先日NHKの新疆ウイグル自治区の特集を観ていたら、新疆ウイグル地区に漢民族が大量に流れ込み、かの地の経済界を支配し、ウイグル人は経済発展の狭間に押し込まれ苦悩していると放送されていた。
今や中国政府は政治的に、経済的に、教育・人権のすべてにおいてウイグル人を抑え込もうと躍起になっている。
ウイグル人による「東トルキスタン」民族運動は、分離・独立論を含む民族的な要求が根強く続いており、2001年の米中枢同時テロ後は、急進独立派の「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)が中国のほか、米国からもテロ組織に指定されるなど、ウイグル問題は国際政治の波に翻弄されている。
12日付の香港紙・星島日報などによると、中国・新疆ウイグル自治区カシュガルの中級人民法院(地裁)は9日、テロリスト訓練基地を設けるなどテロ活動を準備したとして、ウイグル族の独立活動家5人に国家分裂罪などで死刑判決(うち2人は執行猶予付き)を言い渡し、別の活動家1人を無期懲役としたと伝えている。
このシルクロードでも有名な西域と云われるカシュガル、トルファン地区はイスラム教を信仰するウイグル、カザフ、キルギスなどテュルク系民族の支配地域で、乾隆年間(18世紀)に清の国土に組み入れられた。「新疆」の名は「新たな辺境」を示す。清の崩壊後は中華民国に支配が引き継がれた。
これに対し、民族レベルでは中国支配に抵抗する建国運動が続き、1933−34年に存在した「東トルキスタン・イスラム共和国」は、のちの独立運動に影響を与えた。今日もほぼすべてのウイグル組織が「東トルキスタン」の名を使う。
また、イリ周辺で第二次世界大戦終戦の前後に成立した「東トルキスタン共和国」が、ソ連の政治判断で短命に終わるなど、地域や民族の命運は、中国支配と国際政治のはざまで揺れ続けた。
中国は55年に新疆ウイグル自治区を設置。冷戦構造が崩れ、宗教・民族の求心力が世界的に強まるなかで、ウイグルでも武装闘争を含む分離・独立の動きが高まった。産経ニュース2007.11.1から引用
■中国は4つの民族分離・独立紛争を抱えている。
台湾問題(実質は実効支配をしていない)、
チベット紛争(ダライ・ラマの亡命、中国解放軍による150万〜200万人の虐殺、寺院の破壊)、
内モンゴル紛争(モンゴル人によるモンゴル回帰運動)、
東トルキスタン分離・独立運動(漢民族によるウイグル人支配に抵抗)
■共産主義者の少数民族支配の常套手段として、
●権力に逆らうものには徹底した弾圧を行い根絶やしにする。
(正当な裁判なしに抹殺する、警察権力の野放し状態)
●住民を分離し遠方地域に強制移住させて、民族間で連携を取れないようにする
(旧ソ連がやった三分の一政策〜三分の一を弾圧で殺し、三分の一を強制移住、恐怖におののく残りの住民は去勢された状態におく。北朝鮮の国境付近にいた朝鮮人をカスピ海に面するカザフスタンに強制移住をさせた旧ソ連の例)
●漢民族の流入による民族の人口構成の逆転による支配
(ウイグルの主要都市では民族構成比70%が漢族、行政組織の主要スタッフは漢族、豊富な資金源と漢族最優先政策で経済界を支配)
(チベット地区でも同じやり方で漢族がチベット族を支配)
●インフラ整備
(チベット地区で実施した緊急事態時の軍隊の投入に必要な道路、鉄道、航空路等の整備)
ウイグルのインフラ整備には日本の円借款168億円が投入され、主要都市の主に排水、供熱、ガス利用などの各工事に使われる。ウイグル人の生活環境の改善に使われているとはいえ実質漢族のウイグル支配に手を貸していることになる。
中国は新疆ウイグル自治区の支配に何故これだけ必死になるかといえば、経済の生命線とも言える大量の石油・石炭がこの地区に埋蔵されているからである。
既に石油開発は進められているが、 ジュンガル東部の炭田には3700億トン以上の石炭が埋まっているとされる。燃料だけではなく石炭化学工業発展のための優良な原材料になるこの資源を見込んで、この地域は新疆ウイグル自治区における石炭火力発電所と石炭化学工業の発展のための主要拠点として開発されることがすでに決められているという。
