東京都知事選の投開票日まで10日で1カ月。去就を明言していない石原慎太郎知事(78)は11日の都議会最終日に進退を表明する。最近は4選出馬に後ろ向きと受け取れる発言も目立つものの、自民都連は8日の役員会でぎりぎりまで出馬要請を続けることを確認した。一方、民主の候補者選定も難航している。【石川隆宣、真野森作、田村彰子】
石原知事は2月下旬の民放の番組で「人間は同じことを何回もやっちゃダメなんだ。人心もうんでくるし、当人だってだれてくる。さあっと姿消すのがいいんじゃない、鞍馬天狗みたいに」と不出馬と受け取れる発言をした。今月4日のイベントに出席し、あいさつした際は「来年からやめるからね」と述べ、ニヤリと笑った。
8日の都議会予算特別委員会終了後、記者団の取材に応じた際は、長男である石原伸晃自民党幹事長から出馬要請を受け続けていることについて、「説得しなくちゃいかん重荷を負ってるみたいだけども。親子の関係と政治家の関係は違いますから」と答え、議会の山場の一つを越えた安堵(あんど)感を漂わせていた。
1日に出馬表明した神奈川県知事の松沢成文氏(52)の特別秘書が石原知事の側近の一人であることや、首都圏の知事同士で連携してきたことから、後継含みとの見方もあるが、自民は石原知事にこだわってきた。8日の自民都連の役員会終了後、都連幹事長の内田茂氏は「変わらずに要請は続ける」と方針に変わりがないことを明らかにした。
一方、人選が難航しているのは民主も同様だ。自前の候補を立てるのか、既に出馬表明した人を支援するかの基本方針すら揺らぎ、独自候補の擁立の可能性は低くなる一方だ。ジャーナリストや学識経験者らを誘ってきたが、いずれも断られ、唯一残るのが加藤公一都連会長らのパイプといわれる。
蓮舫・行政刷新担当相(43)への期待はまだあるものの、「閣僚を投げ出す印象は捨て切れず、内閣をさらに窮地に追い込む」(都連幹部)と否定的だ。
4日の党都連の常任幹事会後の取材に、加藤会長は「(過去に)国政に都知事選が直接何か影響を及ぼしたかというと、ほとんどなかった」などと、独自候補の断念を想定して予防線も張った。
相乗りで一致できるかも困難な情勢。長島昭久都連選対委員長が、ツイッターで元民主党衆院議員の松沢氏を「敬愛する先輩。応援する」と表明して問題視される一幕もあった。都議会では、隣県からの転身への反発も根強く、ワタミ創業者の渡辺美樹氏(51)を支援しようという声もある。
他に共産党政策委員長の小池晃氏(50)が出馬を表明。前宮崎県知事の東国原英夫氏(53)は慎重に出馬表明の時期を探る。
毎日新聞 2011年3月9日 東京朝刊