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米下院:歳出5兆円削減法案を可決 上院との調整難航

 【ワシントン古本陽荘】野党・共和党が多数を占める米下院は19日、11会計年度(10年10月~11年9月)の当初予算を610億ドル(約5兆円)以上削減した歳出法案を可決した。連邦政府の縮小を求める保守系草の根運動「ティーパーティー(茶会運動)」の支援を受け当選した共和党議員の意向を反映したもので、民主党が多数派の上院との調整が難航するのは必至だ。

 歳出法案は賛成235、反対189でほぼ党派に沿った投票となった。削減対象となったのは、ホワイトハウスの顧問給与▽太陽光エネルギー研究助成金▽貧困家庭への光熱費補助費▽国防総省の武器開発費--など。

 可決後、ベイナー下院議長(共和)は「民間投資を誘発し、雇用環境を改善するためには連邦政府予算の削減は不可欠だ」との声明を発表した。

 昨年11月の中間選挙で誕生した共和党の新人議員87人の多くが茶会運動の支援を受け、当選後も連携を保っている。これらの議員にとっては連邦政府の役割縮小は最重要課題だ。

 しかし、削減案を上院が承認する可能性は今のところない。現在の暫定予算が期限切れとなる3月4日までに与野党合意が得られなければ、連邦政府が一時的に閉鎖に追い込まれる可能性もある。

 一方、財政支出の削減をめぐる対立は、州政府レベルでも同時に起きている。中間選挙で州財政の削減を掲げ当選した中西部ウィスコンシン州のウォーカー知事(共和)は、公務員の団体交渉権を停止し、年金や医療保険の負担を重くする法案を提示。これに反発する公務員らが州都マディソンで連日抗議活動を展開している。

 オハイオ州やミシガン州など中間選挙で知事が民主党から共和党に代わった州でも、同様に職員の団体交渉権の停止などの提案がなされており、混乱は拡大する様相だ。

毎日新聞 2011年2月20日 19時42分(最終更新 2月20日 21時06分)

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