ、ゴブリン逃げた。

 ちょっと待とうよ。

 ん、、追っかけたい気もするけど、セリナちゃんまだ気持ち悪そうだしなぁ。

 まぁ、いいか。

 んで、石灰?を発見っと。

 なんとなく石灰かなと思うけど、石灰なのかどうなのか判別なんて出来るかい。

 まぁ、どうでもいい。

 てか、セリナちゃんの能力って、知識を与えられる側の耐性とかも必要なのかな。

 まぁ、うん。ちょっと注意しよう。


●二十日目
 ダメもとで~、石鹸もどきづくり~!

 って、石灰と油を混ぜて放置してみるテスト。

 脂肪じゃなくて油なのもポイント。

 脂分豊富ななんか変な実を発見したのさ。

 そいつを石臼でゴリゴリとやってみたらなかなか。

 器は土器じゃなくて石器です。

 刳り貫きました。力づくで。 

 で、風呂も作ってみました。

 でっかい石を運んで来て、これまた力技でくぼみを。

 日本人なら風呂大事。

 でも、厨二能力であんまり疲れないけど、水運ぶのは大変かもと思う今日この頃。

 あと、薪に時間がかかるのなら、炭を作ればいいじゃないかのテストも実施開始。

 4日間くらいかかるんだっけ。頑張るか。

●二十四日目
 が、頑張ったよ。俺、頑張ったよ。

 位置の悪かった半分が、灰になったけど。

 火が飛び移っちゃってたみたい。

 うん。

 まぁ、アレだよね。

 物事あまり気にしちゃダメだと思うんだよ。

 そんこんなで、この4日間。炭を焼きつつ向こうの世界の事なんかを考えておりましたと。

 父ちゃん、母ちゃん、姉ちゃん、従兄の兄ちゃん元気かな。

 クラスのみんな。苦しんでくれてるかな。

 もとい。

 明るく元気に、干からびて・・・おっと。

 いけないいけない。ダークサイドに落ちるところだった。

 まぁ、アレです。

 虐められっ子だったので、このくらいは仕方がないってところだ。

 小学校の頃。俺はいじめられっ子だった。完璧に。我ながらおバカだったし・・・、まぁ、それは仕方がないのかなとも思う。でも、6年の時にクラスに仲のいい連中が集まったのと、部活で成功したのと、真面目に授業聞いてみたら急に成績が急上昇したのとで、一回はその立場から脱出成功。

 中学1年の1学期までは学級委員なんかやってて、クラスのリーダー?っぽい立ち位置だったんだけどね。

 みんなの為に頑張らなくちゃなんて、今から思うと何トチ狂ってるんだこいつ的なこと考えて、自分殺して頑張ってみんなの間に入って仲裁調整と。

 で、頑張った結果が

 ハブですよ シカトですよで 村八分 

 と、そんな感じに。

 部活の友達が聞いてきてくれた話によると、調停の結果が一部の女子に恨みを買ったっぽい。

 んで、その女子のトップ。

 実質的なクラスのリーダーで、学年の中でもカリスマ?ってな感じの女子が、俺の排除に踏み切ったと。

 まぁ、自分がいるのに、自分無視してリーダーごっこしてた俺が気に食わないってのもあったんだろうな。

 その女にネゴとか事前折衝しなかったし俺。最初はしてみたんだけどねウザイから。でも、ウザ過ぎたから飛ばしちゃったのよ、その女を飛ばしても問題ない事柄はね。だって実際関係ある立場じゃないのだし。

 まぁ、でも、俺の調停がおかしいと思うのなら、その時その場で言えばいいのに。

 その時に言えないとしても、なんか言ってくれればいいのに。

 後になっていきなりこれかいと。

 まぁ、甘かったのね。俺自身が。

 あと、小学校の頃の栄光で先生にやってくれって頼まれて学級委員なんかやったわけだけど、元々クラスに仲のいい友達もいなかったし、浮いていたんだろうな。俺は。

 んで、夏休みの最中にクラス中に手をまわされて、新学期っからハブですよっと。登校早々、下駄箱&机にゴミ入りで。

 泣いた。泣いたね。

 んで、成績優秀、部活成績も全国レベルで全校でもカリスマな従兄の兄ちゃんに泣きついた。

 学級委員になってくれと頼んできた先生?

 真っ先にクラスの雰囲気飲んで、俺の弾劾に走ってくれやがりましたよ。

 何やるにも、お前に話しとおしてネゴしてから進めてただろうが!糞が!

 で、まぁ、普段から慕っていたし、というか、幼馴染だし、部活の先輩だし、昔っから何時も面倒見てくれていたしで助けてくれるかと思って従兄の兄ちゃんに泣きついてみたわけですよ。

 んで、逆に怒られた。

 話は最初から最後まで聞いてくれた。

 で、開口一番「みんなの為に頑張ったって、お前は一体何さまよ。」と。

 お前の意思で、お前がしたいから、お前のしたいように行動したのだろう。みんなの為じゃない。みんなの為と思ったお前の気持ちは理解してやるけれど、それは傲慢なんだよ。事、このことに関しないかもしれないが、俺はそのみんなの為って考えが大嫌いだから、まず初めにそのことをいう。
 みんなの為と思いつつ、お前は、実際には、みんなの為に行動することが、自分の利益になる。そう行動することが、気持ちいい。そう行動しないことが、気持ち悪い。そう思ったから自分の意思で行動したのだろうよ。
 お前が行動したのは、みんなの為じゃない。みんなの為と言って行動する奴全てがそうだが、それはまやかし。
 みんなの為に行動していたのに、この扱いはなんだ?
 違う。お前は自分の為に行動していたし、お前のクラスの連中も、所詮自分の為に行動しているにすぎない。

 ってな感じプラスアルファで説教受けたけど、まぁ流石は兄ちゃん。部活ではきちんと保護してくれたし、先頭に立ったカリスマ女にも睨みを利かせてくれたっぽい。あとで、和解してヤンよ的なことをいってきやがりましたよ。

 もっとも、このハブ状態を、俺自身が脱する気もなくなったので(だってこんな連中と仲良くしたいともう思わないもの)、まぁ、みんなが無視できない、学級会とか公の場でおかしいなって思ったところを嫌みのたっぷりに意見を述べたりし続けたから、クラス中からマジで嫌われたっぽいけど。

 で、気が付いたら今度は学校カースト最底辺の面子の期待の星になっていたわけだけどどうでもいい話。

 いきなり物陰から「応援してます」って、ちょっと怖かったよ?

 まぁ、兄ちゃんの説教もあって少しは吹っ切れたけれどもそれでも思う。クラスの連中のゴミ野郎どもと。

 理性と感情は別物なんだよね。

 で、俺は日記を書く習性があるので、誰がどのような形で俺を無視した、暴言を吐いた、誰かは知らないがどんな事象が起こった(下駄箱&机のゴミとか)。先生にそれらの事を報告したけど、先生は何も対処をしていない等々、日時共にしっかり記録をとってあるわけで、俺がいなくなったことと、その記録がリンクされて学校サイドで面白いことになっていてくれたらいいなと。

 やべ、ダークサイドに落ちてるよ俺。


●二十五日目
 石灰があるのなら、セメントも作れるのではないかなということで、セメントもどきの作成開始。

 出来たら洞窟入口の補強にでも使ってみますか。

 折れたショートソードは最近ではスコップ代わりです。

 石灰掘るのとかにも有効活用。

 石灰の運搬はちょっとこまったけど、平らな土器(石臼引くときに使ってる)の上にのせて往復肉体労働。

 文明人への道は遠すぎです。

 で、このあたりへ来ると視線を感じる。

 お、ゴブリンやん。言語移植した個体っぽい。元気で何より。

 おーいって手を振ると逃げて行ってしまう小心者め。

●二十六日目
 意を決して!ドワーフの町へ!!

 いや、ほら。ゴブリン君じゃないけれど、俺も小心者だから・・・

 行かなきゃ行かなきゃって思いつつも、ねぇ。

 後回しにし続けてきたけれど、流石にセリナちゃんの服がアウトになってきたってか、アウトになった。

 問題は会話だけど、アウトな服着たセリナちゃん連れてくのもなぁ。でも、しゃぁないか。

 人目につかないところで、ドワーフの誰かとっ捕まえて・・・。

 と、考えていたけれど、ドラゴンさんに行ってきますと挨拶に行ったら乗っけて行ってくれるって。

 何でも知り合いがいるらしく、彼に用事もあるらしい。

 ついでに紹介してくれるとはいと嬉し。

 だったら、こんなことになる前に服くらい用意してやれよと言いたかったけれど、こいつらまっぱが標準だ。

 仕方がないのか。

 ドラゴンさん曰く一応明日行くことになってるってなことなので、とりあえず、出発はあすに延期。

 今日はドワーフさん達にお願いするものをリストアップしてみますか。

・セリナちゃん用の服
 下着、靴込みで数着いるよな。セリナちゃん、背が低いし、女性用ドワーフの服でいけるよね?

・俺の服
 同じく下着、靴込みで・・
 今までどうしてたかって?風呂入ってるときに洗って
 火で乾かしてましたよ。
 場合によっては濡れたまま・・・。

・斧、鋸、鉋、金槌、釘、スコップ、ツルハシ、一輪車
 釘ってあるのかな?まぁ、あったらでいいや。

・布、裁縫道具

・バックパック、バック、ざる

・包丁、鍋、フライパン

 あと余裕があったら、俺用の剣とか刀とかほしいかもってそんなこと考える俺はなんて中(ry・・・orz

 だって・・・俺、14才だもん。

 中世っぽい世界だもの。

 仕方ないよね。

 んんん。あと足りないものって・・・。

 いっぱいあるような気がするけど、取りあえずこんなものでいいのかな?

 ん?

 いいのか、俺?

 欲しいものってもっと色々あってもいいんじゃないか?

 現代日本人として何か間違ってきている気がする今日この頃。

 んで、今日はセメントもどきが無事完成。

 うむ。使えるっぽい。

●二十七日目
 お金代わりにでっかい鱗を何枚かロープで括り付けて、セリナちゃんと一緒にドラゴン乗って一直線。さぁ、れっつご!

 って、俺が乗ったら自分で飛べと言われたよ?

 え~。

 俺、飛ぶとあれだし、ドラゴンだよドラゴン。

 ドラゴンライダーですよ、ドラゴンライダー。竜騎士とかって憧れるじゃぁありませんか。

 ってことで、ごり押しして、だだこねて、ようやくのせてもらいました。はい。最後はドラゴンさんの視線がちょっと生温かかった気もしたけど気にしない。

 んで、上空から見るドワの町。
 
 人がゴ(ry

 ってか、人じゃないよ。ドワーフだよ。

 訂正ポイントが違う気もしなくないけどまあいいや。

 んで、やってきましたドワの町。

 ドラゴンさんでか過ぎて街中には入れないので、街の外の祭壇っぽいところに着陸。

 わらわらわらわらドワーフが集まってきます。

 ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら。

 ってか、なんか街中から人が出てきてないかい?

 ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
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らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワら
ドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらド
ワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ
らドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワらドワ。

 う~ん。ちょっと圧巻かも。

 ドラゴンさんとドワーフが話しこんでいたので少し待っていると、なんか色々運び込まれてきているのですが・・・。

 って、おい。

 貢物かよこれひょっとして!

 あ~。とりあえず、紹介を~って、をい。

 樽ごと運ばれてきた酒飲み始めやがりましたよドラゴンさん。てか、ドワーフどもも宴会おっぱじめやがりました。

 ドラゴンさん。器用だな。うまい具合に樽から酒飲んでる。帰り酔っぱらってそうでちょっとあれだよね。

 あい。しばらくしてようやく、一人のドワーフ、略してドワを紹介してもらえたけれど・・・。

 こいつもう酔っぱらってるだろ。をい。

 ドラゴンさんの許可とって、セリナちゃんからドワへ言語移植。うむ。異常なし。

 んで、聞いてみたところ、今日はドワの町のお祭りで、お店はなんもやってないとのこと。

 何の祭りかっていうと風竜祭。ってこら。

 ドラゴンさんが御本尊でしたか。

 ってなことで、今日はここで一泊。

 買い物は明日だなぁ。

 さて、飲むぞ食うぞ!

