2011年3月12日23時27分
「日本の震災、原発で『爆発音』」(英BBCのサイト見出し)――。福島第一原発1号機で12日起きた爆発は、大地震による原発の重大事故という世界初の事態だけに、原発回帰志向を強めつつあった欧米のメディアも大きく報じた。北東アジアでは、国民の不安を見越して放射能監視体制を築く国が相次いだ。
国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)は12日までに、日本政府から福島第一原発の状況について「燃料の溶融が進んでいる可能性が高い」と報告を受けていた。12日の爆発も日本側から報告を受けたが、「詳細は入手できていない」としている。
IAEAは震災発生当日の11日には「日本側から要請があればいかなる技術的支援もする用意がある」と発表した。天野之弥(ゆきや)事務局長を中心に情報収集や分析を進めており、日本側の要請があれば専門家派遣などで即時対応できるよう態勢を整えつつある。
ただし、刻一刻と事態が変化している現状では「IAEAとしてもできることが限られている」(関係筋)のが実情だ。日本の対応を見守りながら、日本側から得た情報を加盟関係国と共有することに全力を注いでいるという。
米紙ワシントン・ポストは電子版で、「原発での爆発は間違いなく、日本での原発に関する信頼を揺るがせる」と指摘した。スリーマイル島事故(1979年)後、新規原発の建設が絶えていた米国で、近年高まりつつあった「原発ルネサンス」の機運にとっては、「深刻な打撃」となるだろうと予想した。
世界有数の原発大国フランスでは、ニュース専門テレビiTELEが「爆発音」を速報。キャスターは「事態の進展が入り次第お伝えする」と、放射能漏れの可能性を緊張した様子で指摘した。
一方、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は12日朝、アラブ首長国連邦(UAE)への公式訪問に出発する際の空港で、東日本大震災に伴う原発トラブルについて「放射能が流出・拡散しても、太平洋側に流れるため韓国には被害が及ばない」との報告を受けた。大統領は、韓国への影響の綿密な分析と対策を指示したという。韓国の聯合ニュースが伝えた。