2001年12月、明石市の大蔵海岸で人工砂浜が陥没し、東京都中野区の金月美帆ちゃん=死亡当時(5つ)=が生き埋めになり死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた当時の国と明石市職員ら3被告に対する差し戻し審の判決公判が10日、神戸地裁であり、東尾龍一裁判長は被告全員に禁錮1年、執行猶予3年(求刑・禁錮1年)を言い渡した。大阪高裁と最高裁は「事故は予見できた」との判断は示していたが、刑事責任を認めた判決は初めて。
業務上過失致死罪に問われたのは事故当時、大蔵海岸の管理担当者だった元国土交通省姫路工事事務所工務第一課長、梶勲(67)▽元同事務所東播海岸出張所長、時沢真一(63)▽元明石市土木部海岸・治水担当参事、青田正博(66)▽元同市海岸・治水課長、金井澄(59)の4被告。梶被告は体調不良で公判が分離されている。
一審では「事故は予見できなかった」として全員に無罪判決が出されたが、その後の高裁、最高裁では一転。「砂浜のほかの場所でも陥没が起きており、事故は十分予測できた」と判断した上で、「どのような回避措置を取ることができたか、審理する必要がある」として神戸地裁に差し戻していた。
昨年10月から始まった差し戻し審は4回で結審。弁護側は新たに証人を立て、あらためて無罪を主張。検察側は「国と市が連携してバリケードなどを設置すべきだった」として一審と同様、禁錮1年を求刑していた。
(2011/03/10 13:52)
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