 セリナちゃん。一緒にあの宴会へ飛び込もう!!

 って・・・ごめんね。

 食べ物飲み物持ってくるよ。

 人込みはあんまり好きじゃないよね。でも、人じゃないよ。ドワだよって。本当にごめんなさい。一緒ですよね。


●二十八日目
 あったまいてぇ~。

 人生初の二日酔いを現在堪能しておりまするよ。ええ、もう十分以上に堪能していますよ。だからもういいって感じですはい。

 やっぱ、お酒は二十歳になってから♪

 ですよね~。

 そういえばドラゴンさん。昨日たらふく飲み食いしてたけど、大丈夫なのかな・・・。ちゃんと帰れたのだろうかちょっと心配。

 一泊御厄介になったのはドワの街だけにドワの人のお宅。フランソワ(♂)さんのお宅でございます。男だけれどフランソワ。う~ん。異世界だしな。うん。ドワーフなのに、確かにドワーフなんだけど、紳士っていう言葉がぴったりの人?だしまぁ、いいか。

 で、久々にというか、経験したこともないふかふかのベット(天涯付き)にはちょっとご満悦な一夜を過ごさせてもらいました。もっとも二日酔いで実際はそれどころじゃないけどね(現在進行形)。

 フランソワさんのお宅は所謂貴族のお城ってな感じではないけれど、結構広くて豪勢なお屋敷でございます。金ぴかな嫌な感じもなく質実剛健って感じで、あちらこちらにある大理石の彫刻がまぁ素敵。もっとも、そういうのわかる人じゃないんだけどね俺。でも、そう感じてしまう。そう感じさせてしまうお屋敷ということで。

 この街。一応都市国家ドワーフ王国というそうな。まんまな気がするけどいいのか。まぁ、本人たちがいいならいいのだろう。んで、フランソワさん。その町長もとい、国王のお孫さんに当たるそうです。

 でも、外孫だし、継承権とか関係ないしでお気楽な立場だそうで。

 このドワの街もとい、ドワーフ王国は大陸の中央部にある、その名もそのまま中央山脈の南西ふもとに位置するそうで、火竜を奉じる北のドワーフ族とは敵対的とのこと。

 立地的にかなりの距離があるし、戦争とかにはなっていないそうなので、まぁ、あまり気にすることもないそうです。

 あと、この大陸の地理的知識も入手。

 とはいっても、大雑把だけど。

 まず、人間の国家は大陸の東と西に存在して、それぞれ独自の文化圏を形成してるっぽい。

 んで、この中央山脈沿いに、南のドワーフ族、北のドワーフ族、エルフ族、ダークエルフ族などが都市国家を築いているとのこと。

 で、この中央山脈の周りの森は魔物いっぱい蛮族?(ゴブリンとかっぽい)いっぱいなので、国家などはないそうで、例外としてはダークエルフ族が南の密林地帯。エルフ族の一部が東部の森の中に暮らしているってなところだそうです。

 あとは他にも、いくつかの種族が森の中に暮らしてたりするっぽいけど、めったにこっち来ないし分からないそうな。

 因みにこの中央山脈付近は、人族はめったにやってこないというお話で一安心。

 北のドワーフ族のところには若干、交易に来てることもあるらしいけど、人族自体が、特に西部地域の人族は他種族とみると襲いかかってくるので、向こうのほうから寄ってこないとのこと。よかったよかった。

 ということで、お買いもの♪お買いもの♪お買いもの♪の為にここに来たわけなのですよ。はい。

 てか、その前に換金換金っと。

 はやる気持ちを抑えて換金がまず先です。

 いくらくらいになるかなわくわくというか、これ、お金に換金できるといいな。たぶん出来るんじゃないかな。出来たらいいな。出来なかったら泣いてやるっと。

 そんなふうに考えておりました。

 なになに?とてもお金に変えられるようなものではない。

 ハウ。そうですか。涙目です。(T_T)

 え?違う?貴重品過ぎて?

 いや、大丈夫!まだまだいっぱいあるし、ドラゴンさんから採掘権もらってるし、思い切ってお金に変えちゃってくださいよ。

 買い物しないときついんですよ。はい。うん。

 てなことで、必死に説得して、鱗一枚当たり、3倍の容積の金と交換ってすげー。

 因みに、従量じゃないのはこの鱗、すっごく軽いから。

 ただ、そんなに急に金も用意できないとフランソワさんも涙目。

 いや、まぁ、ちょっと買い物出来ればいいのでってところなので。

 と、言うことで、今回持ってきた鱗3枚のうち、1枚は換金。1枚は預けておくので、シールドに加工してもらって、換金した分の中で、今、用意できない分からその費用を当ててもらう。

 最後の一枚は、どどど~んっと、今回プレゼントと。

 自分で汗水流して得たお金ではない、所謂あぶく銭だからなんだろうけどね。こんなことするの。それでも、我ながら太っ腹かな~とも思うのだけれどまぁいいや。

 まぁ、今後もちょくちょく来ると思うし、その際の通訳料でということで手を打ちました。

 最初は固辞していたけれど、最後には涙流して受け取ってくれてました。これで恩を感じてくれたなら、俺にとってもラッキーだしね。よかったよかった。

 んで、ようやく買い物。

 一応、リスト作って来たのでそれをお渡しします。

 フランソワさん、日本語だって読めるようになっているので大丈夫。

 ?

 大丈夫だよね?

 あれ?

 固まってる。

 ふむ。紙の材質に驚いているようです。

 なるほど。

 う~ん。紙の作り方。こんな感じなんじゃないかなっていうのは頭にあるんだけど。

 実際にやって出来るのか分かんないしなぁ、知ったかで教えて恥かくのもあれだし、恥かかせちゃうのもあれだしということで、今回は言葉を濁してとにかくこれ買いたいのでよろしくと押しまくってみた。

 家のものに買いに出させるとのことだけど、服に関してはサイズんいるので、直ぐにはできないとのこと。

 おけ。また取りに来ますですよそのくらい。

 ただ、セリナちゃんの~って、セリナちゃん何故にドレス?

 なるほど。家の方のを拝借させて頂いたのですね。

 髪の毛もちゃんと結ってあって、かわいいかわいい。

 あ~。もうてれちゃってたまんないねって。俺はオヤジか?

 まぁ、父性ですよ父性。きっと父性。絶対父性。たぶん父性。いや父性。

 そういうことにしておいて下さい。

 普段着っぽい服ももらえたとのことで、セリナちゃんのほうはとりあえずO.K.か。

 うんで、色々揃えてもらったり、採寸したり街中ぶらぶらさ観光せてもらったりで終わったら日が暮れて・・。

 もう一泊させてもらうことにしました。

 フランソワさん申し訳ないです。


●二十九日目
 というわけで一泊後。

 頭痛てぇ~。

 また二日酔いです。

 フランソワさん飲む飲む。

 俺に飲ませる飲ませる。

 未成年には~って聞きゃぁしない。

 まぁ、調子こいて自分から飲んでた気もしなくもないかもしれないけれど。

 さて、ということで色々揃えてもらったのでそれ持って今日は一先ず帰宅でございますよ。

 そろえたものバックパックに詰め込んで、フランソワさんが準備してくれた色々お土産持って~。

 持って~。持って~。持って~。持って~。持って~。持って~。持って~。持って~。持って~。持って~。

 持ち切れない・・・・。

 重量的にはいけるんだけどね。

 俺の手は二本しかないのですよ。

 最終的には荷馬車の荷台もらってそれに積んでそれ持って空飛ぶことになりました。

 下から支えて飛べば崩れないよね。

 一応、補強代わりにでっかい板を荷台の下に固定っと。

 服なんかは10日後くらいには出来上がるとのことなので、その辺りにまた来ますということで、一先ずおさらばです。

 家族総出でお見送りしてくれて、ちょっと人恋しいかなって感じだった俺には嬉しくて嬉しくて。

 今度はまたなんかお土産持ってこよう。

 なんでも、危険だから森の中はあまり入れないけれど、色々な資源の宝庫なのだそうな。

 探せばきっといろいろありそうだと思うのですよ。

 そういう探検チックなことって考えるだけで何気にわくわくです。

 んんで、懐かしきかな我が家に到着っと。

 あ~。今晩からまた地べたに雑魚寝か。

 今度ベット作って布団買ってこよう。そうしよう。

 いあ、布団は自作できるかな?

 布あるし、綿花もどきが収穫できそうだよなまだ。

 で、ドラゴンさんに挨拶と思ったらなんかいないでヤンの。ひょっとしてまだ帰ってきてない?


●三十日目
 ドラゴンさんがようやく帰ってこられましたですよ?

 なんでも、結局昨日まで飲んでたらしい。

 祭りは初日だけだったけど、国王とさしで飲んだりその後色々飲んだりでって、さすがドラゴン?!

 俺なんて、そんないっぱい(ドラゴンさんやドワーフさん達に比べて)飲んだわけじゃないのに二日酔いでしたよ。涙目ですよ。

 ってか、ドラゴンさん。恰好がものすごいな。なんというか・・・。

 首から風呂敷垂らしてその中にがっぽり荷物詰め込んで、さらに背中に持って、なんか笑えますよ?

 まぁ、それは置いておいて、今日は色々したいこといっぱいあるなぁ。

 セリナちゃんの服もなんかいっぱい貰って来ちゃったから収納用に家具も作っときたいし、探検にも行きたいし、何よりベットを作りたいし。

 まず木材作成からか。

 直ぐに木材には出来ないのかもしれないけど、取りあえず、前にへし折っといたのを作って加工しますか。

 釘はなかったんだよなぁ。でも、組み立て式で考えて作ればいけるよね?

 行けるはず。たぶん行ける。頑張れ俺。

 食料は、保存食と課調味料とかいろいろもらって来れたし食料調達の時間を削って頑張れば何とかなるかな。

 って。実際やってみたら目っさ大変だった。

 厨二能力駆使して頑張ったけど、完成まで4日ほどかかりましたよっと。


●三十四日目
 家が狭い。

 セリナちゃんはそれでもベットが出来たってご機嫌でいてくれるけれど、やっぱり狭い。

 いや、ベット2つに収納棚衣装棚でほとんどスペースがなくなっちまったYO!

 う~。外に掘立小屋でも建てますかね~。

 次にドワーフさん達の街に行ったら彼らに相談してみようかなぁ。

 んで、次は布団づくりかぁ。

 綿花もどき(もっさ巨大の)収穫もしときたいしなぁ。

 うん。よし、今日はそれにしよう。

 綿花もどきがいっぱいあるところまで荷馬車持って行って、収穫収穫っと。

 てか、今まで何で地べたに寝てたんだろう。

 せめて、この綿花もどき敷き詰めて寝てればよかったと思う今日この頃。

 過ぎたことだし気にしてもしょうがないか。うん。

 よし、取りあえずこんなところでいいか。

 ってか、布団に詰め込むの以外のやつ、何処におこうかなぁ。

 まぁ、あんまり考えなくていいか。ベットの下あたりに詰め込めば入るだろ。きっと・・・。

 とりあえず、摘んだ綿花もどきを洗濯。

 ついでに石鹸もどきが一部使えるっぽいので、それを使用。

 んで、天日に干して乾いたら、布地に詰めて縫って縫ってっと。

 このあたりの作業はセリナちゃんも手伝ってくれるから早い早い。

 今日からふかふかのお布団で寝られると思うとちょっと嬉しい。

 って・・・・。

 今の時期?結構暑いの忘れてた・・・。

 まぁ、うん。大丈夫。敷布団と抱き枕って思えば。

 うん。そう思えば問題ないよね?

 ということで、掛け布団は立派な抱き枕もどきにあいなりました。

 あ~。セリナちゃんの寝顔がちょっと幸せそうで嬉しい。

 何気にこの子、寝ながら泣いてたりするからなぁ。結構心配なんだよね。

 この世界。この世の中でこの子の闇が晴れることはないのかもしれないけれど、それでも、こんないい子が俺の前で涙を流すって正直きつい。

 俺も大人って歳じゃないけれど、しっかり支えて育てていかないとな。

 は!育てるって言ったら、勉強も教えないといけない?ってか、俺自身勉強が・・・・。

 とりあえず、算数、数学で覚えてるあたりでいいのかな?

