福島の原発事故で、今、一番の問題は「核爆発するか」ということだ。
一昨日から東京電力は「ホウ素」を原子炉に投入し始めた。情報が不足しているので、正確な判断ができないが、原理原則から言えば次の通りである.
現在の状態で「原子炉が爆発する」可能性は3つある。
1) 水素爆発: 露出した燃料に水が接触して水素を発生し、炉の外にでて酸素と結合して爆発する(化学反応)、
2) 水蒸気爆発:高温の物体に水が接して急速に水蒸気になり、その体積膨張で爆発する(物理的爆発)、
3) 核爆発 :燃料が溶けて固まり臨界状態に達して原爆となる、
水素爆発はすでに福島第一の1号炉で起こっている.水素爆発すると建屋が吹き飛ぶので、周辺の人はビックリするし、若干の放射線が漏れる可能性がある。
水蒸気爆発は炉の内部で起こる可能性が高いので、水素爆発よりやや危険側にある。
核爆発は原爆と同じだから、付近は全て消滅するだろう.
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福島原発は地震直後に連鎖反応は止まっていると考えられる.そして現在の発熱は核反応ではなく、放射性物質の崩壊熱と考えられる.
もし崩壊熱だけなら中性子の吸収は関係がないので、ホウ素はなんの役にも立たない。つまりホウ素は中性子を吸収するもので、崩壊を止めたりゆるめたりはできないからだ。
核爆発や原発はウランが核分裂する時にでる2.4ヶの中性子の連鎖反応を利用している.だから、ホウ素を加えるということはウランの核分裂を止めるためのものだからだ。
東電は、炉が使えなくなる危険を冒してホウ素を投入しているのだから、なぜホウ素を投入するかを保安院に報告して了解を取っているはずだ.
もしその了解が「核爆発を止めるため」というなら、それを真っ先に国民に知らせなければならない。そして国民は「原爆」と同じ避難をする必要がある。
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このようなことを判断するときには「炉が溶融していることを政府が認めたか」などではなく、科学的な判断が可能なデータを直ちに公表することだ。
すでに福島の原発は事故を起こし、現在の状態をそのまま報告するのは東電と国の責任である.自分たちのメンツより国民の安全を考えて欲しい!!
テレビの解説者はホウ素の役割を知っているのに、理由を説明していない.原子力の専門家の方、勇気を持ってください。
(平成23年3月14日 執筆)
武田邦彦