(cache) ダイヤモンド・オンライン プラス [写真で見る・知る]福島第二原子力発電所のすべて【連載第1回 究極の工場見学!? 原子力発電所の「5重の壁」をのぞく】

[写真で見る・知る]福島第二原子力発電所のすべて

【連載第1回 究極の工場見学!? 原子力発電所の「5重の壁」をのぞく】 取材・文/楠本亘 撮影/大倉琢夫

 福島県の東部、通称「浜通り」の太平洋岸は白砂青松の美しい海浜が連なる地域だ。その中に位置する東京電力福島第二原子力発電所は合計440万キロワットの出力を有し、首都圏の暮らしや経済を支えている。  今回、同原子力発電所の4号機定期検査の模様を取材し、発電所の施設内や周辺施設を訪れた。取材中のカメラは、点検のため運転停止中の原子炉中心部にも迫り、普段なかなか目にすることのない原子力発電所の内部やその造りを見ることができた。同時に、徹底した安全性への配慮の実際についても身をもって体験してきた。その模様を3回に渡って報告する。

なぜ、原子力発電所は海の側にあるの?

 福島第二原子力発電所の敷地は、海岸を埋め立てた部分も含めて東京ドーム約32個分という広大なもの。原子力発電は、ウラン燃料の核分裂で温められた蒸気でタービンを回して発電するが、その蒸気を冷却して水に戻すのに大量の水が必要となる。そのため海水を利用しやすい海岸近くに建設されているのだ。

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太平洋側から空撮した福島第二原子力発電所の全景。最寄のJR常磐線富岡駅からいわき駅までは約40分。美空ひばりが「みだれ髪」で歌った塩屋岬などもほど近い、風光明媚な地。

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取水口から取り入れた海水は、タービンを回し終えた蒸気を水に戻すための冷却水として利用される。当然ながら、原子炉内を流れる純水と冷却用の塩水が混ざることはない。

外観からは、ただの四角い箱だが…

 窓が一つもないほぼ正方形の四角い箱状の建物……これこそ原子力発電所の要ともいえる原子炉を格納した原子炉建屋だ。下の写真の奥から手前にかけて1~4号機の原子炉建屋となる。それぞれ約50メートル四方の地上18階、地下4階の高層ビルに相当する大きさ。壁の厚さはなんと約1.5メートル。

イメージ 4基の原子炉建屋が整然とならぶ。

 それぞれの建屋に納められた原子炉はいわゆる「5重の壁」で遮蔽され、安全が守られている。したがって運転中の内部の様子を目で見ることは当然できない。

 しかし、ありがたいことに、富岡駅近くにある同発電所のPR施設「エネルギー館」では、館内にあるサイエンスシアターで、原子炉格納容器の様子とその構造が実写とCGを駆使した迫力のある映像で知ることができる。

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作業員が立っている場所は、厚さ2メートルのコンクリートの蓋がされた原子炉の真上だ。

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「5重の壁」を次々とすり抜けてより炉心部に迫ることができる。
写真は「第4の壁」である「原子炉格納容器」。厚さ約3センチの鋼鉄製。

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