 まぁ、明日から少し考えよう。


●三十五日目
 算数の問題をセリナちゃんに出してみた。

 う~ん。

 練習はやっぱり必要っぽいなぁ。

 能力によって既に知識は得ているというか俺の知識全部、全て読みとれと言って読ませたけれど、それを基に考えたりする能力はやっぱり練習が必要っぽい。

 セリナちゃんちょっと抵抗してるけど、必要なことということで頑張って練習。

 頭の訓練は大切です。

 俺?

 やべ、俺どうしよう?

 とりあえず今日から1日何問かずつ問題を俺が考えて、セリナちゃんに解いてもらうという形にする。そう決めた。

●三十六日目
 た~んけ~ん!

 探検探検探検!

 ってことで、フランソワさんへのお土産さがしです。

 いや~。探検って言葉にはなんか胸躍るものがありますですよ。男のロマンってやつです。

 さ~歩きまくるぞ~♪

 セリナちゃんには今日は留守番お願いしてLet's GO!!でございますよ。

 うん。まずは今までいったことのないエリアまで空飛んで行って、そこから地べたを這いずり回りますか。

 ・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 数時間歩いて気がついた。

 何が価値のあるものなのかが分からないよ俺。

 魔法。まぁ、俺が召喚なんてことされてるわけで、きっと魔法はあるのだろうけれど、そういう意味で価値のあるものなって俺にはわかるわけもなく。

 ついでに言えば、鉱物資源なんてものも、俺にはわかるわけもなく。

 う~。ヤバい。お手上げだ。

 まぁ、アレだ。

 ハイキング気分でもいいか。

 てか、うん。

 気にしたら負けだ。

 たぶん。

 しかしこの森、本当に人の手が入ってないみたいだねぇ。ジャングルみたいな感じじゃないけれど、なんていうか鎮守の森っていうかそんな感じっていうか。神秘的?

 下草が生えまくっていて~って感じじゃなくて、苔むす中を突き進むって感じ。

 ねぐらのあたりなんかだと、下草も生えてたりするんだけどね~。湖の周辺で、横からの光が入るからなのかな。

 んで、このあたりだとたまに大型生物が通ったあとかなって感じのごっつい獣道っぽいものもみられるけれど、それ以外普通の森・・・って思っていた時もありました。

 突如、緑が動いた。

 ぱっと見そんな感じで何これ俺の目の錯覚?って初めは思ったさ。

 緑が棍棒?ってか、引っこ抜いた木を途中で折って、握りの部分加工しましたって感じのもん振り回して俺に叩きつけてくるじゃありませんか。

 びびった。

 てか、その一連の動作があまりに自然というか異常過ぎて、俺の脳みそが理解不能ってか動けませんでしたよ。

 かろうじて右手を挙げてぶんなぐられるのを防ぐというか、防御っぽいものをしてみた俺えらい?って、普通だったら俺死んでるってばさ。

 まぁ、でも、ビバ厨二能力。

 普通に受け止めている俺がいるわけよ。

 受け止めつつも頭が働かないけれど、それは向こうも同じっぽくて、あちらさんも動きが止まる。

 あ~。なんだ。なんというかグリーンジャイアント?腰の部分に葉っぱとか使った腰巻宛てているってことは一応羞恥心ありかこいつは。

 と、とりあえず、向こうの動きが止まったのをいいことに一瞬で間合いを詰めてジャンプ。グリーンジャイアントのの首周りにしがみ付いて頭をひっぱだいてみる。

 肉体言語ですよこの野郎。そっちがその気なら俺だって。

 んで、なんでひっぱだいてるかっていうと、アレだ。殴って頭粉砕して血みどろになったらやだなとか、とっさに思考の登った結果だったりする。

 変なところで冷静だよな俺って。我ながらそう思うわ。

 んで、変なところで冷静でなかったりした俺は俺自身に向こうの方が強かったらどないすんねん。何で逃げへんのや!と叱りつけてやりたくなるけど、その時はそこまで頭が回らなかったし、2,3、回ひっぱいだいたらそのままノックアウトしてくれたので結果オーライ。

 力の加減がいまいち分からないから徐々に力をあげて行くしかないのよね。

 ふぅ。

 まぁ、一安心ってか、あとから怖さが湧いてくる。

 足がガクガク言ってますよ。腰にも変な痛みが走ってるし、これが腰が抜けたっていう状態?どうにか動けるけれど。

 あ~、もうびっくり。

 今まで猛獣っていうのには出くわさなかったし、こういうモンスターもゴブリンとか、あとドラゴンさん?あ、ドラゴンさんも入れればというかモンスター扱いしたら失礼かな。って、まぁ、それくらいしか会わなかったわけだけれど、やっぱりこの森って危険なのね。

 うん。まぁ、これも探検の醍醐味ってことでいいか。

 グリーンジャイアントはそのまま放置してしばらくほっつき歩いて今日は帰還っと。

 息の根止めて~っていうのもなぁ。


 正直。これが人間相手だったら逆に俺は止めをためらいつつも刺したと思う。こいつらや、魔獣、まぁ、肉食獣含め、半ば本能のまま襲ってくるってだけのやつらなら、殺すも生かすも気分次第というか、無駄な殺生はしたくない。手加減が可能であれば、相手を生かすこともあるだろう。

 でも、人間だったならば。

 後味がどんなに悪くても殺すと思う。

 何故っていう問いに対する回答がうまくまとまらないけど、なんていうか。

 ああ、そうだ。

 恐怖だ。

 これは恐怖からの発想だ。

 まだ、この森の中では襲われたわけではないので、所詮仮定の話にすぎない事柄だけれども、襲ってきた人間がいたとして、彼らを生かしたままにしておくってことは、人間という野生生物以上の怪物が、連鎖的に自分を襲って来ることになる。俺が襲われ続けることになる。

 そういう恐怖だ。

 まぁ、仮定の話だけど。

 って、あれ?なんでこんなダークな発想に。

 まぁ、いいや。

 ほい。んで、お土産は、白っぽい木の皮を少しばかりというかリュックいっぱいに剥いで詰め込んでみました。

 乾燥して粉にして、うまくいけば紙が作れるかなって。

 場合によっては~というか、お土産になるものが見つからなかったら、出来た紙をお土産にしようって思うのですよ。フランソワさんへの。上手くいったら向こうで産業にしてもらってもいいしね。


●三十七日目
 木の皮を~。とりあえず乾燥させてっと。

 う~。一日ほっといたらセリナちゃんがお冠です。ごめんよ~。俺だけ楽しんできちゃって。でも、森の送って色々危ないのが出てくるから仕方がないんだよ~。

 昨日の時点では森の中が危ないなんてことをそんなに気にしてなかったのは、秘密です。

 まぁ、結果的に危険なことも分かりましたから。

 で、今日も探検を~。って。

 セリナちゃん。子泣き爺にクラスチェンジしてませんか?

 こ、これは、軽く命の危機?な~んてことないけど、どしたもんかね。

 まぁ、しかたがないので今日は一日セリナちゃんと一緒です。

 明日はまた俺だけで探検ってことを言い含めましたよ。きちんと。

 で、今日はと。

 紙すき用の機材を作成するとしますか。

 見よう見まねというか、見たこともないのにこんなもんかな的に作っておりますよ。

 で、ついでに、オセロもどきを作成。

 何故にもどきかというと、

 ①白黒じゃない(いや、塗料ないし)。
 白と黒って、掘ってみました駒一つずつ。

 ②枡目がなんます必要なのか分からないので、10×10に。

 8×8だったっけ?オセロって。

 まぁ、これでセリナちゃんとちょっと遊ぶ。

 つか、強いよ。セリナちゃん。

 初めはおれの圧勝だったけど、数回したらなかなか勝たせてくれなくなりました。ってか、俺負け始めっていうか、勝てねぇ。

 ちょっと涙目。

 まぁ、セリナちゃん喜んでくれたからいいか。


●三十八日目
 さて。紙を作ってお土産にって考えてたけれど、よくよく考えると時間がない。

 取りに行く日って明日じゃないか。

 う~ん。

 どうしよう。

 考えても仕方がない。行動あるのみ?

 下手な考え休むに似たりだしな。ここは一先ず探検続行!

 というわけで、セリナちゃんお留守番plz

 って、聞きゃぁしないよ。この子泣き爺もどきは!

 仕方ない。連れて行きますか。いざとなりゃ、抱えて飛んで逃げればいいか。

 いきなり狙撃とか・・・。ないよな・・・。

 と、言うわけで昨日と同じく途中まで飛んで後は地べたを這いずり回るっと。飛んでる最中は位置を見失わないように気をつけておかないと、すぐ迷子になりそうでちょっと注意を必要とする。

 何気に一昨日の帰りとか、迷子になりかかってたしねぇ。だって!どこもかしこも森ばっかりで、同じ景色にしか見えないのさ!!!

 まぁ、中央山脈があるから、まだマシなんだろうけどさ。

 と、この辺でいいかなっと。

 セリナちゃんに背中から降りてもらって、バックパックを背負い直して(飛行中は前にバックパック、背中にセリナちゃん)、はい。歩きませうか。

 まぁ、ピクニックピクニックハイホーと自分に言い聞かせつつだけれどもね。

 で、しばらく歩くとなんか“ビリ”って来た。なんていうか“ビリ”っとしか言い表せない変な感覚。セリナちゃん大丈夫?って、何でか真反対に向かって歩こうとしているし、いったい何なのよ。

 ん?セリナちゃんは真っ直ぐ歩いてるつもり?

 ふむ。結界というやつなのかな。

 魔法ってのがあるっぽいこの世界。まぁ、そんなものがあっても不思議じゃない。

 で、そんなものが張ってあるってことはそこに近づいて欲しくないってことだよね。

 興味はあるけれど、来てほしくないっていうところに押し入って、何かトラブルになるのはちょっと怖い。んで、まぁ、俺一人ならまだしも今回はセリナちゃんいるし、強引なことは避けた方がいいよね。

 ってことで今回ここは撤退しましょう。

 でも、うん。興味はあるなぁ。

 ちょっと上空から偵察っと・・・へ?

 森の中に、というか、木の隙間から屋根が見える。流石に真上からっていうのは失礼かなって思ったので、結界?の外側からの観察だけれども、あれはなんていうか、お屋敷?西洋風の。

 ふむ。誰か住んでるのかな。人種だったらなんか怖いし、やっぱりここは今回放置が正解ですよね!

 って、あれ?なんか遠くに白いものが見える?白い木?雪じゃないよな。結界とは関係なさそうだし、歩いていけそうだし、今日の目的はあそこの白い木にしよう。

 途中何かに襲われることもなく2時間ほど(感覚的に)で目的地に到着。

 なんていうか、葉緑素どこいったよこの木はよ!ってな感じに真っ白な木でございます。真っ白な大木ですよ。光合成とかできるのか?いや無理だろ。白だもの。

 俺の距離感はいまいち正確じゃないのでよく分かんないけれど、下手したら50m超してるんじゃないかっていうくらい大きな気になる木。

 幹も枝も葉っぱまで白って、誰か染めたのか?と疑いたくなることこの上なし。

 何ともまぁ珍妙な。

 流石異世界ってやつかなって感心。

 で、さらに微妙なのが周りの地形というか、周りの木々。この白い木に太陽の恵みを明け渡そうとするかのように、放射線状に・・・斜め上方向、円の外側向けて伸びて行ってる摩訶不思議。

 太陽の方向に向かって伸びるっていうなら分かるんだけどね。なんでだろ?

 まぁ、でも、この木ならお土産になるかな。なんか魔力とか宿ってそうだし。切り倒すのは流石に気が引けるけれど、葉っぱ数枚と、小枝の一本くらい分けてもらってもいいよね? 

