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【東日本大震災】原発爆発事故 「スリーマイル」と同レベル 沈静化へ実績どう生かす
東京電力が完全休止を決めた福島第1原子力発電所1号機の事故は、燃料が露出して炉心の溶融が起きているという点で、米スリーマイル島の原発事故など過去の大事故と同様の深刻な事態といえる。ただ、その一方で、多数の死者を出した旧ソ連のチェルノブイリ原発事故とは多くの点で異なることも事実だ。
スリーマイル島事故は1979年に起こった。原子炉タイプは、スリーマイル島が「加圧水型軽水炉(PWR)」、福島第1が「沸騰水型軽水炉(BWR)」で、タービンを回す蒸気の出し方が異なるが、炉心溶融の過程は同じだ。
大きな違いは事故の原因だ。スリーマイル島では原子炉を冷やすべきところで逆に冷却装置の使用を抑えるなど、いくつもの人的ミスが重なった。一方の福島第1は「震災規模が予想をはるかに上回った」(保安院)部分が大きい。原子炉に電気を供給するディーゼル発電機が津波で故障した上、交通が寸断されて復旧のための電源車両が到着しない事態などが相次いだ。
86年のチェルノブイリ原発事故も炉心溶融という意味では福島第1と共通するが、原子炉の構造が大きく異なるため、「チェルノブイリの二の舞いになるシナリオは考えにくい」(保安院)とみられていた。チェルノブイリ原発が採用した「黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉」は、格納容器がなく原子炉が密閉されていない構造で、これが放射性物質を大量に放出する結果につながった。このタイプの原子炉は、日本では過去に1基造られただけの旧型だ。
さらに、福島第1では地震発生時に原子炉内の核反応が止まっていた。このためチェルノブイリのように核分裂が急速に進む可能性は低かった。被害拡大の背景には旧ソ連政府の情報隠蔽(いんぺい)や、避難措置が取られなかったことなどがあり、人災の側面が強い点では、むしろスリーマイル島と共通点があった。
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