米国務省のメア日本部長が沖縄の人を「ゆすりの名人」などと発言した問題で、政府は米国のキャンベル国務次官補による10日の公式謝罪を受けて早期の収拾を図りたい方針だ。ただ、発言への批判は与野党から相次いでいるほか地元でも反発が強まっており、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に影響を与えるのは避けられない情勢だ。
北沢俊美防衛相は9日の参院予算委員会で「沖縄県民を愚弄(ぐろう)する許し難き暴言」と述べ、普天間飛行場移設問題に影響を与えることに懸念を示した。
超党派の国会議員でつくる沖縄等米軍基地問題議員懇談会は同日、国会内で会合を開き、米国の謝罪やメア部長の解任を求める意見が相次いだ。民主党の川内博史氏や社民党の福島瑞穂党首らが出席し、米側に事実関係の調査を求めるよう首相官邸と外務省に申し入れることを決めた。
共産党の志位和夫委員長は9日、枝野幸男官房長官と国会内で会談し、「なぜルース駐日米大使を首相官邸に呼んで抗議しないのか。あまりにも対応が受け身で鈍感だ」と述べ、米政府に公式に抗議するよう求めた。志位氏は記者会見で「(発言は)内政への干渉だ。大使を呼びつけることもできないなら、日本は世界に対する信頼を失墜する」と批判した。
沖縄県内では、米側が謝罪しても反発は収まりそうもない。自民党県連幹部は「謝罪されても沖縄の怒りは冷めない」と語った。
毎日新聞 2011年3月10日 東京朝刊