日米政府、収束狙う メア日本部長更迭

2011年3月11日 09時27分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録
(3時間5分前に更新)

 メア米国務省日本部長の発言による波紋は、メア氏を更迭させ、ルース駐日米大使を沖縄に急きょ派遣するなど米国政府が事態収束に躍起となる色合いが如実に表れた。米軍普天間飛行場移設の進展への障害になることを避けるため、日本政府も足並みをそろえるように矛を収める姿勢に終始した。反発が収まる気配がない県民世論との乖離(かいり)が鮮明となった。(東京支社・西江昭吾)

 「お待ちください。さらに付け加えたい」

 10日朝の外務省応接室。松本剛明外相との会談冒頭、キャンベル米国務次官補は、記者団を退室させようとした同省職員を2度にわたり制し、発言を続けた。

 「この機会に言いたいのは、米国政府を代表して、沖縄に対する発言を私どもの上級外交官が行ったという論争が起こる状況に遺憾の意を表明し、深くおわびしたい」

 会談の取材は通常、冒頭の短い時間だけ記者に公開するのが慣例だが、キャンベル氏は退室を引き延ばす異例の対応で米側の考え方を説明。沈静化に努める姿勢を鮮明にした。

 日本政府は、(1)米政府として謝罪した(2)ルース氏が沖縄に直接足を運ぶ(3)メア氏が交代する―の3点をもって「影響を最小限に食い止める米側の迅速で適切な対応」ととらえている。

 会談後、松本氏は記者団に「一度飛び交った言葉は元に戻らない。重く受け止める」としつつも、「今できるベストを尽くしてもらった」とし、枝野幸男官房長官も会見で「かなり短期間で(信頼回復の姿勢を)明確にした」と評価した。

 一方、メア氏の日本部長交代をめぐっては「更迭」の意味合いも論議を呼んでいる。今夏には退任し、米国家安全保障会議(NSC)アジア部長への転出がささやかれていた。

 キャンベル氏は10日、記者団に「彼(メア氏)は優秀な外交官で日米関係にキャリアを尽くしてきた。しかし今回の事態を受けて、異動させる必要があると思った」と述べた。これに対し民主党内からも「対日関係の公職に就かせるべきではない」と反発も噴出。さらなる火種となる可能性もある。

 もともとメア氏の後任にはイラク米大使館のナッパー参事官が内定していた。

今回のデミング元駐日米首席公使の起用についてキャンベル氏は「とりあえず重要な役割を担っていて、2プラス2などのハイレベル協議に向けて(日本と)話し合いを進める」と指摘。「その後の人事は今話すべきではない」とし、普天間移設を前進させる「リリーフ役」の位置付けとなることをにじませた。

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