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【連載】

セカイ系ウェブツール考

36 情報整理マニアへ! "スクラップ&サーチ"をもっとラクにする方法

2008/08/29

中津川篤司

    今回のテーマは「デジタルスクラップ」

    新聞や雑誌を切り抜いてスクラップブックにまとめているという人がいる。最近ではアナログメディアがデジタル化され、スクラップという行為が簡単にできるようになった。ブックマークはそのもっとも簡易的な方法と言えるが、リンク先の元データが消えると見られなくなってしまうのが難点だ。

    そこで必要になるのがスクラップという考えだ。何らかの形で元データをコピーしておけば、あとで必要になった時に即座に見返すことができる。たとえば、マイクロブログサービスの「tumblr」が挙げられる。

    今回取り上げるWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェア(OSS)は最近出てきた、そしてユニークな機能を持ったスクラップサービス/ツールばかりだ。日々の情報収集の中できっと役立つだろう。ぜひ参考にして、自分だけのデジタルスクラップブックを作成してほしい。

    今回紹介するOSS・Webアプリ
    iterasi』 ページ全体をアーカイブする
    ScrnShots』 スクリーンショットを登録、共有する
    Slogger』 見たもの全てを保存する
    Tombloo』 各種ソーシャルサービス向けに簡単ポスト



    ページ全体をアーカイブする

    名称 iterasi
    URL http://www.iterasi.net/

    Webサイト内の文言を記録しておきたいことが多々ある。ニュースサイトなどはデータがいつの間にか消えてしまうことがあるので、気になる記事は残しておくほうがよい。とはいえ、多量のデータを自分のコンピュータ内に残しておくのは大変だし、サイトのデザインごと残しておきたい場合もある。

    そこで使ってみたいのが『iterasi』だ。iterasiは、Internet ExplorerまたはFirefox向けのアドオンで利用するWebアプリケーションで、ブックマークを残すくらい簡単な操作で、表示中のWebページ全体をアーカイブすることができる。アーカイブデータはiterasiに送られ、画像やCSS、 JavaScriptを含めて保存される。これにより、万が一元サイトのデータが削除されたとしても、いつでもそのサイトを確認できるようになる。 Flashは画像に変換されて閲覧できる。

    登録したアーカイブ。「iterasi」で一覧で確認できる

    同様の試みとして、WebArchiveが有名だ。この場合は自動的なクローラーによって、インターネット全体をカバーしようとしている。だが、広大なインターネットの世界では、情報が刻々と移り変わるのを常に監視することは難しい。iterasiの場合は、自分が指定したタイミングのデータを保存できるので、あとから役立つことも多いだろう。

    登録確認画面。日本語入力で若干難あり

    なお、iterasiに保存されたデータの著作権は元々のサイト運営者に属することになる。個人的な利用以上の扱いはしないように注意してほしい。

    アーカイブを表示したところ。Flashは画像に変換されて再現される




    スクリーンショットを登録・共有する

    名称 ScrnShots
    URL http://www.scrnshots.com/

    スクラップをするうえでもっともベーシックなやり方は、スクリーンショットをとっておくことだろう。スクラップするデータは何もWebページに限らない。アプリケーションの画面やエラーメッセージを保存しておきたいといったニーズもあるだろう。

    ScrnShots』は、そんなスクリーンショットを共有するためのWebサービス。WindowsとMac OS X向けに専用アプリケーションが提供されるのが特徴だ。これを使うと、画面の一部、ウィンドウ、画面全体と異なる範囲でのスクリーンショットをとり、ScrnShotsへアップロードすることができる。操作はほぼ自動化され、説明やタグなどを付ければよいだけだ。

    「ScrnShots」の画面。登録したスクリーンショットが一覧される

    データはプライベート設定にしておくことも、公開して共有することもできる。ScrnShotsを使うことで、「flickr」や「Picasa」と同様の感覚でデスクトップ画面のスクリーンショットを管理できるようになるだろう。

    Mac OS X向けのアップロードツール。Windows向けにも専用ソフトウェアが提供されている




    見たものすべてを保存する

    名称 Slogger
    URL http://www.kenschutte.com/slogger/

    スクラップデータは、いわば既知の情報。一度目を通した情報を記録しておくことで、ふと思い出した時にすぐに呼び出せるようにすることが目的だ。そのために情報に対して保存というアクションを起こすのだが、それすら面倒という人もいる。また、確かに保存したはずなのに、探してもなかなか見つからないという経験もあるだろう。そうした問題を解消するのが、閲覧したWebページの情報をすべてスクラップしてしまう『Slogger』だ。

    URL設定。正規表現を使ってはじくURLを設定できる

    SloggerはFirefox向けのアドオン。閲覧した情報の保存形式について、"HTMLタグを含めるか、テキストのみか"といった指定ができるほか、正規表現を使って保存するURL、または逆に保存しないURLを指定するといった使い方が可能になる。データさえ保存できれば、各種デスクトップ検索ソフトウェアを使うなどして、既知の情報をうまく管理できるようになるはずだ。

    ログファイルの形式を設定する画面

    なお、現在Sloggerは開発が停止している。また、Firefox 2までの対応となっているが、別途「MR Tech Toolkit」をインストールすることでFirefox 3でも動作するとのことだ。




    各種ソーシャルサービス向けに簡単ポスト

    名称 Tombloo
    URL http://github.com/to/tombloo/wikis

    スクラップするデータの保存先としては、ローカルディスクのほかにも、各種Webサービスを活用するという手がある。その際に使われるのが、最初に挙げた「tumblr」「twitter」「del.icio.us」など。これらのサービスを使い分けているユーザには『Tombloo』がオススメだ。

    「flickr」の画像を右クリックしたところ

    Tomblooは、Firefoxのコンテクストメニューを拡張するFirefoxアドオン。右クリックしたデータの種類に応じて、各種Webサービスに一括ポストしてくれる。対応サービスは多く、「tumblr」「FriendFeed」「FFFOUND」「flcikr」「WeHeart!」「4u」「Gyazo」「 twitter」「Jaiku」「Googleブックマーク」「del.icio.us」「Firefoxブックマーク」「Instapaper」「Yahoo!ブックマーク」「Snipshot」「はてなフォトライフ」「はてなブックマーク」「はてなダイアリー」「はてなスター」「Livedoorクリップ」「Wassr」をサポートする。

    RSSリーダのひとつ、「Fastladder」からも利用できる

    利用にあたって上記すべてのサービスにユーザ登録している必要はなく、使っているものだけを選んで登録できる。単なるメモを各種マイクロブログサービスに投稿することも可能だ。各種Webサービスを一元的に扱ってくれるので、複数のサービスを使いこなしている方はぜひ使ってみてほしい。

    いかがでしたか?

    データをスクラップするには色々な手段が存在する。単なるブックマークもそのひとつと考えられるが、元データが消失するリスクを考えると、なるべく手元に残しておくのが望ましい。そうした収集したデータをいつでも検索できれば、情報の効率的な活用が可能になるだろう。

    すべてのデータを残すか、それともURLやタイトルだけなどインデックス情報を蓄積していくかは人それぞれだ。集めた情報をうまく活用できるような仕組みを作り上げてほしい。

    著者プロフィール
    MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
    1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。

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