民主、つなぎ法案提出方針 混乱の予想される自治体の実情を取材しました。
子ども手当法案など、予算関連法案の年度内成立のメドが立たない中、民主党は、今の法律を一定期間延長する、いわゆるつなぎ法案を議員立法として提出する方針で、与野党の国会対策委員長会談で正式に提示しました。
野党の協力が得られ、つなぎ法案が通った場合、4月から児童手当に戻る事態は避けられます。
民主党が急速に動いたその背景には、自治体や受給者の混乱が予想されたからでした。
ある自治体の実情を取材しました。
神奈川・三浦市は、子ども手当が廃止され、児童手当が復活した場合、深刻な問題を抱える。
三浦市子育て支援課の増井直樹課長は「(特殊な事情がある?)住民情報のシステム自体が、機械が古くなり、まったく新しいものに入れ替わったので、児童手当の今までのシステムはまったく使えなくなりました」と語った。
三浦市は2010年、子ども手当の導入を機に、老朽化していたコンピューターのシステムをおよそ600万円かけて丸ごと入れ替えた。
そのため、児童手当のデータは、閲覧できるだけになってしまった。
もし、今の子ども手当から所得制限がかかり、中学生を支給対象外とする児童手当に戻すとなれば、システムの大幅な改修が必要になる。
増井課長は「まったく新たに児童手当のシステムをつくる場合には、1,000万円以上かかるということです。6月の支給にもし間に合わなかったら、大変な混乱があると思っていますので、不安だらけ」と語った。
仮につなぎ法案が通ったとしても、問題は先送りされるだけで、こうした不安が解消されるわけではない。
三浦市の吉田英男市長は「国民不在、市民不在での議論ではないかと思っております。多くの市民や国民の皆さんが、それによって混乱をしているという事実を、きちんと把握していただきたいというふうに思っております」と述べた。
年度末目前になってもまだ結論が出されない現状に、街では政治不信を募らせる声が聞かれる。
母親は「すごく不安です。結構あてにしてるので。政治家の人が『あの人が辞めたほうがいい』とか、そういうことばっかりで、重要なそういう法案とかの方に、もっと時間を費やして話してほしいです」と語った。
父親は「(マニフェストを)見直すなら見直していただいて、もう一度、国民の皆さんにしっかりとしたマニフェストを提示してもらいたい」と述べた。
街の人々も自治体の現場も、「政治家にはもっとしっかりしてほしい」と口をそろえていたが、中には、腹立ちを通り越して、「もはやあまり期待していない」とさみしそうに話す人もいた。
(03/10 12:36)