政府、後手の対応 首相視察が混乱拡大との見方も
産経新聞 3月12日(土)23時26分配信
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福島第1原発1号機の爆発について説明する枝野官房長官=12日午後8時43分 首相官邸(栗橋隆悦撮影)(写真:産経新聞) |
しかも首相が12日朝現地を訪れ、1時間近く視察したことは現場の作業を遅らせる一因になったとの指摘もあり、責任を問われかねない。
「国民の安全を第一に考えて対策を取ってきた。周辺住民が健康被害に陥らないよう全力を挙げたい」
12日夜の会見で、首相は原発への対応をこう強調した。ただ、爆発とは言わず「新たな事態」と形容するにとどまった。
首相は12日午後の与野党党首会談で原発に関し「危機的な状況にはならない」と強調していた。会談中に官邸側は「会談後、首相と官房長官の会見を行う」と発表した。爆発が起きたのは会談の最中だった。
会談終了から1時間半以上たって単独で会見した枝野氏は首相が会見をいったんキャンセルした理由について「首相は、メディアを通じてメッセージを伝えるのは大変重要だと思っていたが、それ以上にこの事象(爆発)にしっかりと対応することが重要だとなった」と釈明した。
12日朝、首相は原発視察に先立ち、記者団に「現地で責任者ときっちりと話をして、状況を把握したい。必要な判断は場合によっては現地で行うかもしれない」と意気込みを語った。
政府関係者によると視察は首相が突然言いだした。枝野氏も12日未明の会見で「陣頭指揮を執らねばならないという強い思いが首相にあった」と説明した。
しかし、現場はすでに放射性物質の一部放出をしなければならない事態に陥っていた。そこに首相がヘリコプターから降り立ったため、現場担当者も首相の対応に追われた。
退避指示も当初「風向きなどを考えて」として3キロから始まり10キロ、20キロと範囲を広げた。枝野氏は「専門家が詳細な分析をしているので、周辺住民は落ち着いて対応してほしい」と言いながら、退避指示の拡大などのメディアへの情報提供が遅いことには「間違いのない情報を伝えないといけないから」と強弁した。
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最終更新:3月13日(日)3時54分