菅直人首相は８日、外国人から献金を受け取った問題で外相を辞任した前原誠司氏の後任として、松本剛明外務副大臣（51）の昇格を内定した。松本氏は９日午後の認証式を経て、正式に就任する。参院で2011年度予算案が審議中で、14日からはパリで主要国（Ｇ８）外相会合も控える中、外交の継続性を重視した判断だ。

　首相は松本新外相の下で外交空白を防ぐとともに、主要閣僚の辞任で打撃を受けた政権の立て直しを急ぐ考えだが、政権運営は厳しい局面が続く。

　当面の外交日程としてはＧ８外相会合のほか、19日から京都で日中韓外相会談の開催を予定している。５月には日中韓首脳会談を控え、外相級で準備をする必要がある。こうした状況を踏まえ、閣僚の一人は８日、新外相の人事について「奇をてらった人事はできない」と語った。

　首相は前原氏の辞任後、枝野幸男官房長官を外相の臨時代理に指名した。参院予算委員会で、首相自身の出席を求められた質疑が８日に一区切りついたことを受け、人選に踏み切った。松本氏は衆院当選４回だが、前原氏の片腕として日米関係などを中心に外交政策を仕切ってきたことから即戦力になると判断した。

　松本氏は前原氏が野党時代の民主党代表を務めた05年に政調会長に抜てき。偽メール事件で前原氏が辞任した後は小沢一郎元代表の下でも政調会長を務めた。もともとは野田佳彦財務相のグループに所属したが、たもとを分かち、現在は小沢系の議員とも近い「中間派」に位置付けられている。10年９月の党代表選では、小沢元代表を支持した。