県外郭団体の21あおもり産業総合支援センター(21財団)への無利子貸付金約29億円が計上された2010年度一般会計補正予算案は、県議会の議席過半数を占める自民党会派が7日、賛成の方針を決めたことから、9日の本会議で可決される見通しとなった。しかし民主党会派が無利子融資の部分を補正予算案から切り離すため、予算組み替え動議を提出する方針を示し、他会派にも同調する動きが見られることから、可決までに紆余(うよ)曲折もありそうだ。
 無利子融資は、県クリスタルバレイ構想の誘致企業エーアイエス(AIS、六ケ所村)の経営破綻に伴い、賃貸料が入らない状況となった「オーダーメイド型貸工場」の活用を図るもの。貸し工場の新たなリース先として「相和物産」(六ケ所村)が名乗りを上げ、AISの元従業員らを雇い入れ、液晶カラーフィルター製造を継承すると表明した。
 貸し工場は、21財団が金融機関から資金を調達して整備し、県が損失補償契約を結んだ。無利子融資は債務残高(約21億円)の一括返済のほか、施設の維持管理などに充てられる。21財団は最長20年で県に償還する。県は「損失補償に基づく県民負担を発生させないため」などと、無利子融資の趣旨を説明している。
 県議会自民党会派は同日、非公開の議員総会で補正予算案への対応を協議し、賛成の方針を決めた。党内では、償還の実現性や今秋ごろまでに設立される合弁会社の相手企業などをめぐり、無利子融資を疑問視する声もあったが、蝦名武副知事の説明などもあり、賛成の方針で落ち着いた。
 西谷洌議員総会長は「リース契約や合弁会社については、9日の総括質疑でもう少し具体的な答弁をするということなので、それを聞いて確認するということになる」と説明。合弁会社の設立に関しては「できれば前倒しを望む。そうしないと不安は消えない。設立を急ぐことは県の一つの努力だと思う」と注文を付けた。公明・健政会の伊吹信一代表は「県からきちんとした情報提供が必要で、本会議での質疑などを判断することになる。不透明な状況では、簡単に賛成とは言えない」とくぎを刺した。
 民主党会派は同日、補正予算案から無利子融資の部分を切り離す予算組み替え動議を提出することを決めた。常任委員会に付託し、徹底審議することが目的。同日の議会運営委員会で今博委員は「無利子融資は重要な課題だが、まだまだ不透明な部分がある」と指摘、動議提出の意向を示すとともに記名投票での採決を求めた。
 共産党、クラブ林檎、社民党・県民クラブの3会派も徹底審議に賛同する姿勢を示す。「今の状況では県民に説明がつかない」(クラブ林檎・川村悟代表)などとし、常任委付託に同調する会派もみられる。