十分な冷却機能が確保できなくなっている、福島県にある東京電力の福島第一原子力発電所と福島第二原子力発電所では、冷却機能の回復を目指す作業が進められていますが、安全を確保するめどは立っていません。
このうち、▽福島第一原発の3号機では、13日午前11時半に、燃料棒の上2メートル10センチまであった原子炉内の水面が、1時間半後の午後1時に計測したところ、水位が下がっていて、燃料棒が水面の上2メートルほど露出したということです。この状態は、少なくとも午後3時まで続いたということで、原子炉を十分に冷やすことができなくなり、燃料棒の一部が露出し、溶けた可能性があるということです。このため大量に水素が発生して原子炉建屋の上部にたまり、1号機と同じように3号機の原子炉建屋でも水素爆発が起きる可能性があるとしています。しかし、原子炉やそれを覆う格納容器は、万一、爆発が起きても衝撃に耐えられるとしていて、東京電力は、水素を取り除く方法を検討しています。▽12日に爆発が起きた1号機は、安全を確保するため、原子炉とそれを覆う格納容器の中に海水を満たす作業が続けられています。原子力安全・保安院では、流し込んだ水の量などから格納容器内は満水の状態になったと考えられるとして、このまま水を入れて冷やし続ければ当面は安全を確保できるとしています。▽2号機は、炉内の水の高さが通常よりも低い状態が続いています。格納容器内の圧力も通常より高い状態が続き、東京電力は13日も、圧力を下げるために発電する電源車をつないで電気で動く装置を回復しようとしていますが、これまでのところうまくいかず、容器の空気を抜くなどの別の手段の検討も行っています。▽福島第二原発については、1号機と2号機、4号機で、原子炉を冷やすために海水をくみ上げるポンプが津波の影響で動かなくなり、十分な冷却機能が確保できなくなっています。このため東京電力では13日夜から14日朝にかけて1号機のポンプを動かすモーターを交換したあと、2号機と4号機でも順次、同じ作業を行い、冷却機能の回復を図りたいとしています。地震の発生から13日で2日、原子炉を完全に止めて安全を確保するめどは立っておらず、東京電力は復旧作業を急いでいます。