国際【外信コラム】上海余話 言論弾圧の武器2011.3.11 03:21

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【外信コラム】
上海余話 言論弾圧の武器

2011.3.11 03:21

 尖閣諸島に関する発言をめぐって上海の大学教授がインターネット上で罵倒の集中砲火を浴び、一時は“教授自殺説”まで意図的に流布される騒ぎが起きた。

 この教授は復旦大学日本研究センター主任の郭定平氏(45)。発端は、領有問題で「釣魚島(尖閣諸島)に戸籍を移す」と大騒ぎした中国人について香港のテレビ局にコメントしたことだった。

 郭氏は個人的な見解と断った上で、「中国と日本が領有権を争う島々で中国の公民が過激な行動をすべきではない」と答えた。ところが一部の視聴者が「郭氏は釣魚島を日本領有と主張した」と曲解し、ネット上で「裏切り者」「売国奴」などと非難。ネットを見た別の人々がさらに激高する連鎖反応を生んだ。

 「飛び降り自殺した」と虚偽の書き込みも広まり、個人攻撃がエスカレート。郭氏自身は平常通り授業しているが、非難された問題では沈黙を守っている。

 東大への留学経験をもつ郭氏の冷静で中立的な発言までがネット言論の餌食にされる深刻な事態は、中国の反日感情の根深さや陰湿さを示したといえる。

 一党独裁終結など民主化を求める「中国ジャスミン革命」集会が呼びかけられるネットは、一方で行きすぎた愛国主義の果ての「言論弾圧の武器」にもなってしまった。(河崎真澄)

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