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つなぎ法案:生活の混乱は回避 法人税減税めど立たず

 年度内の成立が見込めない税制改正法案を巡り、3月末に期限切れとなる租税特別措置(租特)を暫定的に延長する「つなぎ法案」は、与野党の合意で成立する公算が大きい。さまざまな税の優遇措置が期限切れとなって国民生活や企業活動に混乱を招く事態は、ひとまず回避される見通しだ。

 税制改正法案には、租特以外に法人税減税や所得税の各種控除の見直しなども含まれている。野党は法人税減税などに反対しているため、法案が成立するめどは立っていない。このままでは、3月末に107項目の租特の期限が切れ、中小企業の法人税や住宅購入時に支払う登録免許税が引き上げられたり、今は免除されている農林漁業用A重油への石油石炭税が課税される。このような混乱を避けるため、107項目の期限を延長させる「つなぎ法案」が必要になる。

 だが、つなぎ法案は本来、税制改正法案を成立させるまでの一時的な措置に過ぎない。税制改正法案の成立するめどが立たない状況が続けば、法人税の実効税率5%引き下げや、地球温暖化防止を目指す地球温暖化対策税(環境税)などは実施できなくなる。さらに、高所得者を中心とした所得税の控除見直しや相続税などの増税措置も実現できず、国の税収に穴が開き、予算の執行に影響が及ぶ恐れもある。

 また、企業の経営戦略や投資活動の判断に影響を与える可能性がある。家計にとっては、子ども手当の行方が不透明な中で、増税や減税が実行されるかどうかも分からないため、生活設計に影響が出そうだ。【久田宏】

毎日新聞 2011年3月9日 21時02分(最終更新 3月9日 23時25分)

 

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