政府の行政刷新会議は7日、計12の国の規制について見直しを検討する「規制仕分け」の2日間の日程を終え、全項目で見直しを求めた。ただ、結果に拘束力はなく、「規制見直しに関する対処方針」を3月末に閣議決定する際の参考にとどまる。各省の政務三役からの反発はあったが、菅政権の求心力が著しく低下したことを見越してか、「事業仕分け」に激しく抵抗した姿は消え淡々とした反論だった。【中井正裕、青木純】
7日は「電気自動車の急速充電器の設置に係る電力契約の規制」が取り上げられ、自動車メーカーやレンタカー会社がコンビニやマンションに充電器を設置することが難しい現行制度の緩和を求めた。メーター増設を迫られる電力業界が反対するものの、所管の経済産業省の電気自動車普及の思惑に沿った結果となった。
「貴金属等の買い取り業者による自宅への強引な訪問買い取り」では、業者が突然自宅を訪問して貴金属を安価で強引に買い取ったり、返品に応じないトラブルを議論。売り手を保護する法律がないことが問題視され、被害状況の把握と法的措置の検討が求められた。
2日間の議論では、改革の全体像を示さずに「おいしいところをつまみ食い」(政務三役)する仕分けへの反発も出た。引火性の液体を使うリチウムイオン電池を巡る6日の議論では、逢坂誠二総務政務官が「このメンバーだけでの判断は極めてリスクが高い。専門家も2人しかいない」と規制緩和を求める刷新会議側をけん制。7日は「認定農業者制度」に関し、農業者が市町村に提出する計画の進捗(しんちょく)状況の検証などを求められた筒井信隆副農相が「一昨年の事業仕分けで検証事業が廃止(判定に)された。その場限りの矛盾した主張はだめだ」と猛抗議した。
一方で、大規模野菜生産施設を巡る議論では、仕分け人が「勉強不足で申し訳ない」と前置きする発言が繰り返される場面もあった。
仕分け人の三谷光男衆院議員は終了後の記者会見で「議員と民間がお互い協働し、いい意見、いい方向を出すことができた」と自賛したが、約200の一般傍聴席が1割程度しか埋まらない項目も続出。前原誠司外相の辞任と重なったことで注目度も低く、民主党の金看板の「仕分け」の神通力の低下を印象づける結果になった。
毎日新聞 2011年3月8日 東京朝刊