2011年3月10日(木)「しんぶん赤旗」
松本氏、外相に就任
自民外交の継続こそ問題
「外交は継続性が大切。こう頻繁に大臣が代わるのが一番困る」(外務省筋)―。前原誠司氏の外相就任から6カ月弱での辞任は、外交当局者に大きな衝撃を与えました。松本氏が副大臣から大臣に昇格したのも、「継続性」(枝野幸男官房長官)が大きな理由でした。
前原前外相も、2月11日の日ロ外相会談でロシア側から領土問題での提起を一蹴され、メドベージェフ大統領への表敬すら断られたことで、「毎年のように首相や外相が代わる国は相手にされない」と周辺に漏らしていたといいます。
しかし、日本外交がここまで危機的な状況に陥ったのは、外相交代による「継続性」の断絶にあるのではありません。逆に、「日米同盟絶対」の外交姿勢で思考停止し、中国との尖閣諸島問題や、ロシアとの領土問題といった国益に直結する問題で、何ら主体的な戦略を打ち立ててこなかった自民党政権以来の外交が、政権交代してもそのまま「継続」されてきたからです。
対米関係では、沖縄県民が一丸となって反対している米軍普天間基地の辺野古「移設」や、日本の経済主権を米国に売り渡す環太平洋連携協定(TPP)の推進など、菅政権の下で自民党政権に勝るとも劣らない対米追随外交が続いています。
その一方で、国務省のメア日本部長が沖縄県民への差別的発言だけでなく、「民主党は沖縄を理解していない。自民党の方がましだ」などと、公然と現政権を批判するなど、対米関係そのものも重大な問題を抱えていることが露呈しました。
松本氏は外務副大臣として、まさにこの日米関係やTPPを担当してきました。大臣としてこれらを「継続」し、アメリカにもの言わぬ姿勢も「継続」するようでは、いつまでも日本外交の危機は打開できないでしょう。 (竹下岳)