気象・地震

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東北沖大地震:原発の脆弱性浮き彫り 専門家の分析

 東北沖大地震でダメージを受けた東京電力福島第1、第2原発について、専門家に分析してもらった。

 ◇核燃料溶け出しも--京都大原子炉実験所の小出裕章助教(原子核工学)の話

 福島第1原発では、原子炉格納容器の内圧が設計耐圧の2倍以上に高まり外部に放射能が漏れている。このことから、原子炉内の核燃料棒が破損して放射能が漏れ、冷却水に入り込み、容器外に放射能が出ていると考えられる。核燃料が溶け出している可能性もある。格納容器の破損を防ぐために放射能を含んだ空気を排気塔から捨てざるを得ない事態にもなった。冷却を保たないと、もっと大量の放射能が出てしまう。

 ◇建設中断すべきだ--「原発震災」を提唱した石橋克彦・神戸大名誉教授の話

 今回はプレート境界型地震が3~4カ所で連動するという超巨大地震だ。三陸から福島にかけて起きることは地震学者の誰も予想しておらず、原発の耐震安全性審査でも考慮されていなかった。経済産業省原子力安全・保安院も原子力安全委員会も福島第1、第2原発での耐震安全性を「大丈夫」とする判断を09年に出している。見落とした責任は重大だ。放射線漏れが起きて地域住民が避難している。

 初期段階ではあるが「原発震災」が現実になっており、今回の教訓は過去のどの地震よりも大きい。現在建設中の原発はすぐに中断し、耐震安全性を再チェックすべきだ。

毎日新聞 2011年3月12日 東京夕刊

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