行政・くらし
「広報いつかいち」に紹介された初開催の風景(上)。第17回大会は「6・29豪雨災害」の翌年。480人が力強く走った
【佐伯区】広島市佐伯区の夏の恒例行事「八幡川リバーマラソン」(同大会実行委員会主催)が、「第3回地域・スポーツ振興賞」(主催=(社)スポーツ健康産業団体連合会)の最優秀賞・経済産業省商務情報政策局長賞を受賞した。全国から21件寄せられた取り組み作品から、河川清掃と合わせた点などが評価され最高の栄誉に輝いた。全国的な表彰を機に、地域を育てるふるさと自慢の大会の歴史を振り返ってみる。
町時代から脈々 しぶく水面に流れの重さ、水に足を取られ転倒する姿はいつの時代も変わらず―。八幡川リバーマラソンは、佐伯郡五日市町時代の1984(昭和59)年に初開催された。初回(参加500人)の様子は広報いつかいち9月号でも紹介されている。
毎年8月第1日曜日にある。発着点は同区皆賀3丁目の三島橋付近で、小学3・4年生(0・5km)男女から一般(3・0km)までの6部門と対抗リレーで競う。児童の参加が圧倒的。7年前から50歳以上が加わった。過去には子どもわんぱく水中トレインもあった。
開催の経緯は不明だが、前年に始まった河川清掃活動の一環である。現在も八幡川に親しみきれいな川を将来に残そうと、事前の河川クリーンキャンペーンと共に開催。環境保全と地域振興、スポーツ発展に寄与する。世界選手権400m障害3位の為末大選手も第4回・5回大会で連覇(小学3・4年生の部)するなど逸話もある。
川特有の中止も 大会は一日だが、事前の降雨状態なども影響する。27年目の昨年は27回大会だったが、中止した年があり実施回数とは一致しない。
中止になった例は、「6・29豪雨災害」のあった99(平成11)年など。97(同9)年は、台風9号の影響で延期の末に中止に。最近では2005(同17)年に悪天候のため未開催となっている。ほかにも、1998(同10)年が雨天のため2週間後に延期となった。
「梅雨の影響で水量の多くなる時期。(上流の)魚切ダムにも支障のない範囲で協力してもらっている」と、区政振興課。無事開催できるかどうかは当日の雨だけではなく、事前の長い期間、広い範囲が影響する。出場を楽しみにする子どもたちにとっては、自然の働きを理解する一助にもなりそうだ。
増加する出場者 近年、出場者は1000人に迫ろうとしている。一昨年は925人で、昨年は987人。この5年で382人も増加している。「認知度が上がってきた」と同課。毎回、同区内外から走ってみたい人が集まっている。
もっとも、「一度中止になると翌年一気に参加者が減る」(担当者)という側面も。記録を追うことのできる最近16年間では、前年中止に加え雨天で2週間延期となった平成10年が355人と最少。17年の中止時は919人の申し込みがあったが、翌18年は605人まで落ち込んだ。前年904人で初めて900人を突破した盛り上がりに水を差された形だ。
最近では、対抗リレーの参加チームが5年前から59チームに倍増し、新たな楽しみとなっている。
同賞は、スポーツを通じ地域振興に大きく貢献している活動を顕彰する。選考基準は、地域振興、住民参加、事業の健全性、交流・連携、継続・発展など。同大会は「事業の継続性、河川清掃とユニークなスポーツを組み合わせた点」が評価され受賞した。今月3日には東京で授賞式があった。