ぜのん様である!
「あなたは何を言っているのですか、新菜さん?」
意味不明、だがそれがいい。
おかゆまさきギャク、炸裂の予感!
★新シリーズ開始記念!★
おかゆまさき&よう太による、ここだけの書き下ろしショートストーリーと描き下ろしイラストが到着!
<キャラクター紹介である!>
「我が臣民になるが良い!」
この娘、誰ですか?──魔王ゼノン様
外見年齢が小学校6年生女子程度の少女。自称『魔王』。自らの領土と臣民を得るために、ユキナリのもとへやってきた。大層ないじられ体質。
「なんで!?」
女の子にモテたくて生きているのがつらい高校生──苑葉征成(ソノバ・ユキナリ)
とにかく女の子にモテたいの一念で、色々なコトがわからなくなってしまっている上に、新しく入った高校でのスタートでも躓き、最近すごいあたふたしている少年。
「てゆうか、あなたは──誰!?」
ユキナリの幼なじみでやたら元気な子──新菜月子(ニイナ・ツキコ)
ユキナリの幼馴染み。行動力があるが、基本的にバカなので厄災とトラブルを周囲にまんべんなく振りまいていく元気いっぱいの女子高生。
「わたくしはゼノン姫のお側役のメイドでございます」
ゼノン様に仕える危険な変態サッキュバス──ユズリハ
その真面目そうな外見とは裏腹に、とても危険な趣向を持つ、ゼノン様お付きメイド。ヒントは「びんぼっちゃま」
<シーンピックアップその1である!>
「確かじゃな? そなたがソノバ・ユキナリその人で、間違いは無いな?」
「そ、苑葉は、僕です。苑葉征成は確実に、僕ですが……」
「うむ、ならばよかった。わたしの名は魔王ゼノン。ゼノン=カタストロ……げふんけふんッ! くひゅっ、っぁひゅぅん!? けふんっ……こほんッ!! こんこんっ! こんこんこんっ……!!」
「だ、大丈夫ですか!? ええっと、たぶん緊張で、気管に唾が入っちゃったんだと思いますが……」
「し、失礼……」
そんな僕をよそに、自己紹介途中だった妖精少女は再び大きく胸を張り、
「私の名は、真生浦イノリ」
今度は、どこかで聞いたことのあるような名前を名乗ります。
「え……、魔王ゼノン。ゼノン=カタストロ……なんですか?」
「ちがう! そっちじゃない! わたしは決して『ゼノン=カタストロベリー』などという魔王ではなく、ただの一人間、『真生浦イノリ』という娘。そなたの友人、新菜ガチコの紹介ではせ参じた者なのじゃよー!」
「ガチコじゃないですツキコですそれ! 新菜さんに聞かれたらぶっ飛ばされますよ!?」
「な、なにっ!? そなたの友の名は月輪(ガチリン)の月(ガチ)と書いて月子(ガチコ)ではないのか? 日本語って本当に難しいなユキナリ! 新菜には秘密にしておいてくれぬか!? お願いじゃからッ!!」
「見かけによらず、かなり及び腰ですね……。で、ええと、本当に、あなたがーー」
「うむ、わたしこそ、そなたの待ち望んだ新たな友となるべき者、真生浦イノリ。……なのじゃが、……なんじゃその顔は。そなた、もしやわたしが真生浦イノリではないと、疑って……いる、のか?」
「そ、そんなことないですっ! ええと、新菜さんにあなたを見てもびっくりしないでと言われた理由がわかった気がするなーって……」
「じゃろ? うむうむっ、このわたしの御姿ならばいくら眺めてくれてもかまわないっ」
あまつさえくるりとその場で回転してくれたりする少女に、思わず僕は、
「あの、でも、その背負ってる赤いカバンて、なんだかランドセルみたいですけど……」
目に付くまま尋ねてしまいます。そう、金薄桜の豊かな髪に隠れるようにして、少女は背中に血のように真っ赤なランドセル状のカバンを背負っているのです。
「うむ、だってわたしとユキナリは、小学校時代の同級生なのじゃよ?」
彼女が〈かしゃん〉と背負い直すようにカバンを揺すれば、
「へ……?」
★このつづきは文庫で読むのである!
<シーンピックアップその2である!>
「ユキナリー! タオルが足りないんだけどー!」
聞こえてきたのは新菜さんの声。
「あ、ああっ! はーい! 今行きまぁ……あっ、で、でもっ! ユズリハさんをこんなところで半分裸のまま放っておくわけには……いや、裸具合でいけば向こうは常に一〇〇%! でも、お風呂で裸は普通だけど、玄関で半分裸は……あっあっもうっ僕はどうしたらっ!?」
「ユキナリってばぁ、いないのー?」
すると、僕の前にたたずむユズリハさんはこくりと頷いて、
「行ってください、姫が湯冷めをして風邪を引いてしまいます」
「じゃ、じゃあすいません、ユズリハさんはそこのリビングで適当にくつろいでもらっていていいですか? 半裸で! 僕はちょっと、全裸の方を見てくるんで!」
僕は来たばかりのお客さんであるお側役のサキュバスをリビングの入り口まで導き、そのまま脱衣所に締め切られたカーテンの前に駆けつけ、
「これで足りますか?」
仕切られたカーテンの隙間から手を突っ込み、タオルを差し入れれば、
「ひゃあんっ! な、なんじゃ! いきなり手を差し込んでくるでないっ! す、すれすれというか、か……掠ったぞ、そなたぁ!」
「すいません! 確かに今、わずかな感触がよぎりました!」
「わずかな……じゃと!?」
「ちょっとゼノンちゃんずるいッ! どいて! そこをあたしに譲って……!」
「ちょっとそっちでなにやってんですか! はやくバスタオル受け取ってください! 腕が疲れてぷるぷるしてきました!」
「バスタオル二枚じゃぞ! がんばれユキナリ!」
「いいから早く!!」
「あ、それからユキナリ。わがままついでで悪いんだけど、なんか着替えとかってある?」
お風呂からの温かい湯気と石鹸の香るカーテン越し。どうやら渡したタオルでカラダをぬぐっているらしい新菜さんへと、
「だったらそこにある戸棚の、上から二番目が母さんのなんで、なんか適当にそこから見繕ってください。なかったら僕のジャージが、たぶんその下に入ってますし」
「りょーかーい」
「それと、ゼノン様」
「うん、なんじゃ?」
僕は脱衣所でごそごそとなにかを着込んでいる気配、魔王少女へと報告してみます。
「ゼノン様にお客さんが来ていますけど」
「え? だ、だれじゃ!?」
★このつづきは文庫で読むのである!
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