 むむ。気のせいかもしれないけれど、なんか怯えられてる気がしなくも無きにしも非ず。

 木から感情が・・・って、流石に気のせいだよな。

 むぅ。でも気になる。この木に意思があって勝手したら祟られたとか・・・なんか御神木とか言っても不思議じゃない木だけにちょっと心配。

 セリナちゃんに頼んで、この木に小枝一本と葉っぱ何枚かくださいねってお願いしてもらってからにしますか。返事があるとは思えないけど。うん。まぁ、気になるし。

 って、あれ?呼びかけてもらったらなんか出てきましたよ。う~ん。白い木からいきなりこげ茶色の顔がひょっこりと。いや、なんかきもいって。で、さらに緑の髪の毛にって緑の髪って派手やな。まぁ、いいや。で、まっぱの女性が白い木から出てきましたけど・・・。

 なんか、泣きそうですよ。

 え~なになに?ふむふむ。え?いや、だから切り倒しませんて。小枝と葉っぱ頂けたらなって。てか、魔王とかなによ。俺ら単なる人間で、人畜無害な存在ですよ?そんなふうに怯えんでも。

 セリナちゃん通訳お願いって、言語移植してるし。めんどくさいからってゴブリンさんみたいにもんどりうつ可能性もあるからねぇ。あのゴブリンさん無事だったみたいだけど。

 で、結局木から出てきた彼女を説得すること小一時間。まっぱな彼女を直視するのも気が引けて、なかなか直視できないせいか不審がっちゃって、説得によけいに時間がかかりましたよ。ってか視線のやり場に困るよな。でも、まぁ、どうにかこうにか説得して小枝数本と、大量の葉っぱを分けてもらいました。最後まで、魔王魔王と怖がられてたけど、結果オーライですね。

 なんでも、彼女は木を守護する精霊で、この木を守っている存在云々。って、精霊とかいるんだ。すげ~って、まぁ、うん。それはともかくおいておいて。

 なんでも、近くに住んでるヴァンパイアさんにいつもは結界はってもらってるんだけど、俺ら魔力ってのが強いらしくって効果なかったみたいっておい。ヴァンパイアなんているのかよ。こえ~。さっきの屋敷か。無理して踏み込まなくてよかったよ。

 で、まぁ、この木はとっても珍しい木で、薬とか魔法の道具の材料になったりするので、精霊なりが守護しないと、誰かが切り倒しに来てしまうと。ヴァンパイアさんとは、葉っぱを渡す代わりに結界を張ってもらう仲なのだそうな。ふむふむ。

 あ~。もらうものもらってもお礼するものがない。人格ある相手からタダでものもらうとか気が引けるなぁ。まぁ、いいか?いいのか?とりあえず、うちら風竜の庇護下にあるんで、その辺にいるから、何か困ったことがあったら言ってくれって口約束だけして去ることにしましょう。あまり長居するのもあれだしね。ヴァンパイア怖いし。

 あ、精霊さんの名前聞き忘れた。まぁ、いいか。


●三十九日目
 はい。今日は予定通りドワの町へ買い出しです。

 お土産は、白い葉っぱと木の枝と、価値があるかはわからないけれど、綿花もどき。それと、森に入ったときしとめた一角鹿の角と思ったけど、これがどっか行ってしまったようで見つからない。

 出発直前に準備した俺が悪いよね。仕方ない。角は今回諦めよう。

 んで、ドワの街まで来たけれど、フランソワそんとどうやってコンタクトとるか決めてなかった俺がいる。

 まぁ、仕方ない。お屋敷まで飛んで行って、大声で叫びますか。

 めっさ恥ずかしかった。

 屋敷の衛兵すっ飛んできて囲まれるしね。

 いや、そりゃそうだよね。

 いきなり屋敷の庭に不法侵入。

 大声で何か叫んでるやつがいたりすればそんなもの。

 仕方ないけど、ちょっと情けないよね、俺。

 セリナちゃんに通訳お願いするって方法もあるけど、セリナちゃんの能力あんまり人前で使うのって、なんか気が引けるのよね。セリナちゃん人見知り気味なところあるし。

 まぁ、どうにかこうにかコンタクトが取れました。

 次からの為に、門番の人にご紹介いただき、それでも間違いないように、通行手形ならぬフランソワさんの家紋の入ったペンダントをゲット。

 これを見せれば、次から取りなししてもらえるとのこと。

 そして始まりました、注文していた服の衣装合わせというか、セリナちゃんファッションショー。

 って、そんなもの注文してたっけ?そんなに注文してたっけ?

 あ~。なるほど。奥方のゴンザレスさんの御趣味と。

 ありがとうございます。

 てか、女性の名前にゴンザレスって、ドワの言語感覚が分からない。

 因みにドワの女性は皆ロリです。若々しいというか若々し過ぎます。胸のあるなしでしか成人と子供の差が分かりません。胸のない大人のドワ女性は、一生子供扱いなのだろうか。まぁ、いいや。

 セリナちゃんが奥方の着せ替え人形と化しているうちにフランソワさんから残りの鱗の代金受け取ったり、注文してた盾を受け取ったり、お土産渡したりしております。

 って、お土産を渡したら、またまた泣いて土下座されましたよ。

 葉っぱと小枝は、竜の鱗以上の貴重品らしいし、綿花もどきも魔法のかかった衣服のうんたらかんたららしい。

 まぁ、喜んで頂けただけで嬉しいですよ。

 元手は俺とセリナちゃんの労働力だけですしね。

 そんなこんなでお土産という名の賄賂を渡した後に切り出す本題。

 小屋と水車小屋と給水塔を作ってほしいとお願いしてみる。

 今の洞窟が手狭なので、俺らの住む家と、水汲み面倒臭いので、給水塔とそこへ水を上げるためのポンプとその労力たる水車小屋ってね。

 話していて、ポンプという技術がこの世界にはないとのことだったけど、俺には田舎のじっちゃんの家で見て、従兄の兄ちゃんと共に分解して怒られた手押しポンプの知識があるのですよ。

 その知識を披露して、水車とつなげるクランクや、ギアなどの説明をして、給水塔の意義を説明したら、フランソワさん涙流してますよ?

 その後、相も変わらず着せ替え人形と化しているセリナちゃんを残して近くの工房に引っ張っていかれてフランソワさんを通訳に簡単な絵と共に色々説明。

 職人さんたち眼がすごいギラギラ?  

 フランソワさんと同じく涙流してる人たちもいるし、まぁ、喜んでくれているようなのでいいのかな?

 とりあえず、男女二人の住む家と水車小屋、給水塔の材料や人工の手配をお願いしたけれど、それに先立ち工房の人たちが自分たちで本当に作れるかやってみるとのこと。

 また10日後位にドワの町に来ることになりました。

 因みに、フランソワさん宅戻ってきたらセリナちゃんたと奥方はお菓子作りをしておりました。

 まだ着せ替え人形やってたらどうしようと思ったけれど、流石にそれはなかったようで。

 まぁ、セリナちゃん笑顔だしよかったなと。

 んで、フランソワさんに引きとめられて、結局また一泊することに。




[26410] 3回目投稿※下の話注意
Name: 高原たかは◆d64180c9 ID:738bec6d
Date: 2011/03/13 15:18
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 南ドワーフ族の祖先は、何代も前の風竜の庇護によりこの山脈に流れ着き、一族の命の灯を絶やさずに済んだという。

 古の文明が滅んだ際の大混乱と天変地異。魔と魔法の暴走による大災害が多発し、多くの種族が滅び、数を減らし、文明の後退を余儀なくされた中で、その命脈を紡ぐことが出来たのは本当に幸いなことであり、南ドワーフ族は、その存命に力を尽くした風竜への恩を忘れることはない。

 明日は今代の風竜様を迎えての祭りの日。

 その準備の中、風竜を迎える神殿の端に立ち、フランソワ・ディン・ガルディニクスは遠い過去に思いをはせる。

 眼下に広がる大森林を見つめながら。

 遥か昔。天地開闢から永遠の時を生きる始祖精霊と、その時代の先人の遺物のみが伝えることのできる大昔。

 長き時を生きる風竜ですら何代もの世代交代を要する昔のこと。

 この大陸を魔王が統べていた時代があった。

 魔王はこの大陸の全ての上に君臨し、魔を鎮め続けた。

 その時代の人々は、今よりも遥かに進んだ文明を築き上げ、魔王がもたらす平和と安寧を享受していた。

 しかし、自分以外のモノが、全ての上に存在するということに耐えられないという愚かで、心なき者の姦計により、魔王は畜生道へ落とされた。そして、その心なき者の悪行によって、過去の文明は一夜にして滅びさったと伝えられている。

 眼下に広がる大森林の中には、その当時の文明の中心となった場所があったという。

 この広大な大森林の何処とは知れぬその場所に祈りをささげながら彼は呟く。

「いつの日か。かの文明の再興を。」

 南ドワーフ族を初め、この中央山脈のふもとに住む民は-北の火山に住む北ドワーフ族を含め-、全てがそれぞれの崇める竜族の庇護の元、文明崩壊時の難をどうにか逃れたはるか太古の偉大な文明の残滓。

 彼のみならず、南ドワーフ族。いや、この中央に生きる全ての種族はそう願っているのだろう。

 だがしかし、その全ての種族は、ただその思いを胸に秘めたまま、長き年月を停滞し続けているにすぎない。



   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 フランソワは南ドワーフ族の中でも変わり者の貴族として有名であった。

 南ドワーフ族の貴族は口をそろえて彼を『理解できない存在』と、眉を潜めつつ語る。

 一言で、『変人』と言うものすらいるだろう。

 そのくらい南ドワーフ族の中では変り者である。

 王族ともつながりのある大貴族の家に生まれた彼は、幼い頃より古の文明に興味を持ち、その遺物の収集と解析に、まだ成人前から貴族の持つ莫大な富を費やし始めた。

 それは褒められこそすれ、決して白眼視されるようなことではない。

 それだけであるならば、南ドワーフ族きっての名士と呼ばれていたであろう。

 エルフ族を始めたした諸族の生み出す物品を収集しだしたのも、中央山脈地域の商業種族としての役割を担うドワーフ族としては許容範囲だろう。

 だがしかし、はるか東や西の地に住む、森の蛮族にも劣る人族の物品まで大金をはたいて買い求める姿を見るに、周囲の人々は呟いた。

 趣味人と。

 そう、ここまでならば趣味人で済んでいた。

 だが、彼は止まらない。成人してからは中央山脈沿いに住まう他種族や、大陸東部の人族とも若干ながら交流のある-南ドワーフ族とは商売敵で仲の悪い-北ドワーフ族とも交流を持ち、そこから聞き及んだり物品を解析して得た技術や知識、そして何より、南ドワーフ族の各工房に一子相伝で伝わる技までもを、広く皆に伝えようと尽力しだすに至っては、各工房はもとより貴族、そして王族まで口をそろえて彼を思いとどまらせようとしたものだ。

 各工房の匠たちは言う。

「我々は、古の文明の後継者である。その伝統ある技を濁そうとするなど言語道断である。」

 貴族たちは言う。

「他種族の、地に落ちた技に何の価値あある。民から得た富を無駄遣いするなど、貴族として考え直すべきだ。」

 それでも彼は止まらない。

「古の文明の技を、知識を伝えているのは我々だけではない。各種族の知識を組み合わせ、今ここに、偉大なる文明を再現するよう努力すべきなのだ。」 

 王族までもを巻き込んだ、彼の行動に対する諸勢力の翻意の努力も、結局は、彼の意固地さと、現在の諸外国の知識レベルの確認をするのは理に適っているし、我らの技は濁るようなものでもなかろうとの王の裁定により黙認されることとなる。

 そして彼は、南ドワーフ族の内部において『理解できない変わり者』との立場を手に入れることとなった。

 知識を広め、共有化しようとする彼の活動は、そのような中で困難を極めた。


 だがそれでも、徐々に、本当に少しずつではあったが理解者が現れ始めた。

 初めは、建築や工芸品作成を生業とする技術者集団。

 彼らはエルフ族やダークエルフ族、東方の国の木材建築の技術、木材加工の技術に目を付けた。

 次にとある鍛冶師の一族。

 その一族は東方の国の刀剣加工技術。それに使われる製鉄技術を欲した。

 そうした技術を試行錯誤しながらも会得した彼らは、「与えられるだけで、こちらが何も与えぬのは南ドワーフ族のなおれ。」と言い出し、自らの技術の提供も申し出るようになった。

 そして壮年の域に達した今。少しずつ彼は活動の輪を広め、決して多いとは言えないが、各種の技術者、魔術師などに協力を得られるようになっていた。

 


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 南ドワーフ族の風竜祭は3日間行われる。

 もっとも、3日間とはいっても、皆で祝うのは初日のみだ。風竜が降りてこられる神殿の祭壇付近で祝うのは、それなりの立場のある者に限られはするが、その日は国中でのお祭りになる。

 各村々はもちろんのこと、商用などで他の地へ赴いているものも、その日は仕事を休み祝うのが慣例だ。

 一方。残り2日は風竜と王-存在している場合は巫女も同席するが-のみ。場合によっては数人の王族が参加して行われる神事となっている。

 そして、その初日。

『皆、その繁栄を維持すること。我は嬉しく思う。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・此度、我が新たに庇護した人族の子を・・・・・・』

 風竜が此度の祭りに人族の子供を連れてきた。

 そのことに南ドワーフ族は皆困惑した。

 そもそも彼らは本当に人族なのか?

