坂上二郎さんの悲しい知らせを聞き、芸能界からはその死を惜しむ声が次々と届いた。坂上さんと昭和9年生まれの仲間で結成した「昭和九年会」で一緒に活動した俳優・藤村俊二(76)も、“盟友”との別れに肩を落とした。都内で会見した藤村は、坂上さんが03年に脳梗塞で倒れる前にも、数回意識を失って倒れていたことを明かし、「“注意しなきゃダメだよ”と言っていたのに…。でも、まさか僕より早いとは思わなかった。悲しい」と寂しそうに話した。
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「悲しいです」‐。藤村は、ともに歩んできた仲間との別れにそうつぶやいた。
長門裕之、大橋巨泉、愛川欽也ら同じ年生まれの芸能人が名を連ねる「昭和九年会」の発足時からのメンバーとして、長年親交を重ねてきた。
仲間で集まると、いつも話題は「この世からいなくなる順番」。藤村は当時を振り返り、「『二郎さんは一番最後!みんなに香典を払ってから逝く』と言われ、『オレは看取(みと)っちゃうよ』と笑顔で返していたのに。まさか僕より早いとは思わなかった」と視線を落とした。
体調を崩した坂上さんが、栃木県の那須高原に引っ越し、5年以上会っていなかった。電話で会話したのも07年2月が最後。コント55号の明治座公演の時で、「遠くに行くなよ」などと相変わらずの冗談を言い合ったという。
坂上さんとは本音で付き合えた。「仕事のライバルではなく、芸能界では数少ないバカが言い合えて、飾らないでいられる関係」だったという。それだけに、以前から坂上さんの体調を心配していた。
03年9月、ゴルフのプレー中に脳梗塞で倒れ、長いリハビリ生活に入った坂上さんだが、実はその3、4年前の2000年ごろには藤村が経営する都内のワインバーで意識を失い、倒れたことがあったという。その3カ月後にもゴルフ場で意識を失ったこともあり、藤村は「注意しなきゃダメだよ」と言い続けてきた。
バイタリティーにあふれ、常に人を喜ばせるサービス精神を持った人だった。仲間内でも同じ。でも「今思えば、そのバイタリティーを自分のために、もっと使えば良かったと思う」と振り返った。
“オレは最後だよ”という言葉とは裏腹に、先に天国に旅立った坂上さん。「『お先!』って明るく旅立ったと思う。バカなことを言い合える同年代が減っていって、寂しい。もうすぐオレも行くから。それまで待っていてくれ!」。涙をこらえ、何度も天を仰いでいた。
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