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地震:原発の脆弱性浮き彫りに 福島原発トラブル

 今回の地震によって、東京電力福島第1原発や同第2原発で、トラブルが相次いだ。第1原発1号機では、放射能を閉じ込める上で重要な格納容器の損傷を防ぐため、格納容器の弁を開けて圧力を下げる一方、微量の放射性物質を外部に出すという苦しい立場に追い込まれた。蒸気放出は緊急避難的な措置だ。

 福島第1原発1号機の格納容器内の圧力が上昇し、容器の破損につながる懸念が生じている。経済産業省原子力安全・保安院は「地震によって圧力容器と配管の間などから放射能を含んだ微量の水分が格納容器内に漏れ出た結果、圧力が上昇した可能性がある」と推測する。すでに作業員が手作業で格納容器の圧力を逃がす弁を開ける作業をしている。

 また、福島第1原発の敷地境界の正門で、放射線量を測定する敷地内のモニタリングが通常の8倍などを観測。初めての放射能漏れとなった。原因として、地震によって福島第1原発1号機の電源が失われ、外部に比べて原子炉内の圧力を下げる機能が失われた結果、微量の放射性物質が漏れ出た可能性があるという。

 今回の地震は、国内最大の規模ではあるが、東電柏崎刈羽原発を襲った07年の中越沖地震に続き、地震に対する原発の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて示した格好だ。保安院によると、今のところ、一般住民の健康被害は出ていないが、トラブルはさらに増えている。今後も予断を許さない厳しい状況が続く恐れがある。【関東晋慈】

毎日新聞 2011年3月12日 12時34分(最終更新 3月12日 12時41分)

 

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