新しい生産に必要な電力を供給し、炭鉱で自家発電された余剰電力の送電を可能にするために、国家電網公司はジュンガル東部地区に21億元を投資して電線網を建設する。「220キロボルト五彩湾送変電施設建設工事」はこのプロジェクトのスタートとなる工事だ。
このほか新疆ウイグル自治区では今年、引き続き60億元以上を投資し、石炭発電と石炭工業に必要な水利・交通・通信などのインフラ設備を整備していくことを決定している。新興工業拠点の専用列車となる全長200キロ以上の鉄道もまもなく建設を開始する。
新疆ウイグル自治区の石炭埋蔵量は、全国の4割を占める2兆2000億トンと予想されている。中国にとって重要なエネルギーの継続的生産地であり戦略的備蓄地だ。(編集MA)
「人民網日本語版」2007年11月16日
米国在住の著名なウイグル人女性人権活動家、ラビア・カーディル氏は31日、米下院人権議員連盟(座長・ラントス外交委員長)の会合で次のように訴えた。
組織的な就労は、カシュガル、ホータン、アクスなど自治区南部のウイグル人比率の高い地域で2006年6月から始まった。就労先は天津、青島(山東省)など中国沿海部の都市で、15−22歳のウイグル人女性が対象となっている。第11次5カ年計画(06−10年)の間、計40万人を自治区外に労働力として送ることが目標とされる。
対象の村では、「各戸から5年以内に最低ひとりの域外就労を」といったスローガンが掲げられるなど、実質的なノルマ制がとられる一方、女性が地元に逃げ帰った場合には、3000−5000元(1元=約15円)の罰金が科されるという。
就労先は縫製工場など。見習い期間後は900−1100元の月給が支払われる約束だが、カーディル氏は「事態はまったく違う」として、日常的な12時間労働や不衛生な宿舎環境など、ひどい待遇を非難した。 中国共産党カシュガル地区委員会の史大剛書記は、この就労政策を「農村労働力の移転」として、今年4月の地元会議で大胆な推進を表明。「ウイグル族の外部就労を妨げる者は、カシュガル、ウイグル民族の罪人である」として、抵抗の排除を訴えていた。
■政策の狙いについてカーディル氏は、
(1) 安価な労働力確保と潜在的な売春の予備軍化
(2) 中国文化への同化策
(3) ウイグル人女性と同族男性の婚姻を抑える一方、多数派である漢族男性との婚姻機会を広げる
(4)自治区内でのウイグル人比率の低減−を指摘した。
産経ニュース19.11.1から引用
このように中国当局によるウイグル支配は跳ね返しようがないところまで来ている。
しかしよく考えてみると、日本による満州国建国と似ていないか
■中国と日本の違いは何か
それはそこにいる住民(ウイグル人、満州族)が何を望んでいたかという事に尽きる
ウイグル人は漢民族からの強圧的支配を排除したいに対して、満州族(皇帝溥儀は満州族)は日本の2次的な支配を受けながらも独立国としての面目を保っていた。
満州は5族協和を旗印に治安が安定し、インフラが整えられ住民が安全・効果的に経済活動ができた。
しかし、ウイグルは中国当局(漢民族)に強圧的に、しかも永久に支配されつづけなければならない運命に置かれている。
■忘れてはいけないことは
西域に対するインフラ整備は確かにウイグル人の生活は物資的に豊かにするかもしれないが、その反面彼らの民族自決権を制約する二面性があるということ
新疆ウイグル自治区には膨大な石油・石炭という宝の山が埋蔵されており、その宝の山は元々はウイグル族のものであるにもかかわらず漢族がその恩恵に浴しているということ
ということはウイグル族が独占的に支配することにより、いまのアラブのように経済的に豊かになれるのである。
東トルキスタン情報センターHP
http://www.uygur.org/japan/et/2005/0312.htm