広島県の東部、瀬戸内海に面した歴史の町・尾道で生まれた村上あかりは、造船所の下請け鉄工所を営む父とおおらかな母、二人の兄に囲まれ天真らんまんに育ちました。高校の吹奏楽部でトランペットを担当するあかりは、弱小野球部の試合で演奏を忘れて歓声をあげるような熱血応援少女。思いこんだら一直線、周囲から“ガンボ”とあきれられる男まさりの性格です。
ところがある日、祖母・初音が尾道を訪ねてきたことで、あかりは自分が村上家の養子だったという事実を知り、一方の初音も自分の娘、つまりあかりの生みの母親が既にこの世にいない事を知ります。
実母の形見のトランペットをめぐって初音と衝突を繰り返すうち、あかりは祖母の存在を「乗り越えねばならない人生最大の壁」と考えるようになります。そして初音の暮らす町で自分を試そうと大阪の食品会社に就職。あかりは初音が営む小さな下宿屋に転がり込むのです。
初めて一緒に暮らす孫を、しかし初音は甘やかしません。「おばあちゃん」とも呼ばせません。一方あかりも、踏まれてもけられても初音に食らいつき、“いけず” なばあさんの小言に隠された生活の知恵を盗み、その知恵によって数々のピンチを切り抜けていくのです。
やがてあかりは、育ての母から受け継いだ広島の味と、初音から仕込まれた大阪の味を二枚看板に、お好み焼き屋を開業することに・・・。そしてあかりの店に集まる人の輪が高齢者と若者、大阪と尾道を結びつけ、あかりと初音は互いに離れられない存在となっていきます。
“食”と“家族”、“地域”と“音楽”をテーマに、鉄板の上で繰り広げられる泣き笑いの物語をお楽しみに!
1959年東京生まれ。主な作品にNHK「盲導犬クイールの一生」「ディローン~運命の犬」など。民放「ラビリンス」「指先でつむぐ愛」「交渉人~THE NEGOTIATOR~」「必殺仕事人2009」「DOOR to DOOR~僕は脳性まひのトップセールスマン~」 映画「交渉人 THE MOVIE」などがある。
1970年大阪生まれ。主な作品にNHK「彼女たちの獣医学入門」「真夜中のアンデルセン」、映画「子ぎつねヘレン」「天使の卵」「ぼくとママの黄色い自転車」など。NHKFMシアター「雪だるまの詩」(放送文化基金賞)などラジオ作品も多い。
1973年福井県生まれ。主な作品にNHK「フルスイング」、民放「H2」「赤い疑惑」「おひとりさま」、映画「自虐の詩」「櫻の園」などがある。
僕は毎年お正月に曲のスケッチを書き留めておくノートを新調します。
このメロディーは今年の音楽ノートの一番初めに記されたもの。
美しすぎる編曲は羽毛田丈史氏によるもの。
ひまわりは僕の一番好きな花。
この曲もひまわりの花のように明るく健やかに育ってほしいものです。
‘90年、KRYZLER&KOMPANYのヴァイオリニストとしてデビュー。セリーヌ・ディオンとの共演で世界的存在となる。
’96年の解散後ソロ活動開始。‘02年、自身が音楽総監督を務める「アーティスト自身が自由に創作できるレーベル」“HATS”を設立。
“HATS”に於けるアーティストプロデュースは勿論、イベントプロデュースや商品企画プロデュース等も行う。ラジオのパーソナリティーや個展を開く画家として、活動は音楽に留まらず多岐にわたり幅広く活躍。07年秋、原点回帰をテーマにロンドンへ拠点を移し膨大なクラシックスコアと日々格闘。今年はデビュー20周年の節目の年として、3年振りにlive imageの全国ツアーにフル参加、毎年恒例となった夏の野外イベント「情熱大陸スペシャルライブ」は札幌公演を追加し規模拡大、N.Y.公演を加えた自身のソロ・コンサートも近年にない公演数を発表。9月にリリースするニューアルバム「EMOTIONISM」は生誕200年を記念し収録したショパンとシューマンの楽曲以外は、すべて書き下ろしの新録となる。アニバーサリーの花火を打ち上げるのではなく例年以上の活動すべてに120%で向き合う、葉加瀬ゆえに可能な充実の一年を突き進む。
太陽のような人、いえ、太陽そのものかも知れない。
最初にお会いしたとき、葉加瀬さんが発する“陽”のエネルギーに圧倒され、そして何だか懐かしさに鼻がツンとしました。
半ズボンにランニングシャツ、麦わら帽が似合いそうな、かつての悪ガキが目の前にいるのですから。
まだ企画の方向性を模索している段階。葉加瀬さんに音楽をお願いしたことで、目指すべきヒロイン像が見えました。
太陽に向かって仁王立ちする「夏の女の子」。村上あかりの誕生です。
出会いから一年。葉加瀬さんからすてきな音楽の数々が届きました。
中でもオープニングテーマの「ひまわり」は、あかりそのものです。
真っすぐ、凛々(りり)しく、でもどこか切なくて……。
太陽が、自分に向かって咲く花へ贈ったラブソング。
間違いなく「てっぱん」の世界を豊かに彩ってくれることでしょう。
1939年、京都市生まれ。1953年映画「景子と雪江」で女優デビュー。1960年映画「大菩薩峠」でブルーリボン助演女優賞受賞、1992年「橋のない川」では第5回日刊スポーツ映画大賞助演女優賞を受賞するなど活躍。またテレビドラマでは、「いのちの現場から」シリーズなどの主演をつとめる。近年では「さんまのSUPERからくりTV」などのバラエティー番組にも多数出演し、多彩な顔を見せている。NHKドラマでは、大河ドラマ「武蔵MUSASHI」、金曜時代劇「寺子屋ゆめ指南」などに出演、連続テレビ小説では「すずらん」に出演している。
味や匂い、声や肌の柔らかさ……。
家族を思うとき、その顔だけでなく、五感すべてでよみがえってくるのは、
家族が五感の積み重ねでできているからかも知れません。
「てっぱん」は、全く違う文化、価値観で生きてきた孫と祖母が、ひとつの
家族になっていく物語です。その過程で、お互いの壁になったり、近づく
キッカケとなるのが、味の記憶、匂いの記憶、音の記憶です。
共有する記憶を持たない二人が、五感をフルに使い、互いを理解していく旅。
このドラマが、多くの方々の味覚や嗅覚を呼びさませればと願っています。
ご賞味下さい。
連続テレビ小説は、ヒロインの成長の記録だとよく言われます。このドラマは、新人ヒロインの成長を通して、「家族になっていく」過程を描いたドキュメンタリーであるような気さえしています。「家族になること」。さらには「人とつながっていくこと」。それがこのドラマのテーマのひとつです。豊かな俳優陣を迎えてそのプロセスを半年かけて描ける醍醐味に喜びを覚えます。しかし言うは易しで、人それぞれにそれぞれの家族の形があるように描き方は容易ではありません。キャストもスタッフも常に「自分だったら自分の家族だったらどうだろう?」と、日々セッションが続きます。その下地のうえで収録は行われるので、現場は時にドキュメントのような趣になります。台本を越えて、予想もしないところで笑いの渦が起こったり、泣いたりという日常のライブ感を大事に、その生き生きとした物語は、きっとさまざまな人々の家族への思いに届くと信じています。