松井よDH専念せよ　恩師トーリ氏のススメ

　松井よ、指名打者に専念せよ−。アスレチックスの松井秀喜外野手（３６）のヤンキース時代の恩師で、大リーグ機構のジョー・トーリ副会長（７０）が９日、レンジャーズ−アスレチックス戦が行われた当地を訪れ、松井の起用法について、選手寿命を延ばすために、指名打者（ＤＨ）に専念するように勧めた。この日の松井は４番ＤＨで３打数無安打。オープン戦通算１４打数１安打にも、順調な調整に動じた様子はなかった。

　恩師がＤＨ専念のススメを説いた。大リーグ機構副会長就任あいさつのために当地を訪れたトーリ副会長は「外野守備を忘れ、ＤＨに集中した方がいい。松井は守備に就きたいだろうが、現時点ではＤＨがベストだろう」と言い残し、試合前に球場を後にした。

　現実的にはチーム方針で、今季の松井はほぼ間違いなくＤＨ専任だ。ただ、トーリ副会長がそう語る理由は、松井に１年でも長くプレーしてほしいから。「打撃に集中し、守備から離れることは、松井の体調維持につながると思う」。ヤンキース監督時代に松井の手首や膝などの故障を目の当たりにしてきただけに、リスクは避けてほしいのだろう。

　今年６月１２日で３７歳。「松井には、ここ何年かのけがで失ったものもあるだろう。こういった経験によって、これから訪れる衰えに対処する方法を知ったのではないか。彼はプロだ。そして、まだ打てる」。この日は今月４日以来の再会はならなかったが、トーリ副会長は「彼は素晴らしい人間性を持っているので、オークランドでもすぐに愛される存在になる」と“まな弟子”に愛情をたっぷり注いだ。

　この日の松井はア西地区のライバル、レンジャーズ投手陣を相手に３打数無安打で、今オープン戦は１４打数１安打（７分１厘）。結果だけ見れば散々でも、球筋を見極める中で、少しでも甘いコースにきた球にはバットを出していく積極性を見せている。昨季はちょうど１年前の３月９日が実戦初出場だったことを考えれば、今季がいかに順調な仕上がりかどうかが分かるというものだ。「甘いボールは確実に打たないと結果は出にくいが、試合ごとに対応しながら、自分の形を作り上げていく」。松井はサラリと言った。