 祭りに舞い降りてこられた風竜の背に、何かがのっかっているのはフランソワの位置からでも見てとれた。

 その存在の、風竜をも圧倒する強大な魔力に皆、彼らが魔法で人の身に変化した新しい八大竜の何れかではなかろうかと噂していた。

 風竜が、竜族の他の誰か。属性の決まらぬ子竜や、新たに八大竜の位を継いだ竜をそのような形で伴って祭りに舞い降りてこられたことは、南ドワーフ族の歴史の中で度々あった事柄である。

 それは、祝いこそすれ、訝しむ要素はなんらない。

 だが、人族。風竜が連れてきた存在は人族だという。

 古の魔王を姦計にて畜生道に落としたのは、人族の青年だったという説もあり、何より、大陸西部の人族は森にすむ蛮族よりも野蛮と伝わっているが為、南ドワーフ族では人族への評価はすこぶる悪い。

 そして、何より・・・

 これは他のドワーフとは少し異なった感性を持つフランソワ自信もドワーフ族の他の皆と同じように感じたことだが、その身にまとうあまりに強大な魔力。

 伝え聞く人族ではあり得ない。

 どういうことなのか。

 人族とはこれほど強大な存在なのだろうか。

 もちろん。個体によって魔力の強弱はあるだろう。だがしかし、それにしても限度というものがある。

 確かに大陸中央の諸部族は、人族との係わりを持ってはいないが、北ドワーフ族という存在もあり、全くその存在について語られないということもない。

 これは一体・・・。

 この時集まった南ドワーフ族の諸氏を代表する感情は、困惑だろう。

 風竜のなさることに間違いはないのだと思うが、と。

 だが、多くのドワーフが困惑する中、風竜を囲んでの宴は何も問題がなくがごとく開始されれる。

 ドワーフ族は南も北も関係なく大概酒好きあり、酒が入るとその席上では大半のことがどうでもよくなる気質がある。

 そのような気質の為、フランソワを除く周りのドワーフは全て、新たに現れた人族のことすら酒の肴に盛り上がる。

 だが、フランソワ自身も酒自体には口をつけてはいるが、周りのように酒の肴にという気にもなれず、一人黙々と酒杯を重ねていた。

 風竜が庇護に置いた人族という存在が、気になって仕方がない。

 フランソワにとって、その強大な魔力というのも気になるが、人族と言う存在自体が気になって仕方がないのだ。

 と、その時。

「陛下が私を?」

「はっ。フランソワさまを御前にお連れするように申しつかっております。」

 祭りの際に、王の御前に召されるということは、つまり、王が自ら歓待している風竜の御前に召されるということであり、例外は多少あるものの、風竜よりお言葉を頂けるということである。

 南ドワーフ族にとっては大変な名誉であるものの、フランソワ自身はそのような栄誉にあずかれるとは今まで考えてはいなかった。

 フランソワ自身は陛下の外孫に当たり、陛下からは大変気に入られていると自負するところではあるが、『変人』との王族や貴族の評価により、陛下のお傍から、避けられているのが実情である。

「了解した。参ろう。」

 ひょっとすると、変人の評価が功を奏したか?

 フランソワの予感は当たる。

 祖父王と、なにより風竜よりねんごろなお言葉を頂き、人族の少年と少女の供応役に抜擢された。

 


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 風竜より直々に手助けするように申しつかった相手は、二人の少年と少女。強大な魔力を持つ、とても礼儀正しい少年と、“巫女”の力を持つ少女であった。

 少年と少女から聞く彼らの生い立ちには同情を禁じ得ないものがあるが、私はそれ以上に、それぞれ、特に少年の背景にある異質な文明への好奇心と憧憬を覚えずにはいられない。

 フランソワはその日の日記にそう記している。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


●四十二日目
 俺がこの世界に来て、もう、ひと月以上が経っているってことに今更ながら気がついた。

 何故にそんなことを意識したかと言うと、ドワの街から帰って来たその日から、ずっと雨が降っているからで。

 雨季というか、梅雨の時期が始まったのかなと。

 つまるところ、季節が変わったのかなって考えたら、そういえばって感じです。

 しかしこの雨、鬱陶しい。

 しとしとしとしと降り続く雨。こう雨が続くと、困ったことが色々出てくる・・・・。

 まず、暇。

 いや、雨の中で出来ることなんてほとんどないから。

 そんな訳で、暇という苦痛の時間を過ごさないといけない。

 当たり前のことだけど、外で活動すると濡れるし。

 森の中に入ればそんなには濡れないけれど、それでも洞窟を出てところなんかは、木が茂っているわけではないので濡れてしまうし、森の中だって全く濡れないわけじゃない。

 服も、一度濡れるとなかなか乾かないからまた大変。

 下手に濡れると、洞窟内部に干すところがほとんどないこの現状。かなり困ったことになる。

 竈とかも外だから、料理もする気になれない。

 食事も保存食そのまま丸かじりという手抜き状態で過ごす日々。

 屋根のある作業スペースとか倉庫とかが欲しいと心の底から思うよ、本当に。

 そんな訳で、外に出れないこの現状。することがないのが大変だ。

 オセロばかりだと流石に暇つぶしも厳しい。セリナちゃんの勉強も、そればかりだと俺もセリナちゃんも苦痛だしね。

 ああ、そうだ。

 あと、お風呂にも入れない。これもかなり困る。

 風呂は露天で五右衛門風呂もどきだし。

 火がつかないんだよね。

 じめっとした空気の中だと、よけいにお風呂に入りたくなるから困ったもの。

 で、他にも下の処理なんてものにも困るわけで。

 汚い話だけど。

 今までは、住んでる場所から少し離れた近くの小川付近で用を足し、そのままケツを川の中に突っ込んで洗ってたのでございますよ。

 その時ズボンはどうしてたかっていうと、まぁ、アレなわけだけど、それが一番手がかからないんじゃなかろうかという具合で。

 初めは、葉っぱとか使って拭いたりとかもしてみたけれど、葉っぱって何気に破れやすい・・・。

 勇気を出して、恥ずかしいけどセリナちゃんに聞いてみたら、彼女は葉っぱ派だそうです。

 重ねて折りたたんで、破れないようにしてということらしいけど、一度破れて指にべったりついちゃったのはもうトラウマなわけで。

 フランソワさんのお宅なんかだと、流石貴族って感じで、布(使い捨て)を使って拭いていたのだけれども、それは流石に贅沢だしね・・・。

 んで、雨が降っているときは、川のところは上に木の枝もないもので、雨がまともに降ってくる。川にケツつけてというわけにもいかず、どうするかと言うと、枝と葉っぱ、もしくは濡れてもいいように洞窟から全裸で・・いや、一人ならやってけど、セリナちゃんいるから二択。

 葉っぱは拒否したかったから枝を試してみたけれど、いてぇ!俺のデリケート?なお肌には枝は無理。結局葉っぱ。

 結局は葉っぱになったけど、、トラウマ抱えてるだけに、用をたすのも雨が降ると辛いのです。

 そして、個人的に一番困ることが。

 そう。これもそう。下の話だけれども。

 うん。だって、俺若いんだもの。

 たまにそういう欲求がどうしようもなくなったって仕方ないよね!

 あ、あああああああああああああああああ。

 これってヤバい。超ヤバい。めちゃくちゃヤバい。

 今、気がついた。

 そういう欲求持っているときにセリナちゃんに心読まれたらどうしよう。

 今までそういう欲求があったときって、普通に森の中で隠れてしてたけど、全然セリナちゃんのこと考えてなかった。

 やばい。セリナちゃん、そういうのに適応力と言うか、寛容な心持ってなさそうというか、抵抗感もってそう。それ以前に知識がなさそう。

 セリナちゃんに嫌われたらどうしよう。

 うぅぅ。こんなこと考えながらベットで悶えてたら、セリナちゃんが不思議そうに首かしげてるし。

 とりあえず、頭の中で『今、思考読まないで。お願いだからやめて!頼むから今はだめだ!!!』と、それだけを延々と考え続けてみることに。

 アホな子を見るような眼で見られていたのは気のせいと信じたい。


●四十六日目
 降ったりやんだり、なんとか晴れたと思ったら、こんどはめっさ蒸し暑かったりするわけで。そんなイラっとするお天気が続くここ数日。

 晴れてる時を見計らって、濡れないように強引に洞窟内へ持ち込んでおいた機材、燃料をここぞとばかりに使って紙作りに挑戦。

 紙っぽい膜が張ったときには嬉しかったけど、乾かそうと思ったら雨が降ってくるし、それでもようやく出来たと思ったら、なんか平らじゃないし白くない。

 そんな訳で、紙作りは完全に煮詰まった。ええ、煮詰まってしまったのでありますよ。

 あまり欝屈としていても仕方がないので、今日は気分転換に探検へGO!

 途中で雨が降るかもしれないけれど、気にしない。気にしたらたぶん負け。

 洞窟に閉じこもってばかりなんてつまらない。もう限界です。

 そんなこんなでセリナちゃんとお出かけ。

 セリナちゃんも雨で暇してることが多かったし、気晴らしになるだろうと期待して。

 いつも通り、飛んで長距離移動。適当なところで降りて歩き回りこと数時間。

 ふと、足元が石畳の残骸であることに気がついた。

 これって、遺跡?街道跡とか?

 このまままっすぐ行くと、なんかの古代遺跡とかあったりするのだろうか。ダンジョンとか財宝とか考えるとめっちゃワクワクしてくる。

 そしてそれは現れた。

 否、否否否!

 そこに遥かな昔から、存在していたのだろう。

 道沿いに歩くと数十分。それは森の中、木々がうっそうと茂っていて先の遠くまで見渡せない中に、それは確かに存在した。ほら見つかった!

 明らかになんかの古代遺跡だよね。

 初めはそれが石壁とはわからないほど、苔と木の幹やら根っこやらに浸食されたグレートウォール。

 おそらく城壁か何かの一部。

 そして、街道跡のその先に見えるは、城壁の寂れ具合とはミスマッチな門。

 誰か修繕してるのか?

 何者かがいるのなら、これや勝手に入るのもまずいのか。すぐに中に入って探検してみたいとおろだけれど、後で文句言われるのも気が引けるし、不味いよね。

 それでも後ろ髪をひかれる思いを断ち切れず、上空から、一度覗きこんでみるかなどと考えていると、何と城門が開き始めているではありませんか。

 誰かがそこにいるのなら、お話くらい聞いてみたい。

 その欲求が抑えられない。

 それに、門の中から俺を呼ぶ声が・・・。

 声が・・・。

 声?

 セリナちゃーん。誰かいるみたいだから通訳をって、どこ行った!

