2011年3月12日23時27分
韓国原子力安全技術院は11日から日本を起源とする放射能流出を監視するチームを編成した。韓国国内に70カ所に設置された測定器データを分析しているが、日本に最も近い鬱陵島でも平常時と同じレベルの数値だという。
中国環境保護省の張力軍次官は12日、全国人民代表大会にあわせた記者会見で、福島第一原発が震災による被害で放射能漏れを起こす懸念が出ていることを受け、中国沿岸部の原発周辺に設置している監視装置で調べたが、「現段階で中国に影響は出ていない」と述べた。日中当局で連絡を取り合っており「引き続き、事態を見守っていく」と話した。
中国自身が急増するエネルギー需要を満たすため原発を大増設する計画については「日本の教訓を適切に生かす。しかし、原発を発展させる決意と予定は変わらない」と強調した。
旧ソ連時代のチェルノブイリ原発事故の記憶が国民に根強く残る一方、原子力産業の拡大に力を入れるロシアで、事態は他人事ではない。連邦消費者権利保護・福祉監督庁が11日、ロシア極東地域の住民が受ける放射能レベルについて監視強化を表明した。
原子力を専門とするクルチャトフ研究所(モスクワ)のシュトロムバフ第1副所長はイタル・タス通信に、福島第一はチェルノブイリと原子炉のタイプが違うと強調。「炉心溶融を起こした米スリーマイル島原発の事故に近いが、我々には福島原発のタイプの原子炉はない」。ロシア国営原子力企業「ロスアトム」の報道官は「(今回の爆発は)チェルノブイリ事故と根本的に違い、危険性ははるかに少ない」との見方を示した。
ノーボスチ通信のセルゲイ・カツーバ東京支局長は「チェルノブイリの経験から、ロシア人は大変神経質になっている」という。「日本政府の説明内容には懐疑的だ。事態はもっと深刻ではないか。単純比較できないが、ソ連政府はあのとき情報を隠した」(玉川透、パリ=稲田信司、ソウル=箱田哲也、北京=吉岡桂子、モスクワ=副島英樹)