4人殺害 元少年ら死刑確定へ
K10045768711_1103101728_1103101731
NHKニューストップへ
※ すべての機能を利用するには、JavaScriptを有効にしてください。

4人殺害 元少年ら死刑確定へ

3月10日 16時32分 twitterでつぶやく(クリックするとNHKサイトを離れます)

平成6年、大阪、愛知、岐阜で若い男性4人に暴行を加えて殺害したとして強盗殺人などの罪に問われた当時18歳から19歳の元少年3人について、最高裁判所は「わずか11日間に4人の命を次々に奪った刑事責任は誠に重く、犯行当時少年だったとしても死刑はやむをえない」として、上告を退ける判決を言い渡しました。これによって、元少年3人全員の死刑が確定することになりました。

この事件は、平成6年9月から10月にかけて、大阪市の路上と愛知県の木曽川、それに岐阜県の長良川の河川敷で、若い男性4人が少年グループから暴行を受けて殺害されたものです。愛知県出身で当時19歳だった小林正人被告(35)、大阪出身で当時19歳だった小森淳被告(35)、それに同じく大阪出身で当時18歳だった芳我匡由被告(35)の3人が強盗殺人などの罪に問われました。1審は、小林被告が中心的な役割だったとして死刑を言い渡し、小森被告と芳我被告は無期懲役としましたが、2審は「3人の役割に大きな差はない」として3人に死刑を言い渡し、被告側が上告していました。10日の判決で、最高裁判所第1小法廷の櫻井龍子裁判長は「ボウリング場などでたまたま顔を合わせた被害者らを金を奪う目的などで連れ去り、無抵抗の被害者に集団で長時間にわたって暴行を加えた残虐な犯行で、わずか11日間に19歳から26歳までの4人の命を次々に奪った刑事責任は誠に重い」と指摘しました。そのうえで、「遺族に謝罪の手紙を送っていることや、犯行当時少年だったことなど酌むべき事情を最大限考慮しても、死刑はやむをえない」と述べて、上告を退けました。これによって、3人の死刑が確定することになりました。犯行当時少年だった被告の死刑が確定するのは、平成13年に確定した千葉県市川市の一家4人殺害事件以来です。最高裁判所によりますと、1つの事件で複数の元少年の死刑が確定するのは、記録が残っている昭和41年以降、初めてです。当時19歳だった長男を殺害された愛知県一宮市の江崎恭平さんは、背広の胸ポケットに息子の遺影をしまって判決を傍聴しました。判決について、江崎さんは「涙でことばになりませんが、16年の思いがやっとかなえられました。死刑という2文字の中にすべての謝罪としょく罪があると思っていますので、今後は何も必要ありません。元少年たちには、この判決をぜひ受け入れてほしい」と話していました。また、妻のテルミさんは「無念を晴らすことができ、正史はこれでやっと本当に安らかに眠れると思います」と話していました。判決について、元少年の弁護を担当した山下幸夫弁護士は「少年特有の集団心理で犯行がエスカレートしてしまったという点や、立ち直りの可能性を、もう少し評価してほしかった。裁判所の判断は少年に対して明らかに厳罰化の流れになっている」と述べました。また、村上満宏弁護士は「未熟な少年の犯行というのは間違いないのだから、判決の認定には非常に不満がある。本人は、死刑は覚悟していたが、正しい事実で裁かれたいと話していたので、判決の訂正を申し立てたい」と話していました。

(おことわり)NHKは、少年事件については、立ち直りを重視する少年法の趣旨に沿って、原則、匿名で報道しています。今回の事件は、4人が次々に殺害されるという凶悪で重大な犯罪で社会の関心が高いことや、元少年らの死刑が確定することになり、社会復帰して更生する可能性が事実上なくなったと考えられることなどから、実名で報道しました。