 あわてて引き返してみたら、城壁の逆方向に向かって突き進んでいるセリナちゃん発見。

 どうやら、いつの間にまた結界なんぞに引っかかっていたらしい。

 手、握ってる必要あるかな。

 え、でも。もじもじ。あう。

 ま、まぁ、いいや。

 うん。いいや。

 しかしあの遺跡は一体全体何なのだろう。誰かがいたように思えるし、何か呼ばれていたようにも思うのだけれども。でもそれって、よくよく考えるとなんか怖い。

 まぁ、時間も時間だし、今日は帰りますか。

 空から見下ろしてみたけれど、その城壁自体が何処にあるのか分からない。城壁の中ももちろんのこと。

 何かが隠されているのか、本当に。それとも単に壁だけあって緑に埋もれているのかな。

 ここはどうも、白い木のの近くらしいので、今度聞きに行ってみると致しますか。あの精霊に。

 人のこと、まおーまおーと、失礼な子だけれど、なんか知ってそうだしね。ご近所さんだし。

 てかあの精霊。思い出すとなんかむかつく。まっぱの痴女で俺に失礼なこと言うし。

 魔王とは、俺の姉ちゃんのようなやつにふさわしい称号だというのに。

 良し決めた。あいつのことは今後、自称精霊と呼ぶとしよう。精霊なんていう神秘な存在が、あんなやつだというのは考えにくい。

 決めた、決めた、そうしよう。
 

●四十九日目
 綺麗に晴れ渡った青い空。

 今日はフランソワさんとの約束の日でございます。

 晴れてよかった本当に。昨日も雨だったしどうなるかと思ったよ。

 雨だったら、飛んで行くのもしんどいし、連絡のとりようもないから、行かないというのも伝えられない。

 約束を破ってしまうのは、仕方がないことではあったとしても、どうも心が重くなるから嫌なのだ。

 こんどから、雨が降ったときはいけませんって、伝えておこう。

 フランソワさん宅に付いたなり、挨拶もそこそこ俺を引っ張って馬車に押し込めるフランソワさん。セリナちゃんはセリナちゃんで奥様に引っ張っていかれてるし、ご夫妻そろって強引です。

 やってきたのは工房街。この前の工房とは違う場所っぽいけれど、見せられたるは、給水塔か。ちょっと高さが足りない気もするけど、実験ならこれでいいのか。

 井戸からの組み上げだしね。

 ふむ。水車の代わりに風車使って実験したっぽい。でも、風車の改造とかすごく手間かかっただろうに。

 部品とかの作成も、一つ一つ手造りだから、こんなに早く出来上がるなんて思ってもみなかった。

 流石ドワーフ。凄過ぎる。

 今日もきっと打ち合わせだろうと思っていたのに快挙です。

 そんな訳で、どうやらうまくいったっぽい。

 みんな胸張ってやんややんやの大騒ぎ。

 って、おい。飲み会開始かい!

 ただ俺から言わせてもらうと、パッキンとかシーリングの技術がいまいち。つまり水漏れとかが少し悲しいかなって思うのよ。

 そもそもそこらへんの技術がなくって、この前教えた知識の中から拾って自分たちなりに改造したってのはまたすごいところだけど。

 自分たちなりにっていうのは、ゴム製品の技術がないので、そこら辺はコルクを使ってやっているとかその辺り。

 でも、ゴム製品がないのにここまでやるっていうのもすごいところだとおもう。

 そうだよなぁ。ゴム。ゴムはあった方がいいよな。

 この世界にゴムの木の代わりになるものとかあればいいのだけれど。石油はどうも使ってはいないけれど存在はしてるっぽいんだよな。聞いた話だと。石油を加工って手もあるのだろうけれど、そっちの知識ないしなぁ。

 蒸留したり遠心分離したりで色々な成分に分けてって感じだったっけ?

 まぁ、危険だし、公害の元になりそうなのでこれは後回しだよね。

 と、なると植物で探すのが一番かな。

 嘘かほんとか知らないけれど、昔ロシアで、ゴムの木じゃなくてタンポポの根っこからゴムを作ったっていう話も聞いたことあるし、何かの植物で代用できる可能性は大いにありそうな気がする。

 ドワーフのみなさんとそういう技術について意見交換をしてみたものの、みんな唸っちゃってるなぁ。

 とりあえず、俺が森を巡って、色々木を切ってみたり、根っこをほじくり返してみたりする必要が・・・。

 待てよ。あの自称精霊なら、何かそういうこと詳しいかもしれない。

 やっぱり会いに行く必要がある。

 そしてこの日の夜に大事件発生。

 フランソワさん宅にほろ酔い気分で戻ってみると、なんかのお祝い?

 とっても夕食が豪華と言うか華美ですよ?

 え・・・セリナちゃんに????

 ちょ、おま。

 って、え?あ?

 月の障り?えっ?月経?って、生理・・・・・。

 落ちつけ俺。落ち着くんだ俺。頼むから落ち着こう俺。

 そう、生理だ。半ば父親と化してる俺としては、そう、家族として喜んであげるべき事柄じゃないか。

 うん。そう。そうなんだ。

 そうなんだけど。

 整理・・・もとい・・・・生理。

 そう、生理。

 俺にとっての地獄を意味するその言葉。

 いや、一応、普通の・・一般知識としてのそれは小学校の頃の授業できちんと習っている。

 普通であれば初潮とか、喜ばしい言葉なんだってことは理解もしている。お赤飯を炊いて祝うってことくらいは知っている。

 で、でも。でも、でも、でも、でも。姉ちゃんのおかげでそれはとっても俺にとっての心の傷になっているのでございます。

 姉ちゃん。そう、俺には姉が一人いる。

 四つ上のこの姉、一見すると文学少女。楚々としていて見た目は決して悪くない。髪は烏の濡れ羽色。背は少し高くて170cm。手足は細く、腰はくびれて胸は大きくないように見えるのに、実際にはD。顔は小顔で目はややつり目のくっきり二重。きりりとした眉に長いまつげで、素で見るときつく見えるその顔を、美味い具合に温和そうな微笑みでコーティング。あの外見に憧れを抱く野郎は多い。

 中身は腹黒なんだけど。

 外面めっちゃよくって周囲の大人、両親含めての受けは最高。

 学力もあって人気もある。

 中学校の頃は生徒会長をやりながら、裏でヤンキー(絶滅危惧種)が傅居ていたりしたりもしたもので。

 一緒に買い物に行った帰りにヤンキーの集団に出会って、俺がビビっていても正々堂々。ヤンキー集団がチーッスとかいってがいきなり頭下げてきたときには何これと。

 そんでもって中学校では品行方正高根の花。当時後輩として同じ学校に通っていた従兄の兄ちゃんが語るには、学校中のあこがれで、あまりにものその存在に、逆に告白できる野郎は皆無だったという話。

 でもこの姉・・・俺の姉ちゃんは、俺と従兄の兄ちゃんにとっての暴君。

 俺も従兄の兄ちゃんも、パシリ扱いで小さい頃から服従を強いられていて、こいつには逆らえないというすり込み済み。逃げ出したいのに逆らえない。

 そしてこの姉ちゃんが、その時になると暴君なんて言葉じゃ言い表せないような存在にランクアップするのでございますよのもう涙目ってな感じで。

 どんなにひどいことになるのかと言うと。

 まず、少しでも音を立てれば騒がしいと殴られる。

 黙っていても鬱陶しいと殴られる。

 逃げ出して家にいなければ、逃げ出しやがってこの野郎と辞書の角(箱入り)で殴られる。

 従兄の兄ちゃんはまだいい。

 住んでいる家が違うから。

 でも俺は、家族なので住んでいる家だって一緒だったりするわけで。

 しかも、うちはまぁ、親父が昔、事業に失敗したりしたもんで貧乏。

 母親の実家の貸家に転がり込んだのはいいのだけれど、姉ちゃんと俺の部屋は四畳半の一間ってなところで、そこに二段ベットと机を二つおいて俺と姉ちゃんが押し込められている何この監獄ってなところ。

 もう、それはそれは理不尽な扱いを受けるのでございます。ょょょょょ。

 夜寝ていると、幸せそうな顔で寝ているのがムカつくと、鼻つままれて窒息しそうになったりするのはまだ序の口で、知らぬ間に手足にマニュキュア塗られて、翌日の体育。プールの授業で死ぬほど恥かいた上に先生に怒られる羽目になったり、何この悪魔と言う状況。

 小学校の頃、お馬鹿な男の子が女の子たち生理って何~とかって質問セクハラしていたのだけれども、その時思わず「地獄の期間」と後ろで答えちまったりするほどで。その後なぜか「むっつり」なんて嫌な称号ついちゃうし。

 まぁ、とにもかくにも俺にとってはトラウマな現象。



 でも、でも、セリナちゃんならきっと大丈夫。そう信じよう。この子はいい子だ。

 絶対に大丈夫。そんなことにはなりはしない。

 そう信じようそうしよう。

 はぁ。

 え”?

 てか、セリナちゃんって何歳だ?

 胸はないよな?

 まぁ、深く考えるのは止そう。

 今日は疲れた。

 その後今度はなんだかんだで二泊ほどフランソワさんのお宅に御厄介になることに。

 なんでも、ドワのその手のお祝いをセリナちゃんにしてくれると。

 嬉しいじゃぁありませんか。

 そう、嬉しいことなんだ。

 うんうん。

 てか、その手の教育。ついでにゴンザレスさんにお願いしちゃおうこの際に。

 男手じゃ、ちょっとあれだしね。

 頼み込んでみたら心よく了解いただけた。

 フランソワご夫妻には頭が上がりません。マジ感謝。

 滞在日数が延びたので、色々なお礼も兼ねて紙の技術の触りの部分をフランソワさん及びその他ドワーフの有志諸君に講義。

 俺だけだと煮詰まったまま先に進めない危険性もあるし、これでいいよね。

 あと、俺らの小屋作成が、雨季が明けたらすぐに開始ってことで決定。

 ひと月もすれば夏になるらしい。

 暑いの嫌だなぁ。


●五十五日目
 雨のせいで、なかなか帰れなかったけど、ようやく戻ってきましたねぐらの洞窟。

 疲れたし、寝るかってぐっすり睡眠。翌朝起きたら・・・・何故に俺のベットにもぐりこんでるのよセリナちゃん。

 話を聞いてみると原因はゴンザレス!ってこら。

 ゴンザレスさんにその手の教育押し付けたのは間違いだったのか。

 落ち着け。とにかく落ち着け。

 まぁ、セリナちゃんにはとりあえずお説教。

 なかなか理解させられないけれど、取りあえずもぐりこみ禁止と強引に話を進める。

 マジ覚えとけゴンザレス。

 こちとら青少年のほとばしる色々ぐちゃぐちゃしてやるせないような、どうしよもないような、はっきり言うと性欲を、時にはベットでまるまってうんうん唸りながら、時には壁に頭打ちつけながら、時には陰に隠れてこそこそと、色々苦労してごまかしているんだぞ!

 まったくもってとんでもないことしてくれる。

 そんなこんなで今日は曇り空。保存食作りやらをやってしまおうと思うのですよ。

 探検やらもしたいけど、時間もあるし生活優先っと。

 とりあえず、ゴミでも捨ててきましょうか。

 ってなことで、ゴミ捨て場に来てみると、なんかゴミ穴そばの木が変だ。

 なにこれ?

 ふむ。この前ここに来た時は、こいつはまっとうな樹木だったと思うのだけれど。

 なにゆえこのような奇怪な変化を遂げたのだろう。

 それは、ゴミ捨て場の穴の近くに生えている、そんなに大きくはない木。

 ゴミ穴掘ったら根っこが邪魔だったので、切り倒してやろうかなんてなふうにも一時は考えた。

 でも、流石にそこまでするのもなって。

 てか、変にひねくれまがってやがったので、木材にもならんし、薪にするにもめんどくさそうってなふうに、考えたのを覚えてる。

 うん。この前来た時までは、そこそこひねくれまがったまっとうな木だった。

 こんなんじゃなかったよ。

 でも、なんか、今日来たら、うねってるし。

 これがプラントモンスターってやつ?

 うん。きしょい。

 うねうねうねうね、ゆらゆらゆらゆら。何、この魅惑の踊り。

 なんかむかつく踊りなのに、気のせいか、懐かれてるような気がするから、これまた切り倒すのも気が引ける。

 仕方ない。放っておこう。

 セリナちゃんとは何か仲良くなってるっぽいし。

 そのかわり、襲ってきたら覚えとけと睨みをきかせたら怯えてるし。なんか、面白いやっちゃな。

 まぁ、大丈夫そうなので放置。

 そのうち移動できるようにもなるのかな?

