気象・地震

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東日本大震災:続く余震、被害拡大 死者・不明1700人超

 ◇「1万人連絡取れず」--宮城・南三陸

 東日本大震災の発生から2日目を迎えた被災地では12日、警察や消防、自衛隊などによる救助作業が続いた。毎日新聞のまとめでは12日午後11時現在、死者・行方不明者は計1700人超に上っている。余震が続く中、各地で津波によって市街地が壊滅する被害が明らかになったほか、大規模な火災も発生。被害はさらに拡大する様相を見せている。

 各道都県などによると、都道県別の死者は岩手258人▽福島204人▽宮城178人▽茨城17人▽千葉13人▽東京5人▽青森、神奈川、栃木3人▽北海道、山形、群馬1人。さらに仙台市で200~300人、宮城県岩沼市と名取市で200人の遺体が見つかっている。行方不明者は641人で、けが人は1426人に上る。

 三陸の沿岸部は壊滅的な被害が相次いだ。宮城県南三陸町(人口約1万7000人)は町役場が冠水して機能を失った。約1万人と連絡が取れず、県で確認を急いでいる。町内の主だった建物は崩壊しており、救助を待つ人は崩壊を免れた志津川中学校に集まった。校庭に白字でSOSの文字を描いて助けを待った。同県女川町役場も冠水し、災害復旧の基盤である役場が機能していない。

 岩手県陸前高田市では津波で消防庁舎が全壊したのをはじめ、市内の主な建物が壊滅的な被害を受けた。崩壊を免れた陸前高田病院には約100人の避難者が孤立、屋上から救助を求めた。市役所屋上にも約100人が避難して助けを求めた。

 同県釜石市では、消防本部や海保の建物が2階まで浸水するなどし25人が死亡。300人以上がけがをした。12日午後9時現在、60カ所で8795人が避難生活をしている。

 福島県南相馬市も壊滅的な被害に遭った。同市のJAそうま本店の職員によると、海岸沿いでは津波の高さが松林を越えた。海岸沿いの数キロにわたって住宅のほとんどが流され、流木や原形をとどめないほどに崩壊した住宅の資材、大量の泥などが散乱している状態だという。地元のハウスで栽培しているイチゴなどの農産物も壊滅的な打撃を受けた。

 警察庁によると、建物被害は2514戸が全壊し、津波で2411戸が浸水。火災で93戸が全焼した。405カ所で道路が損壊したほか、堤防5カ所の決壊を確認。鉄道9カ所に被害が出た。

 一方、気象庁は東日本大震災で国内全域の沿岸部に出していた津波警報や津波注意報のうち、北海道から四国地方の太平洋側18区域に出していた大津波(高さ3メートル以上)警報を12日午後8時20分までに津波警報や注意報に切り替え、一部は解除した。約29時間半ぶりに大津波警報が出された地域がなくなった。また、北海道から九州の太平洋側や沖縄県など21区域の津波警報を注意報に切り替え、一部は解除した。

 大津波警報は地震発生約3分後の11日午後2時49分以降、18区域に順次発令。12日午後1時50分に東北を除く14区域が津波警報や注意報に切り替わった。気象庁は13日以降も順次、警報や注意報の解除や切り替えを行う方針。横山博文・地震津波監視課長は記者会見で「避難場所から戻る場合は、地震や津波で損壊した箇所などに十分注意してほしい」と呼びかけた。

 東日本大震災の余震は、11日午後3時8~25分に岩手県沖から茨城県沖でマグニチュード(M)7・5前後の地震が3回発生。その後も12日午後10時15分に福島県沖でM6・0、最大震度5弱が起きるなど、岩手県沖から千葉県沖の広い範囲で多数発生している。だが、津波などの影響で東北6県と茨城県の計20地点の地震計が故障し、震源が正確に把握できないケースがあるため余震の全体数は集計できないという。

 横山課長は「地震の規模が観測史上最大のため、余震の数も過去最多になるとみられる。今後も1カ月程度は強い余震が起こる恐れがある」と注意を呼びかけている。

 12日午後11時現在、津波警報が出ている区域は青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県、福島県。

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 ■死者・行方不明者■

          死者 行方不明者

北海道        1     0

青森県        3     1

岩手県      258   235

山形県        1     0

宮城県  400~500    81

福島県      204   307

茨城県       17     2

栃木県        3     0

群馬県        1     0

千葉県       13    15

東京都        5     0

神奈川県       3     0

合計    1000以上   641

 ※12日午後11時現在毎日新聞まとめ

毎日新聞 2011年3月13日 東京朝刊

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