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2011統一選挙とうほく

断面 県議選(1)山形/知事の存在感に重み/「オール与党化」の兆しも

 統一地方選で行われる東北6県の県議選(4月1日告示、10日投票)が間近に迫った。政権交代、ねじれ国会による混乱―。激しく揺れ動く国政が地方の戦いに変化をもたらすのか。各県では今、何が焦点に浮上し、選挙結果が県政にどんな影響を与えることになるのか。6県の見どころを探る。(6回続き)

<県民の人気高く>
 定数44に対し53人が立候補を予定する。2009年の知事選で吉村美栄子知事誕生の原動力となった民主党と社民党、連合山形の公認や推薦を受けるのは計11人。全員が当選しても過半数には遠く及ばない。逆に自民党は無投票の選挙区に加え、確実に当選者が見込める複数立候補の選挙区があるため、最悪の場合でも半分の22議席を確保できる。
 政党間の争いとは別に、新たな対立軸として浮上しつつあるのが吉村県政との距離感だ。
 知事選では自民党県議の大半と一部の無所属県議が斎藤弘前知事を支援した。当初は少数与党の苦しみを味わった吉村知事だが、就任2年を経て環境が変わってきた。農業政策や雇用対策、市町村との関係改善などで一定の成果を上げ、最近は自民党県議の議会での質問も穏やかになった。
 「厳しく追及すると、支持者に『知事をいじめるな』と言われる」との逸話もあるほど、県民の人気が高い吉村知事。県議にとっても、その存在は重みを増している。
 寒河江市選挙区(定数2)に立候補を予定するともに現職の小野幸作氏(69)=自民=と楳津博士氏(49)=無所属、民推=は、知事選で斎藤氏を支援した。
 両氏は今回、吉村知事と笑顔で握手する写真を撮影し、リーフレットに載せた。2人に挑戦する新人の柏倉信一氏(55)=無所属=は「選挙戦略としては理解するが、すり寄るのは早過ぎる」と皮肉るが、両氏は「議場では一県議として戦う」(小野氏)「県政与党(会派の一員)として当然」(楳津氏)と受け流す。

<「支援の輪」訴え>
 知事との距離を縮める候補予定者の動きを各党はどうみるのか。「(写真を)撮るなと強制もできない」と言うのは自民党の今井栄喜県連幹事長。民主党の武田聡県連幹事長も「知事とのスタンスは各予定者の考え方次第だ」と、党としての行動ではないと説明する。
 ともに吉村県政の与党的立場を取る社民党と共産党は、「知事への支持が広まるのは県民にとっていいこと」(広谷五郎左エ門社民党県連副代表)、「わが党は今後も県政をリードする」(本間和也共産党県委員長)との考えだ。
 県議選は本来、吉村県政の中間評価に絶好の機会となるはずだが、実態として「オール与党化」の兆しも見え始めている。
 吉村知事は1月、県議の会合で訴えた。
 「何でもかんでも反対する人ばかりでは駄目。私への絶大な支援の輪を広げてほしい」


2011年03月08日火曜日

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