 そうしたら、門番代わりに使っちゃるっていい渡してとりあえずその場を離れる。

 でも、まぁ、流石異世界。地球の常識がなかなか通じない不思議世界。

 俺、このままここで生きていけるのだろうか。

 少し不安になってくる。



●五十六日目
 朝起きたら、ゴミ捨て場の木がねぐらの洞窟の前に立っていた。

 根っこは触手と化していて、うねうねうねうね気持ち悪い。枝の先からも触手が生えてるし。

 もう、なんなのさ。

 ふむ。門番やるって?

 てかこいつ。セリナちゃん経由で意思の疎通も出来たりするし。

 話を聞いてみると、こいつ自身も自分がなんなのか分かんないらしい。

 いつの間にか意思のようなものが芽生えて動けるようになっていたと。

 んで、俺とセリナちゃんがなんとなく仲間だって認識出来たと。

 ようわからんけど、敵じゃないっぽいのでまぁいいか。

 そういえば、こいつも一応植物だよな。なら、あの自称精霊が何か知っているかもしれない。

 そういうわけで、今日は自称精霊もどきのところへ行きますか。

 びゅんって飛んで白い木の元一直線。

 途中また、“ビリ”って感じたけれど、今日はセリナちゃんを俺の上に乗っけているので無問題。

 この前来た時、白い木のところは“ビリ”って感じなかったのに、今日感じたってことは結界はり直したのか。

 そうかそうか。そこまで俺の来訪が嫌だったのか。

 俺が来るだけでも嫌がらせになるのかな。

 それならそれで面白、もとい、いいのかな。

 うねうねする木は門番に置いていきたいともおもったけれど、こいつのこともひっつかんで連れてきた。

 落とさないって言ってるのに、怖がってなのか体にしがみついてくるのが何だかね。

 ほんとなんなのこの触手ってくらい体が柔らかくなってるし。全く持って不思議生物。

 んで、白い木のところに来てみると、おや?先客。

 あら美人。赤と黒のゴスロリ少女?いや、ゴシックロリータな服装の美人ってな感じか。

 背も高いし胸もある。結い上げた髪は栗色で艶があり、瞳の色は赤と言うか紫。顔かたちは西洋人と東洋人の混血ってかそんな感じかな。赤い唇に笑みをたたえ、黒い日傘とその服装。その彼女と白い木とのコントラストがまた見せる。横にいる自称精霊の痴女もまた神秘的ってこいつはどうでもいい。

 イタっ。セリナちゃん痛い。抓らないで。痛いって。

 とりあえず初めましてとご挨拶。

 自称精霊にはとりあえずおっすとあいさつしておいた。まっぱのこいつは目に毒過ぎて、後で俺もきついしね。色々な意味で。

 さて、ゴスロリのおねー様。

 なんとあの館のヴァンパイアだそうで。

 『ぼくのちはおいしくないですよ。せりなちゃんのちも。この木だったらすきにしてください』って通訳してもらったら、残念な子を見る目で見られた。

 残念な子じゃなくて、残念に思ったんだと思いたい。

 話を聞くにこのヴァンパイアのおねー様。結界が効かない存在がいるって聞いて、ちょっと悔しかったから、今日は張り直しに来たそうな。

 その張り直しの最中に、休憩してたら俺が来たと。

 ふむ。何か悪いことしちゃったかなって思ったけど、別にいいとのお言葉で、それより俺に興味がって、イタっ。だから痛いってセリナちゃん。

 通訳して話すのもめんどくさいとのことで言語移植。もちろん彼女の了解とって。

 危険性も説明したけど問題ないって言ってくれた。何かセリナちゃんの能力のこと知ってるのかな?

 改めての自己紹介。おねー様改めアルカさん。この痴女な自称精霊とは数百年来のご友人とのこと。歳のことは賢明な俺は聞かないことにするとしても、友達は選んだほうがいいと思う。って、痴女、ドロップキックとはやるなお前。かかと落としだったらたぶん俺動けなくなってたけど、まぁ、いいか。

 結界はってるのに邪魔しちゃ悪いから、帰ろうかなとも思ったけれど、今は待ち時間だから構わないと。

 そんなこんなでそこら辺に腰をおろしておしゃべり開始。ヴァンパイアってのは血を吸って眷族増やしたり、食事の血の為に人殺しまくったり、太陽の下はダメってなイメージがあったけど、この世界のヴァンパイアっていうのはそんなことはないそうな。

 なんでも、基本的には常に世界に一人か二人だけの一族?で、子供を産むときには確かに血を必要とするけれど、普段は普通に食事をするし、しみそばかすが出来たら嫌だから日光は避けるけれど、別に嫌いってほどのこともないそうで。

 まぁ、異世界だし、地球じゃ想像上の存在だし、そんなこともあるよね。

 んで、俺らの出自とか色々話してみたら、向こうの世界についてすごく興味がある模様。

 今度じっくりっていうことになったので、4日後にお屋敷にうかがうことに。

 俺はすぐにでも行きたかったけれど、結界はるのに少し時間がかかるからって。やりかけにするわけにもいかないんだって。

 あ、結界は、俺らフリーパスにしてくれるそうな。ラッキー。自称精霊が少し嫌そうな顔してたけれど気にしない。

 そんなこんなで小一時間。そろそろ作業開始っていう話なので俺らはお暇することに。

 結界を通れるようにする術式に必要ってことで、俺らの髪の毛を一本ずつ(うねうねの木は葉っぱ)渡しておく。

 呪いとか絶対ないと思うし彼女なら。自称精霊には絶対渡さないけれど。

 うむ。今日はなんか有意義な一日。

 俺の心も晴れやかな感じがするよって、あれ?セリナちゃんが微妙に不機嫌。おーい。セリナちゃん?

 結局この日はこの後一日セリナちゃんのご機嫌取りに。

 気がつくと、うねうねの木が触手をポンって俺の肩に乗せてくるし。ドンマイって?口がきけないこの木となぜか通じ合っている俺がいる。

 まぁ、いいか。

 そうそう、自称精霊とアルカさんからの情報。このうねうねの木は、どうもなんかの大きな魔力の源を吸収して変質しちゃったっぽい。

 ゴミ捨て場に変なもの捨てたかな?

 あと、ゴムの木情報ゲット。南の方にそういうのが存在するそうな。ダークエルフの活動領域っぽいから、ドワーフ族の交易で手に入れられるかも。

 それと何より、セリナちゃんの能力について判明。この世界では“巫女”と呼ばれる存在なのだそうな。セリナちゃんは。

 詳しい能力については、今度お屋敷に伺った時に聞けることに。

 で、セリナちゃん?そろそろ口きいてくれないかな?頼むよ~。

 あ、そだ。遺跡のこと聞くの忘れてた。


●五十七日目
 雨の日に、もう少し活動したいなってことで屋根のあるスペースをちょっと作ろうかなと。

 丸太を何本か柱にして、端っこはうまく組み合わせが出来るように加工。

 で、組み合わせて梁をとおしてっと。

 うねうねの木、略してうねうねが意外と力持ちな上、かなり器用で作業がはかどる。こいつの触手は伸縮自在な上、本数もあるから一人でどんどん作業する優れ物。

 しかもこいつ、食事いらない。太陽の光と水だけでいいらしい。なんという経済性。ビバ低燃費。

 思いもよらぬ拾いものってな感じかも。

 そんな訳で、細かい知識の必要とする部分以外はうねうねにお任せ。

 そして俺は風呂の改装に着手。

 いや、五右衛門風呂方式で、そのまま加熱してたから、石そのものに触るとやけどしちゃうのよ。

 いままでは、別の石とか木を使って触らないように入浴してたのだけれども、セリナちゃんも入るし、安全性を高めたい。

 だから、浴槽をもう一個作って、沸かす部分と入る部分を分けようかなって。

 今回は、前と違って木材と、セメントの流用も出来るから、ただたんに石をくりぬくのよりも作業が楽。

 木をとりあえず組み合わせて、隙間をセメントで埋める。そんなこんなで風呂桶完成。俺の腕前じゃ完全な密閉は無理だけど、俺ら二人が風呂に入っている間だけ持たせられればそれでいい。

 作業場も、十二畳くらいのスペースのが二つ完成。

 雨降っても屋根持つよな。たぶん大丈夫。

 そう信じよう。


●五十八日目
 石灰のあるあたりに行くと、必ず姿を見せるゴブリン君。相も変わらず小心者で、声掛けると逃げちゃうんだけど、なんか、あいつでかくなってね?

 見るたんびに背が大きくなってるのよね。

 太ってるんじゃなくて。縦に。

 成長期?とも思ったけれど、なんかちょっと違う模様。他のゴブリンも引き連れてるけど、そいつらよりもずっとでかい。

 これだけ急成長だと、成長痛とかすごいんだろうなぁ。まぁ、人ごとだからいいけれど。

 そういえば成長痛。俺もだいぶ悩まされたのだけれども、こっちに来てから何ともないな。

 これも異世界補正なのかな。

 悩むだけ無駄か。どうせ不思議世界だし。

 そんで昨日に引き続き風呂場の改装工事。

 今日は屋根を付けて洗い場と簡単な壁も作ってと。いや、もう。マジでうねうね便利だわ。

 そんなこんなで風呂場完成。

 さーってひとっぷろ浴びましょうか。

 ぉぃ。

 何でお前が風呂につかってるよ?

 セリナちゃんに出来あがったお風呂の使い方説明して先に入ってねって言おうと思ったら、なんかうねうね入浴中。

 なになに?俺、頑張った。これくらいいいじゃん?

 なんかむかつく。

 その後、なんか知らないけれどセリナちゃんとうねうねは一緒に入浴俺不機嫌。

 いや、俺がセリナちゃんと一緒に入浴ってわけに行かないし。誘われたけど。

 うねうねは性別ないと思うし植物だし。雄株とかって可能性もあるけれど、あいては植物。間違いはないと思う。たぶん。何かあれば悲鳴の聞こえる一に入るからとりあえず。

 いや、いいけどさ。

 はっ!触手風呂?

 いや、まずっ。俺の発想がまずい。セリナちゃん触手風呂って・・・・。

 いや、だめだ。だめだ。だめだ。だめだ。だめだ。だめだ。だめだ。だめだ。だめだ。だめだ。

 考えたらだめだ。

 うわー。めっさ自己嫌悪。

 たまってんのかなぁ。色々と。

 ようやく二人が入浴終了。俺が入ったらぬるかった。

 あとで確認取ると、うねうねは、ぬるめの風呂が好きらしく、湖の水で薄めやがったのだと判明。

 マジむかつく。

 ぶんなぐろうかと思ったら、セリナちゃんまでうねうねの味方して温いほうがいいとかいうし。

 やべ。泣きそう。


●五十九日目
 雨が降ってるけれど、作業場があるっていいね!

 ご飯も作れるし。

 しとしとっとした雨だからこれでも行けるけれど、横殴りの雨には不十分。

 そういう雨が降る前に、ドワーフさん達の手を借りて、色々作っておかなきゃと思う今日この頃。

 今日は作業場で材木を木材に加工。

 本当は、もう2ヶ月くらい寝かしたいけれど、色々使うし仕方がない。

 それと、空を飛んでもあまり濡れないように、空飛ぶちっこい小屋を作成。

 俺が前を見る為の部分は、どうしても、開けておかなきゃならないけれど、ゆっくり飛べばそんなに吹き付けてこないよね。

 ちっこいっって言っても、そこそこの大きさだし大丈夫。たぶん。

 セリナちゃんはうねうねの一部分と、そばでオセロしてるけど、うん。何か俺パパって気分。

 娘が横で遊んでいるのを眺めつつ仕事って、何とも言えない幸福感。

 ああそうだ。オセロだけっていうのもかわいそうだから、将棋も作ろう。

 フランソワさんからのお土産で、この前塗料のセットもらったし。

 うねうねの触手(セリナちゃんと遊んでるのと別部分)に手伝わせてというか、全面的に木材加工は任せて、将棋作成。

 やり方を、セリナちゃんとうねうねに教えていざ勝負。

 何だろう。

 ダメなパパの気持ちってこんな感じなのかな。

 俺、うねうねにすら勝てないんだけど。

 俺惨め。


●六十日目
 今日はアルカさんのお屋敷にご招待されてる日♪

 セリナちゃんは朝から不機嫌。何でよ?

 雨が降ってるので、早速小屋を活用。

 因みにうねうねはお留守番。

 うねうねは、なぜかは知らないけれど自分からなこると言い出したので、本来のお仕事として門番を申しつけておく。

 門番って行ってももんがないのはご愛敬。 

 てか、何故か不機嫌なセリナちゃんを見て首かしげてたら、うねうねがまた肩にポンって触手を乗せてくる。

 何か微妙にむかつく。

 さて、そんなこんなでアルカさんのお屋敷。

 小屋は・・・。何か不評っぽい。

 乗り物酔いになるらしい。

 セリナちゃんがふらふらしてる。

 外見れないのが難点か。

 他にもいろいろあるらしいけれど、それは後で聞いて要改良だね。

 出迎えてくれたアルカさんは今日もとてもお美しいいいいいい痛いってセリナちゃん。

 頼むから抓らないでって、アルカさん笑ってるし。

 アルカさんのお屋敷は、フランソワさんのお屋敷とは建築様式がまた違うけれど、これまた立派。

 これで掘りとか城壁があったらお城だねって感じ。

 エントランスホールは何この映画の世界。

 ダンスパーティーとか開けちゃいそうな大きさで、今にも動き出しそうな感じの鎧が飾ってあるのはちょっと怖い。でも、光源が何かはわからないけど、天井から下がるシャンデリアとか、華が活けてあったりと、全体としては落ち着いた感じ。絨毯の濃いめのワインレッドの色とかも影響しているんだろうけれど、華やかなんだけどギラギラの派手さはなくて、なんていうか女性の趣味なんだなって思える。

 根っからの小市民なので、豪華な場所に入ると、どうしてもびくびくしてしまうのはご愛敬。

 フランソワさん宅で慣れてると思ったのだけど、俺もまだまだだね。

 アルカさんが用意してくれたおいしい料理に食後のおいしい紅茶?。そしてお菓子。

 会話も俺の元いた世界の話とか。セリナちゃんも興味があるっぽくて、目がきらきらしてる。

 終始和やかな雰囲気で、これにはセリナちゃんもご満悦。俺もセリナちゃんの機嫌が回復して一安心。

 ちなみに食べ物はアルカさんのお手製だそうです。ありがたやありがたや。

 給仕に女性が数人ついてくれてるけれど、どんな種族の人たちだろう?

 完全に孤立した森の中かなって思ったけれど、そういうわけでもないのかな。

 料理にも香辛料とか使われてたし、何処からか仕入れるルートはあるのだろう。

 食後のお茶を飲みながら、それとなく聞いてみる。

 ふむふむ。なるほど。って、え゛?

 ゴブリンの方々ですか??

 緑じゃないし、小さくない。どういうこと??

 へ?

 ふむ。

 あの緑の子鬼の姿と言うのは、はるかな昔に会った災害の結果によって、魔?、ふむ。よく分かんないけど、何かに汚染されてしまった姿らしい。

 汚染されて知能も下がってしまってああなっているけど、本来は人族と変わらない姿で、頭に角が生えている種族だと。

 鬼なのね。鬼族が、その魔というのに汚染されてゴブリンと化していると。

 ふむふむ。

 それで、その魔を巫女の能力で払ってあげるとまた鬼族に変化すると。

 なるほどなるほど。

 あ、巫女って、そういえばセリナちゃんがその能力って・・・。

 ああ、そういえば、セリナちゃんに言語移植してもらったゴブリンが、なんかでっかくなってたし、あれって鬼族に戻っている最中なのかな?

 まぁいいか。

 ふむ。巫女の能力って、神様に仕えるというわけじゃなくって、ふむ。ふむふむふむ。

 纏めると。

①知識を読み取り、人に伝える能力がある。(記憶全てじゃなくて知識。記憶と知識ってなんか違うのかよく分かんないけど)
②能力が高いとその人が直近で考えていること。低くても感情が読める。
③魔を払うことが出来る。
④魔力があるので訓練すればもれなく魔法使いになれる。

 なるほど、なるほど。セリナちゃんって、そういう能力があるのね。

 ほむ。ヴァンパイアっていう一族は、その巫女の一族で、普通は巫女って遺伝はしないのだけれでも、特殊な魔術儀式をはるか昔に行ったので遺伝すると。

 へー。なるほど。

 あ、魔術!セリナちゃん。それ是非訓練しよう。って、俺も使える!?

 おおおおお!

 すっげええええええええーーーー!

 いや、もう。なんか、すっごく異世界って感じ。

 そんなこんなで、週一くらいで(一週間という概念はないらしいので、七日に一回ととりあえず俺が申し出た)魔法を教えてもらえることに。

 ああ、でもタダでいいのかな?

 なるほど、そうなんですね。

 なんと、俺とセリナちゃん。それにうねうねの魔力って、なんだかかなり高いらしい。

 特に俺は高過ぎて、暴発したりしたらとんでもないことになりかねないで正しい知識と使い方を覚えてくれと。

 植物のうねうねは動くだけで魔力消費してるから別にいいらしいし、セリナちゃんは巫女の能力でそれなりに使っているとして、俺は全く使ってないので、かなり危険らしい。

 はぁ、なるほど。左様でございますか。

 こちらこそよろしくお願い致します。

 魔力があってよかったというか、高過ぎて暴発の危険性って、何このトンデモ厨二能力。

 危険性付きの能力って、しかもアルカさんに出会わなかったら確実にやばすぎだったんじゃって、考えると怖いなぁ。

 なんか、アルカさん様様って感じ。

 頭が上がらないでございますよ。

 セリナちゃんもコクコクって頷いてるし、うん。

 とにかく暴発する前にアルカさんに出会えてよかったよかった。

 とりあえず、魔術の練習は来週からってことで今日はお開き。

 今すぐ教えて!とも思ったけれど、すぐに暴発するもんじゃないから、焦らなくても大丈夫らしい。

 はーーーーー。俺って、歩く時限爆弾状態になってたんだなぁ。

 怖い怖い。

 セリナちゃん傷つけたりって危険があったなんて、かなりショック。

 でも、まぁ、うん。どうにかなるみたいだからまぁいいか。あまり考え過ぎても仕方がないよね。

 さてと、セリナちゃんにはまた少し苦しい思いをしてもらうけれど、今日は帰りますか。

 お礼を言ってねぐらに戻ってみると、なんだか頭の痛い事態に。

 うねうねが、ドラゴンさんに巻きついているのを発見。

 怪獣VS触手状態です。

 ありがとうございます。お腹いっぱいです。マジで勘弁して下さい。 

 とりあえず、うねうねぶん殴ってドラゴンさんに土下座。

 本当のごめんなさい。うちのうねうねが、マジで失礼致しました。

 うねうね。お前も・・・。

 って、なに?ドラゴンさんが無害って伝えてなかった俺が悪い???

 うるさい。とにかく土下座しろ。

 とりあえず、うねうね畳んで再び土下座。

 あー、ドラゴンさん笑ってるし。これ絶対苦笑いだ。

 とりあえず、激怒してないみたいでよかったよかった。

 内心冷や汗ものでした。

 ドラゴンさんは、うちらの様子を見に来てくれたらしい。そんな優しい方に全く持って失礼を。

 ふぅ。今日は疲れた。





[26410] 後書きという名の言い訳
Name: 高原たかは◆d64180c9 ID:738bec6d
Date: 2011/03/13 15:10
 まずはお読みいただいてありがとうございます。
 また、特に感想、批評、本当に感謝です。

 色々な方から頂ける感想と言うのが、こんなにも嬉しいものだとは。これからも宜しくお願い致します。

第一回、第二回

●第一回投稿分の分割
 第一回投稿分を二つに分割しました。
 長いという感想が多かったので、取りあえずの対策です。

 長いというのを自分なりに分析すると

①単純に文字数が多い
 元々の第一回投稿分はUTF-8で保存した場合、118KB。
 オリジナル板で他の人が投稿しているのと見比べると、確かに長いほうではあるのですが、これ以上の分量もザラにある模様。

 一回目と言うところでインパクトがあったのと、モバイルなどで見ると、確かに長くて読むの大変なのかなと。

②話が単調で変化に乏しい
 色々語りたいことがあったので、ついつい全体として変化の乏しい状況に。

 でも、この状況。まだまだ続きそうなんです。

 内容を大雑把にしてスピードを速めるのも手なのですが、ただでさえ大雑把に書いているので、これ以上は工夫が必要そうです。

③語り口調が眠気を誘う
 語り口調は、書きやすいというところはあるのですが、読みにくいのかなとも思います。

 特に私の文章は。

 そういうところのストレスが、長いという感想につながってしまうのかなとも考えます。

 私の文章作成能力に起因するところなので、今後の成長に期待するしかないのが少し悲しいです。



 因みに、投稿する前は、一日を一話として投稿しようなどと考えておりました。ですが、流石にそれはどうなのかというのと、分割投稿めんどくさいという後ろ向きな理由であの文字数になりました。



●従兄の兄ちゃんのお説教
 従兄の兄ちゃんは今回私の代弁者として語らせてみました(※作者の私自体は、従兄の兄ちゃんのようなカリスマはありませんし、運動その他の才能も皆無です)。

 善意の押し売り(押しつけではなく押し売り)に対する戒めと言う話です。

 みんなの為に。

 この言いぐさ、意識の裏には善意の対価“だから俺を評価して”とか、“何で評価してくれない(評価という対価があって当然)”など、そういう意識が隠れてありがちな気がしちゃうんですよね。

 そんなこと言うのなら、俺は俺の好きにやっているだけって言えるようになれよと。

 それと、失敗の理由を人に押し付けがちになる意識も含まれてしまうのかなって気がしてしまうのです。

 みんな(お前らの無意識を感じて。お前らによかれと‥etc)

 お前は行動の理由を人に預けてしまうのかと。

 他の場で語っても反発受けがちな思考だったので、私の言葉足らずなところはもちろんあるとは思うのですが、単に作者がひねくれてると言うことなのかもしれません。


●顔文字と草
 確かに小説の文章として出てくると、私自身も違和感を覚えると思います。

 ただ、草はともかく顔文字は、ちょっと今回は狙いがあって使用しました(草は素で使っていました。主人公が壊れた時の表現として。言われてみてそうだなと)。
 もっとも、どうでもいい伏線的なもの(使用するかどうか迷っている)である為に、今後の使用は控えるとともに、現在使用している部分についても削除するかもしれません。


●主人公の過去話
 初め、この小説のプロットを立てる前に、学校カーストを題材とした別の小説のプロットを立てておりまして、そちらの設定の流用となっています。

 一度はカーストの底辺から抜け出した主人公が、またどん底に。

 今度はどん底の連中や、なんだかよくわからないけれど、お祭りわっしょいな乗りのいい連中と共に、カースト上位の連中に喧嘩を売っていくという話だったのですが、私の文章作成能力のなさの為、現在作成中断中になっています。

 ただ、そのまま没と言うのももったいないので今回流用してみました。


第三回
 文章量が50KB超したので投稿しました。

 相も変わらず一話として、まとまった話にはなっていないので申し訳ないのですが、量的にちょうどいいのかなと。


●下の話し
 異世界。特に中世に似た世界に行ったら絶対苦労すると思うんですよ。

 下世話な話なので、どうしようか迷いましたが、この乗りならいけると判断して書いてみました。

 汚い話ですので、気分を悪くされた方がいらっしゃいましたらごめんなさい。

●三人称視点
 鬼門です。うまく書けません。しかもたったこれだけなのに、書くのにかなり時間がかかります。

 それに、今までの語り口調にもどしたら、語り口調に違和感が。

 うまく書けるようにしたいところなのですが、要練習ですね。

●主人公の姉の話し
 一部実話が入っております。作者の経験談です。どの部分かは内緒です。でも、こんなことを書いたのを姉にばれたら殺されます。

●遺跡について。主人公自体の制約の刻印について。
 主人公、調べたり聞いたりするの忘れてます。



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